記事公開日: 2022年4月24日   
記事更新日: 2022年7月5日

介護職員が新型コロナ感染!陽性者や濃厚接触者、職場の対応をケース別に解説

介護職員が新型コロナ感染!陽性者や濃厚接触者、職場の対応をケース別に解説
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「朝から熱があるんですけど、仕事はできそうなので出勤してもいいですか?」
「昨日の夜、家族のコロナの陽性がわかったんですが、今日は出勤しない方がいいですか?」
「利用者さんからコロナが出て、怖いので休んでもいいですか?」

 

介護事業所は、感染症の蔓延下においても、介護サービスを必要とする利用者へのサービスを継続する必要があります。

その際に、最も重要なことの1つが職員のやりくりであり、職員がいなければ、サービス提供を継続することができません。他方で、介護事業所の利用者は高齢者であり、新型コロナウイルス感染症に罹患すると、重症化等のリスクも高いため、感染症が蔓延しないように対策を徹底する必要があります。

このような状況において、職員から冒頭のような質問をされたことはないでしょうか。

感染症対策の観点からは、感染が疑われる職員は出勤させたくない反面、これによりサービス提供をする職員がいなくなることは非常に問題です。

また、人員の確保とは別に、職員との間では、給与の支払いの要否、業務命令としてどこまでが許されるかなど、労働法上の様々な問題があり、この対応を誤れば、職員との間の労働トラブルに繋がり、さらには離職によるさらなる人員の流出にも繋がりかねません。

そこで、この記事では、介護職員と新型コロナウイルス感染症に関する様々な場面で、介護事業所がどのような対応をすべきかについて、具体的な対応例を紹介しながらそれぞれ解説します。

そして、最後まで読むことで、新型コロナウイルス感染症の対策をしながら事業を継続する事業所や職員への助成などについても紹介しますので、日々新型コロナウイルス感染症対策をしながら事業継続のために邁進している事業所の皆さんは、参考にしてみてください。

それでは見ていきましょう。

 

1.新型コロナウイルス感染症対策における介護事業所の特殊性

介護事業所は、他の業種に比較して、新型コロナウイルス感染症の対策に関していくつかの特殊性があります。

以下では、介護事業所の特殊性について解説します。

 

1−1.利用者へのサービス提供

新型コロナウイルス感染症の感染経路は、主に以下の3つであると言われています。

 

  • (1)空中に浮遊するウイルスを含むエアロゾルを吸い込むこと(エアロゾル感染)
  • (2)ウイルスを含む飛沫が口、鼻、目などの露出した粘膜に付着すること(飛沫感染)
  • (3)ウイルスを含む飛沫を直接触ったか、ウイルスが付着したものの表面を触った手指で露出した粘膜を触ること(接触感染)

 

新型コロナウイルス感染症の感染経路については、以下の国立感染症研究所Webサイトもあわせてご参照下さい。

 

▶︎参考:国立感染症研究所「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染経路について」

 

 

しかしながら、介護サービスは、その性質上、通常は対面であり、かつ、身体的な接触を伴う場合がほとんどです。

例えば、ケアマネージャーは、月に1度は利用者宅を訪問し、モニタリングを実施する必要がありますし、訪問介護、通所介護、その他施設系サービスにおいても、利用者の歩行の補助、食事や入浴の介助、衣類の着脱の介助など、利用者との接触が必要不可欠です。

さらには、中には認知症等の影響で十分な感染症対策が難しい利用者もおり、職員、利用者のいずれが新型コロナウイルス感染症に罹患しても、双方に感染リスクが高い状況となります。

このように、介護事業所では、サービス内容の特殊性から、感染症対策が重要であり且つ困難であることがわかります。

 

1−2.高齢者への感染防止対策の重要性

新型コロナウイルスの性別、年齢別陽性者の数を見ると、感染者数の累積人数では、20代から50代の感染者数が、60代から90代までの感染者数を大きく上回っているものの、重傷者数は圧倒的に60代から90代までの割合が多くなっています。

介護事業所の利用者は、60代以上の高齢者が主であることから、利用者にとっては、新型コロナウイルス感染症に罹患すること自体が大きなリスクであり、感染防止対策は介護事業所にとって最重要事項となります。

新型コロナウイルス感染症の重症者数については、厚生労働省が公表している以下のデータもあわせてご参照下さい。

 

新型コロナウイルス感染症の重症者数

・引用元:厚生労働省「データからわかるー新型コロナウイルス感染症情報ー」より

 

1−3.事業継続の必要性

介護サービスは、利用者にとって必要不可欠なサービスであり、災害や感染症が発生しても、中断できず、または、仮に中断をしても速やかに再開しなければならないサービスの1つです。

そのため、介護事業所においては、BCP(事業継続計画)の策定が義務付けられるなど、事業を継続することを前提とした取り組みが必要とされているのです。

その中で最も重要となるのが、実際にサービスを提供する職員の確保であり、感染症対策とのバランスが求められます。

BCP(事業継続計画)に関しては、2021年4月からBCP(事業継続計画)の策定が義務化されたことや、BCP(事業継続計画)策定の手順や具体的な方法について、以下の記事や動画で詳しく説明していますので、併せてご覧ください。なお、3年間の猶予があるので、完全義務化は2024年4月からです。

 

▶︎参考:BCP(事業継続計画)とは?介護事業所で義務化!対策と対応方法を詳しく解説

 

 

 

2.職員に新型コロナウイルス感染症の陽性者がでたら?

