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生兵法は大怪我の基!~公正証書遺言を強く勧める理由~

2016.02.15 | 投稿者:畑山 浩俊

遺言作成の相談を受ける場合、弊所では、ほぼ100%、「公正証書遺言」をご提案します。
その理由は、残されるご遺族の方々が一番困らない方法だからです。

自筆証書遺言の落とし穴

遺言書を作成するとき、多くの人が「遺言書は自分で作成しよう。」と考えます。
専門的には、自筆証書遺言といいます。

自筆証書遺言を作成される人は、
・ひとりで作って秘密にできる。
・費用も一切かからない。
・わざわざ専門家に頼むまでもないだろう。
・老後、時間があるし、自分で勉強して作ってみよう。
と考え、自分で遺言書を作成します。

しかし、ここに大きな落とし穴が潜んでいるのです。

私は、自筆証書遺言を作成された人に必ず次の質問をします。
「遺族の方が遺言書を発見されました。その後、どうすればいいと思いますか?」

皆さんも考えてみて下さい。
回答として多いのは、「親族を集めて、皆で開封する」です。
これは大きな間違いです。

自筆証書遺言の場合、遺言書を発見した遺族が最初にしなければならない手続きは、家庭裁判所における「遺言書の検認手続き」です(民法第1004条)。
検認手続きを行わないと、過料に処せられますし(民法第1005条)、何より、遺産を移動させる手続きにおいて、金融機関や法務局等は相手にしてくれません。

遺言書の検認手続きは思っている以上に大変です。

最近、相談を受けたケースでは、「遺言書の検認手続きを任せたい。」というものでした。

「父の遺言書を発見して、どうすればいいのかを調べていたら、家庭裁判所で検認手続きをしないといけないことがわかったのです。家庭裁判所に質問すると、相続人の戸籍謄本が必要と言われたので調べていると、相続人が多すぎて、とても大変で出来ません。」

我々が調査した結果、なんと、相続人は19名もいました。
ご自身で戸籍の調査を行うことは非常に困難です。

遺言書を作成された人は、このことを想定していたでしょうか?
生前、この人は、「自分で書いた方が安く済むから自分で書く」とおっしゃっていたそうです。
しかし、結局、残された人は大変苦しみました。

他にも自筆証書遺言は争いになるケースが後を絶ちません。
・字が汚くて読めない。
・財産に漏れがある。
・法律で要求されている要件を満たしていない。
・そもそも、発見できなかった。

公正証書遺言を薦める理由

せっかく遺言書を作成するという意思決定をされたのですから、あともう一歩前進して、必要な手間暇とお金はかけるべきです。
そこで我々は、公正証書遺言を強く薦めているのです。
公正証書では、遺言書の検認手続きは不要です。
そして、120歳まで公証役場で保管されますので、遺族に発見されないリスクは生じません。

さらに、我々専門家が遺言書の作成に関与しますので、形式的要件の不備による遺言の無効はあり得ません。

「生兵法は大怪我の基」
少しばかりの知識や技術を知っていると、それに頼って大怪我をすることがあるという戒めの格言です。
遺言書を作成する際にも、この格言を是非、思い出してください。

後世に一切の憂いを残さない為にも、必要な手間暇と必要なお金はかけましょう。