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求人票記載の労働条件の拘束力について

2017.07.21 | 投稿者:畑山 浩俊
ハローワークの求人票を見て、ひとり採用したのですが
いざ採用する段階では、弊社の経営状態が悪化してしまい、
ハローワークの求人票に記載した給料を出せなくなってしまいました。
ハローワークの求人票に記載した給料は必ず支払う必要があるのでしょうか。

求人票記載の労働条件の拘束力について

ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件が相違しているとする申出件数が平成28年度に9299件を数えたことが、厚生労働省の調べで分かりました(平成29年7月24日付労働新聞1頁参照:発行所 労働新聞社)。

前年度の1万937件と比べると15%減少しておりますが、実際明るみになっていないケースも多数あると考えられ、弊所でも同じような相談を企業様から受けることが多くあります。

では、ハローワークの求人票に記載した労働条件に、会社はどの程度拘束されるのでしょうか。

原則として、労働契約の内容となる労働条件は、労働契約締結の際の会社と従業員間の取決めによって決定されます。
したがって、求人票に記載した労働条件が自動的に労働契約の内容になるわけではありません。

もっとも、労働契約締結にあたって、合理的理由もなく求人票記載の労働条件を引き下げて雇用した場合、会社は信義則違反として損害賠償義務を負う可能性があります。過去の裁判例において、採用時の給与に関する説明が不十分だったとして、慰謝料100万円が認められたものがあります(東京高判平成12年4月19日,日新火災海上保険事件)。

したがって、仮に諸般の事情から求人票記載の労働条件を引き下げる形で雇用契約を締結するのであれば、その変更の理由を十分説明し、納得してもらう必要があります。
後日、トラブルになることを避けるためには、その労働者が変更を承知したということを客観的に示す承諾書等を作成しておくことが望ましいでしょう。