では、職員の中から、新型コロナウイルス感染症の陽性者が出た場合には、どのような手順で対応をすべきでしょうか。

新型コロナウイルス感染症発生時の対応に関する詳細は、以下の記事でも解説をしていますので、ここでは、「職員」に新型コロナウイルス感染症の陽性者が出た場合に絞って解説したいと思います。

 

▶︎参照:新型コロナウイルス感染症が発生したら?介護施設のクラスター対応など事例付きで解説

 

 

2−1.対応の全体像

 

職員に新型コロナウイルス感染症の陽性者がでた際の対応の流れ

 

職員から新型コロナウイルス感染症が発生した場合であっても、利用者から新型コロナウイルス感染症が発生した場合であっても、手順自体は同じです。

 

手順1:発生状況の把握と対応

まずは、新型コロナウイルス感染症の陽性が確認された職員が接触をした利用者、他の職員、業務を行っていた場所などを特定して整理し、利用者や他の職員の健康状態(症状の有無)を確認します。

 

手順2:感染拡大の防止

次に、医師や看護職員の指示を仰ぎ、必要に応じて介護施設等の消毒を行い、他の職員や利用者には、健康管理を徹底します。

 

手順3:行政への報告

さらには、仮に利用者に対して新型コロナウイルス感染症が疑われる症状がで始めた場合には、市町村の様式に従い、必要な報告を行います。

 

手順4: 関係機関との連携

そして、日頃から保健所、協力医療機関、市町村・都道府県担当局等の報告を行う機関のほかに、気軽に感染対策について相談できる事業所間での連携体制を構築しておき、必要に応じて連携を取ります。

 

介護現場における感染対策の技術的なポイントや、実際の事例については、以下の厚生労働省のページでも詳しく説明されていますので、詳しくは、以下のページもご覧ください。また、ガイドライン等は更新されることがありますので、定期的に厚生労働省のホームページなどで、最新版を確認するようにしましょう。

 

▶︎参照:厚生労働省「介護現場における 感染対策の手引き」(pdf)

 

 

2−2.新型コロナウイルス感染症で欠勤中の職員への給与の支払い

新型コロナウイルス感染症は、現在「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令」(令和2年政令第11号)第1条により、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律第114号、以下「感染症法」といいます。)第6条第8項の指定感染症とされており、さらに同政令第3条による読み替えで、感染症法18条各項の就業制限の規定が適用されることになっています。

 

▶︎参考:「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令」(令和2年政令第11号)の条文

▶︎参考:「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律第114号)の条文

 

 

つまり、新型コロナウイルス感染症に罹患すると、法律上の就業制限が課せられることから、介護事業所にとってみれば不可抗力により職員を欠勤させることになります。

労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。

もっとも、この休業が使用者である介護事業所の責めによらない事情、すなわち不可抗力による場合は、休業手当を支払う必要はありません。

具体的には、不可抗力とは、以下の2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。

 

  • (1)その原因が事業の外部より発生した事故であること
  • (2)事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

 

すなわち、新型コロナウイルス感染症への罹患が、業務外の事情によるものである場合は、不可抗力による休業であるとして、欠勤中の給与は無給となります。そのため、職員は傷病手当の申請をし、これによる給付を受けることになります。

もっとも、前項で解説をした通り、介護事業所の職員は、介護事業の特殊性から、常に感染リスクと隣り合わせの業務に従事しています。

そのため、職員が新型コロナウイルス感染症に罹患した場合、それがどのようなルートから罹患したのかが明らかでない場合も多々あります。もし、職員が業務に起因して新型コロナウイルス感染症に罹患した場合には、後に解説するように労災の対象となり得ます。

さらに言えば、職員としては、このような危険と隣り合わせの状況で働いているにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症に罹患した際には無給とされ、自ら傷病手当等の申請をしなければならないとすると、業務に集中できず、最悪の場合には離職の可能性もあります。

そのため、弁護士法人かなめが顧問を務める介護事業所の中では、新型コロナウイルス感染症による休業の場合は、以下などの対応をしている場合も多いです。

 

▶参考:新型コロナウイルス感染症による休業の場合の対応について

(1)欠勤控除等をせずに給与を全額支払う
(2)休業手当相当額を支払うようにしている
(3)傷病手当でカバーできない範囲を補填する

 

 

もちろん、どのような対応を取るかは、介護事業所の規模や経営状況などにも関わりますが、雇用を確保しながら職員に安心して働いてもらうという意図からは、検討の必要があるでしょう。

 

【弁護士 畑山 浩俊のワンポイントアドバイス】
不可抗力の判断に関して、たとえ法律上の就業制限によって出勤ができない状況であったとしても、例えば、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合には、これを十分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があります。

 

介護事業は、基本的には自宅勤務が困難な職種であることから、想定が難しいかもしれませんが、検討は忘れないようにしましょう。

 

また、感染防止に向けた柔軟な働き方(テレワーク、時差通勤、時差休憩)に関しては、以下のQ&Aでも紹介されていますので、合わせてご覧ください。

 

▶︎参照:厚生労働省:新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

 

 

