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知っていますか?著作権!(1)

2016.02.19 | 投稿者:米澤 晃

平素より、著作権を含め、知財にはあまり手を回しておられない企業様は多いかと思います。ある調査結果では、中小企業の約23%が知財の担当者を置いておらず、担当者を置く企業様でも、それは経営者・経営幹部ご自身であるとの回答が実に約35%にものぼります(特許庁「中小企業の知的財産活動に関する基本調査報告書」(平成25年度))。

こうした企業の皆様にとって著作権は、
・契約書に目を通していると出くわした
・新聞で著作権のことが取り上げられていた
といった程度の接点しか無いのではないでしょうか。

そこで、今回は、普段から著作権を扱わない方向けに、事業活動に際して留意しておいていただくべき事項を取り上げます。

著作権侵害が生じる場面

まずは、簡単な例を取り上げます。

例えば、ご相談を頂く中で、フリー素材の扱いが話題になることがあります。
フリー素材は、インターネット上に無料で公開されている図柄などですが、社内のプレゼン資料に貼り付ける方もおられれば、宣材に流用することもあるかもしれません。しかし、フリー素材も基本的には著作物です。

フリー素材は、一般に、コピー&ペーストも許すという前提で公表されていますが、利用規約を読むと「事業活動に使用する際は使用料を頂きます」「商用利用も無料ですが、クレジット表記が必要です」などと書いてあることが、よくあります。フリー素材と言いながら、完全に無料というわけではないのです。こうした規約に反してフリー素材を利用すると、著作権侵害の問題が生じます。

仮に、個人の私的な利用の範囲にとどまる目的でコピーをするのであれば、私的複製(著作権法30条)に該当するため問題は生じません。しかし、一般的には、事業活動では私的複製の規定は適用されないと考えられています。やはり、無断利用や利用規約違反には注意が必要です。

別の例を挙げますと、PR用に、街中で写した写真の中に自社製品を登場させるという手法も見られます。このとき、例えば、その写真に他社の広告などの著作物が写り込んでいることがあります。しかし、著作物が写り込んだ写真を使い、パンフレットを配布するなどの宣伝・営業を行う場合にも、著作権侵害の問題が生じます。

このような写り込みは、原則的に適法とされていますが、写り込んだ著作物の権利者の利益を不当に害してはならないとも定められています(著作権法30条の2)。このため、著作物が写った部分の解像度を落とす、そもそもその著作物が写る風景の使用は避けるなど、対策が必要となる場合があります。

さて、こうした行為は、何も知らなければ普段何気ない場面でやってしまいそうです。ごくありふれた事業活動の中に、著作権侵害のリスクがあります。
知財の対応まで手が回らない、という経営者や事業者の方にとっては寝耳に水というご相談もしばしばです。

 著作権侵害の3つの効果

著作権侵害ということになりますと、法的には3つの効果が生じます。

①侵害により生じた損害の賠償請求権
②侵害の差止請求権(及び侵害物品の廃棄等の請求権)
③刑事罰(懲役10年以下、罰金1000万円以下)

上記のように、何気なく侵害が生じてしまう反面、法的な効果は厳しいものがあります。
もちろん、著作物の利用が適法となる場合も多くありますが、法改正をしながら適法となる場合が少しずつ拡張されているのが現状ですので、意外な場面で著作権侵害の問題が生じます。
知らず知らずのうちに賠償義務を負うという事態は避けたいものですし、従業員に侵害の問題が浮上すれば、適正迅速な対応が必要となります。

次回の「知っていますか?著作権!」では、他者から著作権侵害の主張を受けた場合の対応についてお伝えしたいと思います。