3.新型コロナウイルス感染症への対策

新型コロナウイルス感染症への対策

ここでは、新型コロナウイルス感染症に罹患しないための対策について解説します。

 

3−1.新型コロナ対策の概要

まず、新型コロナ対策のためには、その潜伏期間、感染経路等の基礎知識を職員1人1人が持つことが重要です。

具体的には、以下のような点をしっかり把握しておきます。

 

潜伏期間 主に約5日程度(1〜14日)
感染経路 飛沫感染(ウイルスを含む飛沫を吸い込んで感染)ほか、 接触感染(ウイルスがついた手で口、鼻や眼などの粘膜を触れて感染)、 エアロゾル感染(ウイルスを含む小さな飛沫が多数ある換気の悪い密閉空間で浮遊している小さい飛沫を吸い込んで感染)
感染伝播者・感染期間 主には、有症者だが、発症2日前や無症状病原体保有者からの感染リスクもある。 発症前後の時期に最も感染力が高いとの報告がされている。
ハイリスク要因 高齢者(65歳以上)、基礎疾患(慢性呼吸器疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満など)
要注意な要因 喫煙歴、妊婦、悪性腫瘍など (ハイリスクかどうかは不明)

・参照元:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に対応する介護施設等の職員のためのサポートガイド(第1版)」(PDF)

 

その上で、感染予防対策として、感染対策の3つの柱である「(1)病原体(感染源)の排除、(2)感染経路の遮断、(3)宿主の抵抗力の向上」が重要です。

具体的には、以下の項目を協力してしっかり実践することが重要です。

 

  • 1.常日頃からのマスク着用と手洗いの励行
  • 2.3つの密の回避(「密閉」「密集」「密接」しない)
  • 3.新しい生活様式の実践、健康管理の徹底

 

3−2.新型コロナ対策の重要性

1.新型コロナウイルス感染症対策における介護事業所の特殊性」でも説明をしたように、介護事業所の利用者は高齢者であり、新型コロナウイルス感染症に罹患すると、重症化がしやすいという特徴があります。

そして、利用者と介護職員がどうしても接触を避けられない以上、まずは事業所内に新型コロナウイルス感染症を持ち込まないことが最重要となります。

 

3−3.濃厚接触者でない職員へ検査を強制できる?

では、職員に対して、新型コロナウイルス感染症の検査(PCR検査、抗原検査など)を受けさせることは業務命令として可能でしょうか。

業務命令として検査を指示できるということは、つまりこれに従わない職員が、注意指導や、懲戒処分の対象となることを意味します。

結論からいえば、職場が検査費用を負担した上であれば、会社の指示により検査をさせることは可能です。

事業所は、使用者として、また介護サービスを提供する主体として、職員、利用者のいずれに対しても、安全配慮義務を有しています。

そのため、クラスターの発生はなんとしても食い止める必要があり、そのために、新型コロナウイルス感染症の流行状況に応じて、定期的な検査を実施することには合理性があります。

もっとも、検査費用を職員持ちとする場合には、職員に対して、職員の意思に反して負担を課すものとなりますので、強制することはできません。

また、特定の職員から強い反発があるような場合でも、すぐに注意指導や懲戒処分の対象とすることは避けるべきです。

特に、当該職員に特段の症状がなく、さらに濃厚接触者等でもない場合には、なぜ検査を受けたくないのか、などの事情も確認の上、事業所として検査をすることの必要性や重要性をしっかりと説明して理解を得ることが肝要です。

その理由としては、病気の検査はやもするとデリケートな点もあり、さらに検査方法によっては、体質等に配慮する必要があるものもあることから、その意図によっては強要ができないケースもあり、これを理由に注意指導や懲戒処分を行うことで、当該職員との間で火種となる可能性があるからです。

とはいうものの、通常の職員であれば、検査の必要性や重要性を理解し、検査に応じる例が多いかと思いますが、それにもかかわらず検査に応じない職員に関しては、検査に応じない以外の問題行動を抱えている可能性があります。

そのため、当該職員に対しては、なぜ検査を受けたくないのか、などの事情を確認する中で、その態度や理由などを根拠として注意指導をしていくことを検討しましょう。

 

3−4.職員に対して休日の行動等の報告を義務付けることができる?

では、一早く新型コロナウイルス感染症の感染可能性を知るために、職員に対して休日や終業後の行動を報告させることを義務付けることは可能でしょうか。

これについては、ルールとして設けること自体は可能ですが、義務付けることは困難です。

職員は、事業所との雇用契約に基づいて、当然、事業所からの指揮命令に従って業務に臨む義務がありますし、就業中の行動に関しては一定の制限を受けたり、報告をする義務があります。

しかしながら、業務から離れた就業後や休日は、完全に事業所の監督から離れた状態にあり、この間に何をするかが自由である以上、必然的にその報告義務がないことになります。

とはいうものの、実際に事業所の中には、例えば県をまたいでの移動の自粛を求めたり、他の都道府県から来た相手と会う場合には、事前に報告を求めたり、当該相手に検査を求め、陰性の照明があった場合のみ会うことを許可するなど、厳しい行動制限や報告義務を課している場合もあります。

過度なルールを設けることは、本来事業所の権利が及ばない休日まで、職員を過度に拘束する事態となるため、必ずしも有効ではありませんが、このようなルール作りは、職場全体で錬成される空気感が非常に重要です。

新型コロナウイルス感染症を事業所内に持ち込まないよう、それぞれが自覚を持って日々の行動を行う中で、自然と事業所内でルールが醸成されることが望ましいため、事業所としては、必ずしも行動や報告を義務付けるのではなく、定期的なミーティングなどで、ルール作りの機運を高めていくようにしましょう。

 

3−5.ワクチン接種を強制できる?

新型コロナワクチンは、2022年4月現在では、3回目の接種が行われており、厚生労働省からは、その有効性や安全性に関する情報が随時報告されています。

新型コロナワクチンについては、以下の厚生労働省のホームページをご参照ください。

 

▶︎参考:厚生労働省「新型コロナワクチンについて」

 

 

そのため、新型コロナウイルス感染症の感染や重症化等を防ぐため、全職員を対象として職域接種を行ったり、また、職員に対して新型コロナワクチンの接種を義務付けたいと考えている介護事業所も多いのではないかと思います。

しかしながら、新型コロナワクチンの接種に関しては、これを拒否する職員に、ワクチン接種を義務付けることはできません。

ワクチン接種に関しては、副反応やアレルギーの問題があり、体質等によってはワクチン接種を受けられない人もいます。
そのため、ワクチン接種を義務付けたり、ワクチン接種ができないという職員に対して、その理由等の説明や証明を求めることは、当該職員に無理を強いたり、極めてプライベートな事情を吐露させることにもなりかねず、それ自体が職員の権利侵害になりかねません。

したがって、職員に対して、新型コロナワクチンの接種について、その有効性や接種の重要性等を説明し、接種を励行すること自体は問題ありませんが、ワクチン接種を拒絶する職員に接種を強要したり、ワクチン接種を拒絶したことを持って職務上なんらかの不利益を課すようなことはあってはいけないのです。

事業所としては、職員が自発的にワクチン接種を行うように、その必要性等を説明し、理解を得ることが必要となります。

 

4.新型コロナウイルス感染症にまつわる労務問題

以下では、弁護士法人かなめがこれまでに相談を受けた新型コロナ関連の労務問題に関する事例について、いくつかのパターンに分けて紹介します。

 

4−1.職員に不要不急の外出等の自粛を求めたが、大勢が集まる場所(ライブやスポーツ観戦等)へ外出した場合

ある事業所では、新型コロナウイルス感染症が流行し始め、ライブハウス等からクラスターの発生が報道されてい時期に、職員に対して、大勢の人が集まる場所への外出など、不要不急の外出の自粛を呼びかけたことがありました。

しかしながら、それにもかかわらず、休日にライブハウスに行った職員がおり、その職員への対応について、弁護士法人かなめに相談がありました。

 

(1)そもそも自粛を求めることができるか

まず、「3.新型コロナウイルス感染症への対策」でも説明をした通り、業務から離れた就業後や休日は、完全に事業所の監督から離れた状態にあり、職員が、この間に何をするかが自由です。

そのため、必ずしも義務として自粛を求めることは難しい場合が多いですが、事業所側が求めたルールに反する行動をとった結果、業務の遂行自体に支障をきたす事態が発生する場合には、事業所の指導や懲戒処分の対象となり得る場合があります。

 

(2)自粛要請に反して外出をした場合に取り得る手段

事業所の自粛要請に反して外出をした場合に、事業所としては当該職員に対してどのような対応ができるでしょうか。

 

1.注意指導

介護事業所は、職員、利用者それぞれに対して、安全配慮義務を有していることから、職員1人1人に対して、新型コロナウイルス感染症の感染防止措置を取らせることは非常に重要です。

そのため、自粛要請に反した不要不急の外出等を行う職員に対しては、その自粛の意味や重要性を改めて説明し、介護職員として自覚を持った行動を取るように、注意指導をすることは妨げられません。

 

2.懲戒処分

さらに進んで、懲戒処分までが可能かどうかは、「5.判断要素」に大きく左右されます。

例えば、緊急事態宣言下において、繰り返しの注意指導によっても外出等を続け、それによって実際に新型コロナウイルス感染症に罹患し、欠勤せざるを得なくなった場合などには、戒告、譴責処分など、懲戒処分の中でも軽い部類の処分をすることはあり得ます。

なお、戒告に関しては、以下の記事でも詳しく説明していますので、併せてご覧ください。

 

▶︎参考:戒告とは?処分の意味や重さ、具体的な内容、通知方法など進め方を解説

 

 

3.自宅待機命令

例えば、大勢の人が集まる場所に行ったことが判明した後、新型コロナウイルス感染症の潜伏期間の間、自宅待機を命じることが考えられます。

 

4.検査の指示

また、大勢の人が集まる場所に行ったことが判明した後、当該職員に新型コロナウイルス感染症の検査をさせることが考えられます。

この時、検査費用を、本人負担とするか、事業所負担とするかについてですが、事業所側の思いとしては、「指示に反して大勢が集まる場所に行ったのだから、職員側の負担として」と思われるのではないかと思います。

しかしながら、これまでに説明をしてきた通り、休日や就業時間後に何をするかは原則として職員の自由であって、これに反したことをもって直ちに職員側に責任を転嫁できません。

そのため、後の紛争を防ぎ、さらに感染防止の実を得るためには、事業所側で費用を負担し、直ちに検査を受けさせることが望ましいと考えられます。

 

5.判断要素

各職員に対して、どのような措置を取るべきかはケースバイケースとならざるを得ませんが、ここでは、これらの措置を取るにあたっての判断要素について解説します。

 

① 外出場所

外出をした場所が、例えば、明らかに、感染症蔓延に繋がり得る場所(三つの密に該当し、不特定多数の人が集まるような場所)や、感染症対策が取られていないような場所であったような場合には、新型コロナウイルス感染症への罹患の可能性は非常に高くなりますし、そのような場所であることをわかりながら外出したことに対する帰責性は高いと言えます。

一方、多くの人が行き交う場所であっても、換気や消毒、人数制限などにより感染症対策がしっかり取られた場所への外出であった場合は、必ずしも責めに帰すべき事情とはなリません。

 

② 感染症のまん延状態

また、事業所が属する地域や、日本全体において、感染症の蔓延状況がどのようになっているかも、判断には関わってきます。

例えば、蔓延の程度としては、

 

  • 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されている場合
  • 都道府県や市町村独自の自粛要請が出ている場合
  • 事業所独自の自粛要請の場合

 

の順で低くなりますが、やはり地域に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されている場合には、国からの要請にも従わず、不要不急の外出をする態度は非常に問題となり得ます。

 

③ 感染症対策

外出場所の感染症対策の状態も非常に重要ですが、職員本人の感染症対策の状況も非常に重要です。

例えば、本人はワクチンを適時に接種している状況で、常時マスクをし、消毒液を持ち歩いていて頻繁に消毒をし、手洗いうがいを徹底していた場合などには、必ずしもその行動に問題があるとは言えない場合もあります。

 

④ 新型コロナウイルス感染症への感染状況

1番の考慮要素となり得るのは、この外出により、実際に新型コロナウイルス感染症に罹患したかどうかです。

もちろん、通常は自由に行動をしてもいい休日の行動により、新型コロナウイルス感染症に罹患しても、直ちに職員の責めに帰すべき事情とはなりません。

もっとも、事業所からの要請に反して外出をした結果、新型コロナウイルス感染症に罹患し、仕事を休まなければならない場合には、他の職員に過度な負担をかけることになります。

したがって、このような職員に対しては、しっかりと注意指導をし、それでもなお同様の行動を繰り返すような場合には、懲戒処分も辞さない構えで、臨む必要があります。

 

(3)出勤の停止や検査の指示により欠勤した場合の給与の支払い

 

1.労働基準法26条による休業手当を支払う場合

新型コロナウイルス感染症への罹患が疑われる場所への外出に対して、出勤の停止や検査の指示をし、結果が出るまでの間休業をさせる場合、給与の有無に関しては、ここまでで解説した判断要素の有無等が問題となり得ます。

例えば、外出先の場所に来ていた人の中から、新型コロナウイルス感染症の陽性者が出ていた場合や、感染症対策が十分にされていないなど、本人の感染がある程度具体的に疑われる事情がある場合には、労働基準法26条に基づいて休業手当を支払うことが考えられます。

本人は就労が可能な状態であるにもかかわらず、事業所側から休業を求める場合、本来は給与全額を支払う必要があります。

しかし、上記の場合は、新型コロナウイルス感染症への罹患の可能性が一定程度認められること、とはいうものの、「不可抗力」とは言えない状況であることから、このような対応が適切であるものと考えられます。

 

2.給与全額を支払う場合

もっとも、外出をしていた場合であっても、感染症対策がしっかりと取られた場所で、職員本人も感染症対策をし、当該場所で特段、新型コロナウイルス感染症の陽性者等も出ておらず、本人の体調にも問題がない場合、職員を休業させることが事業所側の一方的な都合によるものと評価される場合があります。

そのため、事業所側の判断として、検査の間の期間や、潜伏期間の間の休業については、給与全額を支払うという処理をすることもあり得ます。

 

3.給与を支払わない場合

自宅待機や検査のために休業させ、その結果新型コロナウイルス感染症の陽性が発覚した場合には、発覚以降を無給とすることが考えられます。

もっとも、発覚以前については、事業所側からの指示での欠勤となることから、休業手当相当額、または給与全額を支払うことが望ましいものと考えられます。

なお、「2.職員に新型コロナウイルス感染症の陽性者がでたら?」でも説明した通り、実際には、職員が新型コロナウイルス感染症に罹患しても、その原因が休日の外出によるものか、職場での感染によるものかはわからないケースもあり得ます。

特に、新型コロナウイルス感染症が蔓延し始めた当時は、感染ルートがある程度特定できましたが、現在のように、市中感染が進んでいる状況で、何が原因での感染かを特定することは非常に困難です。

そのため、事業所側としても、職員を全くの無給とするか否かは、専門家にも相談の上、慎重に検討すべきです。

 

4−2.新型コロナ感染を恐れて職員が休みたいと申し出てきた場合

ある事業所から、利用者の中で新型コロナウイルス感染症の陽性者が出たことから、職員から、「感染が怖いのでしばらく休業したい」との申し出があったため、これに対してどのように対応すれば良いか、との相談がありました。

 

(1)事業継続の必要性

1.新型コロナウイルス感染症対策における介護事業所の特殊性」でも解説をしたように、介護事業所は、感染症の蔓延下であっても事業を継続する必要があります。

そのため、職員が「感染が怖い」という理由だけで欠勤してしまえば、たちまち人員が不足し、介護サービスの提供が困難になることが予想されます。

 

(2)出勤命令

そこで、「感染が怖い」という理由だけで欠勤を申し出てきた職員に対しては、事業所が感染症対策をしっかりと講じていることを前提として、業務命令としての出勤命令を出すべきです。

なお、もちろん有給休暇を取ることは妨げられませんので、有給休暇の申請があった場合は、各事業所毎の手続に従って処理をするようにしましょう。

感染を恐れて欠勤を申し出てきた職員に対する対応については、以下の動画でも詳しく説明をしていますので、併せてご覧ください。

 

 

 

(3)出勤命令に従わない場合

職員に対して、出勤命令を出したにもかかわらず、これを拒否して欠勤するような場合は、端的に業務を懈怠していますし、さらには、感染症リスクの中で業務を継続する他の職員の士気に関わります。

そのため、このような職員に対しては、注意指導や懲戒処分を検討する必要があります。

なお、このような態度を取る職員は、問題社員の1類型とも言え、以下でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

 

▶︎参照:モンスター社員!特徴と対応方法を事例付きで弁護士が解説【放置厳禁】

 

 

【弁護士畑山 浩俊のワンポイントアドバイス】

もっとも、出勤に対して恐怖を覚える職員に対して、頭ごなしに出勤を命じることは必ずしも適切ではありません。

 

なぜなら、介護職員は、自分自身の感染予防に加えて、利用者の感染予防にも細心の注意を払いながら、日々の業務に当たっており、平時よりも大きな心理的ストレスを抱えているからです。

 

そのような職員が、感染の不安から仕事を休みたい、と考えることはむしろ当然の心境であり、事業所としては、そのような職員の気持ちには寄り添った上で、それでもなお、業務を継続する必要性があることを説得して理解を得ることが重要です。

 

職員のメンタルケアも、使用者である事業所の重要な安全配慮義務の1つです。新型コロナウイルス感染症の蔓延という危機を乗り切るために、事業所一丸となって取り組んでいきましょう。

 

 

(4)公的給付に関する説明

出勤命令を出す場合には、併せて公的給付の存在をアナウンスすることも重要です。

具体的には、「5.新型コロナウイルス感染症に関する公的給付」でも説明をするように、介護事業所に勤務する職員が新型コロナウイルス感染症に罹患した場合は、労災認定を受けて保険給付を受けられる可能性があり、事業所としても積極的にアナウンスをすべきです。

職員に業務を継続してもらうために、事業所としても、少しでも職員の不安を取り除けるような対応を検討していくようにしましょう。

 

4−3.職員が業務外の事情で濃厚接触者となった場合

ある介護事業所から、職員が「子どもが昨日熱を出し、検査をしたところ新型コロナウイルス感染症の陽性がわかったのですが、今日の出勤はどうしたらいいですか」と質問をしてきており、どう対応すればいいか助言が欲しいとの相談がありました。

 

(1)自宅待機の指示

まず、当該職員に対しては、まずは自宅待機を指示します。

新型コロナウイルス感染症は、その型などによっても感染力に違いはあるものの、例えば同居の家族が新型コロナウイルス感染症に罹患した場合などには、本人の感染の可能性は相当に高くなります。

そのため、状況がわからない段階においては、一旦は自宅待機を指示する必要があります。

これは、例えば同居の家族が、症状はあるものの、新型コロナウイルス感染症の検査を受け、その結果を待っている状況のため、まだ陽性の結果が出ていない、という場合でも同様です。

 

(2)検査の指示

既に、家族に新型コロナウイルス感染症の陽性が判明している場合には、当該職員にも検査を受けるよう指示をします。

また、症状を有している家族が新型コロナウイルス感染症の検査結果を待っている場合には、この検査結果を受けてから検査を指示します。

この時、いずれの場合であっても、検査費用は事業所側で負担し、速やかに検査を受けさせることが重要です。

 

(3)自宅待機、検査により欠勤した場合の給与の支払い

事業所外で新型コロナウイルス感染症に罹患した場合には、「2.職員に新型コロナウイルス感染症の陽性者がでたら?」でも解説した通り、事業所としては給与の支払い義務はありません。

もっとも、事業所外での新型コロナウイルス感染症への罹患かどうかについては、慎重に判断する必要があることや、自宅待機や検査による欠勤の場合は、少なくとも休業手当を支払う必要があることは、これまでに解説した通りです。

 

4−4.出勤した職員が発熱等の体調不良を有している場合

ある事業所から、出勤時に行なっている体温チェックで、職員が37.5℃の発熱をしていて、ただ職員自身は元気なので働けると言っているが、どのように対応したらいいかと相談を受けました。

 

(1)自宅待機の指示

まず、本人は働くことができると主張しているとしても、新型コロナウイルス感染症の症状の1つが具体的に出ている以上、事業所としては働かせることはできません。

そのため、出勤していても、できるだけ速やかに帰宅させ、自宅待機を指示すべきです。

 

(2)検査の指示

その上で、当該職員に対しては速やかに新型コロナウイルス感染症の検査を指示します。

検査費用については、他のケースと同様に、事業所で負担するようにしましょう。

 

(3)自宅待機、検査により欠勤した場合の給与の支払い

この場合、当該職員の新型コロナウイルス感染症の感染ルートが明らかでない場合、事業所において罹患した可能性もあることから、給与を全額支払う、労災について説明をした上で、労災の申請をしてもらうなどの方法を検討する必要があります。

また、自宅待機、検査により欠勤した期間については、休業手当以上の給与を支払う必要があります。

 

【弁護士畑山 浩俊のワンポイントアドバイス】

以上のように、様々なパターンにおける事業所の対応について例を挙げましたが、実際の労務問題はケースバイケースです。

 

職員にもそれぞれの事情があり、例えば「コロナが不安で休みたい」と言った職員に対して、既に現場の管理者が、その場で「構わない」と返事をしてしまっている場合など、事業所としての対応を別途検討しなければならない場合があります。

 

このような場合に、初動を誤ることで、職員との労務トラブルに発展したり、職員の離職を招くこともあります。

 

そのため、職員への対応に悩んだ際には、なるべく早い段階で弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。

 

 

5.新型コロナウイルス感染症に関する公的給付

新型コロナウイルス感染症は、様々な行動制限や営業の自粛、感染症対策の徹底など、国民の経済生活に多大な影響を与えました。

そのため、新型コロナウイルス感染症で影響を受けた方に対しては、既存のものから新しいものまで、さまざまな公的給付が用意されています。

なお、中には時期が限定されていたり、既に終了している給付もありますが、参考としてご覧ください。

 

5−1.職員に関する公的給付

 

(1)傷病手当

​​傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

具体的な要件は、以下の通りであり、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月間受給できます。

 

  • 1.業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  • 2.仕事に就くことができないこと
  • 3.連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  • 4.休業した期間について給与の支払いがないこと

 

受給できる1日あたりの金額は、以下の通りです。

 

支給開始日以前に継続した12ヶ月間の各月の標準月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3 = 受給できる1日あたりの金額

 

 

詳しい計算方法、各要件、申請書類等については、以下のページでも詳しく解説、紹介されていますので、併せてご覧ください。

 

▶︎参考:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」

 

 

もっとも、「受給できる1日あたりの金額」の計算方法からもわかるように、傷病手当として受け取ることができる金額は、1ヶ月の給与を、実労働日ではなく月日数である30日で除している上、支給額はそのうちの3分の2であり、さらに休業4日目以降出なければ手当てを受給できません。

傷病手当自体は、もちろん働いていない期間に交付されるものなので、無給となることを考えれば1つの生活保障の制度ではありますが、必ずしも十分な補償とは言い難く、ここまでにも解説してきたように、常に新型コロナウイルス感染症への感染を恐れながら業務を継続してきた職員にとっては不満が残る対応になるかもしれません、

 

(2)労働災害給付金

そこで、新型コロナウイルス感染症への罹患が、業務に起因するものであったとして、労災保険給付金を受け取ることも考えられます。

本来、労災保険給付の対象となるには、感染経路が業務によることが明らかな場合、という要件が必要ですが、感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務それにより感染した蓋然性が強い場合には、給付の対象となります。

具体的には、複数の感染者が確認された労働環境下での業務に従事した場合や、顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下の業務に従事している場合が、感染リスクが高い業務であると言えます。

そのため、医師・看護師や介護の業務に従事される方々については、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として労災保険給付の対象となります。

受けられる労災保険の種類としては、以下の3種類がありますが、いずれも労働者である職員自らが行う必要があります。

 

  • 1.療養補償給付
  • 2.休業補償給付
  • 3.遺族補償給付

 

詳しくは、以下のリーフレットQ&Aを併せてご覧ください。

 

▶︎参考:厚生労働省「職場で新型コロナウイルスに感染した方へ」(PDF)

▶︎参考:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」

 

 

事業所によっては、「労災」と聞くとあまりいい印象を持たず、責任追求をされているように感じ、手続きの利用に難色を示すことがあるかもしれません。

しかしながら、労災保険給付はあくまで「業務に起因して」起きた災害に対して支給されるものですから、事業所の責任を追及するものではありません。
そのため、事業所としては職員の不安を少しでも軽減するため、新型コロナウイルス感染症に関しては、積極的に労災保険の利用をアナウンスすることをお勧めします。

また、以下の動画でも、新型コロナウイルス感染症に関する労災保険給付について解説していますので、併せてご覧ください。

 

 

 

(3)新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金

介護サービスは、高齢者やその家族の生活を支え、高齢者の健康を維持する上で不可欠なサービスであり、さらに感染による重症化リスクが高い高齢者に対する接触を伴うサービスが必要となるという特徴から、最大限の感染症対策を継続的に行いつつ、必要なサービスを提供する体制を構築する必要があります。

そこで、介護事業所が必要な物資を確保するとともに、感染症対策を徹底しつつ介護サービスを再開し、継続的に提供するための支援の1つとして、新型コロナウイルスの感染防止対策を講じながら介護サービスの継続に努めた職員に対して慰労金を支給するという事業が実施されました。

これが、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金であり、具体的には以下の通りです。

 

新型コロナウイルス感染症が発生又は濃厚接触者に対応した施設・事業所に勤務し利用者と接する職員に対して慰労金(20万円)を支給し、これ以外の施設・事業所に勤務し利用者と接する職員に対して慰労金(5万円)を支給するものとされました。

 

 

これらの慰労金の支給は、原則として対象となる職員の属する事業所が代理受領し、各職員に交付することになります。

申請方法については、各都道府県によって異なることがありますので、詳しくは以下のページの他、各事業所を管轄する都道府県のホームページなども併せてご覧ください。

 

▶︎参考:厚生労働省「介護サービス事業所・施設等における感染症対策支援事業等及び職員に対する慰労金の支給事業」について

 

 

5−2.事業所に関する公的給付

 

(1)雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、「新型コロナウイルス感染症の影響」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、「労使間の協定」に基づき、「雇用調整(休業)」を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。

また、事業主が労働者を出向させることで雇用を維持した場合も、雇用調整助成金の支給対象となります。

支給対象となる事業主は、以下の条件を満たす全ての業種の事業主です。

 

  • 1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
  • 2.最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している(※)
    ※比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置があり
  • 3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている

 

なお、この措置は、新型コロナウイルス感染症流行下における特例措置であり、令和2年4月1日から令和4年6月30日までの緊急対応期間のみに適用されています。

詳しい給付要件や助成金の計算方法は、以下のページを併せてご覧頂き、上記期間の経過後に、特例措置が延長されるか、通常時の雇用調整助成金制度に戻るかについては、気を付けて確認するようにしてください。

 

▶︎参考:厚生労働省:雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

 

 

(2)地方公共団体による助成金・補助金

これらの国の制度の他にも、地方公共団体が独自の支援を実施している場合があります。

例えば、和歌山県では、新型コロナウイルスの感染拡大により売上が減少している和歌山県内の飲食業、宿泊業、サービス業及び地場産業などをはじめとする幅広い業種に対し、事業継続を下支えするため、県独自の給付金を支給(従業員規模に応じ、15万円~200万円)しています。

 

▶︎参考:和歌山県「新型コロナウイルス感染症に係る和歌山県の支援策について」

 

 

その他にも、様々な助成金、融資制度などを独自に運用している場合がありますので、皆さんの事業所が属している地方公共団体でどのような支援がされているか、是非1度調べてみてください。

 

6.介護業界に特化した弁護士法人かなめによるサポート内容のご案内!

介護業界に特化した弁護士法人かなめによるサポート内容のご案内!

弁護士法人かなめでは、介護業界に精通した弁護士が、以下のようなサポートを行っています。

 

  • (1)新型コロナウイルス感染症発生時の対応への助言
  • (2)顧問サービス「かなめねっと」

 

6−1.新型コロナウイルス感染症発生時の対応への助言

新型コロナウイルス感染症の陽性者が発生すると、これに付随して、職員への対応に関して、迅速に検討、対応しなければならない様々な問題が発生します。

この対応を誤ることで、職員との労働トラブルが発生し得る他、さらには職員が事業所の方針に反発し、離職をするなどの事態も発生しかねません。

弁護士法人かなめでは、事業所に寄り添いながら、新型コロナウイルス感染症の陽性者の発生時や、その他新型コロナウイルス感染症にまつわる様々な職員対応に対し、助言やアドバイスを実施します。

 

6−2.弁護士費用

弁護士法人かなめへの法律相談料は以下の通りです。

 

  • 1回目:1万円(消費税別)/1時間
  • 2回目以降:2万円(消費税別)/1時間

 

※相談時間が1時間に満たない場合でも、1時間分の相談料を頂きます。

※スポットでの法律相談は、原則として3回までとさせて頂いております。

※法律相談は、「1,弁護士法人かなめにご来所頂いてのご相談」、又は、「2,ZOOM面談によるご相談」に限らせて頂き、お電話でのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

※また、法律相談の申込みは、お問合わせフォームからのみ受け付けしております。

 

弁護士法人かなめの「お問い合わせフォーム」はこちら

※介護事業所の経営者側からのご相談に限らせて頂き、他業種の企業様、職員等一般の方からのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

 

 

6−3.顧問弁護士サービス「かなめねっと」

弁護士法人かなめでは、顧問弁護士サービス「かなめねっと」を運営しています。

具体的には、弁護士法人かなめでは、トラブルに迅速に対応するためチャットワークを導入しています。事業所内で何か問題が発生した場合には、速やかに弁護士へ相談できる関係性を構築しています。

具体的には、弁護士と介護事業所の関係者様でチャットグループを作り、日々の悩み事を、法的問題かどうかを選択せずにまずはご相談頂き、これにより迅速な対応が可能となっています。いつでもご相談いただける体制を構築しています。法律家の視点から利用者様とのトラブルをはじめ、事業所で発生する様々なトラブルなどに対応しています。

直接弁護士に相談できることで、事業所内社内での業務効率が上がり、情報共有にも役立っています。

顧問弁護士サービス「かなめねっと」について詳しくは、以下のサービスページをご覧ください。

 

▶参照:顧問弁護士サービス「かなめねっと」について

 

 

以下の記事、動画でも詳しく説明をしていますので、併せてご覧下さい。

 

▶︎参照:介護施設など介護業界に強い顧問弁護士の選び方や費用の目安などを解説

 

 

(1)顧問料

  • 顧問料:月額8万円(消費税別)から

 

※職員従業員の方の人数、事業所の数、業務量により顧問料の金額は要相談とさせて頂いております。詳しくは、お問合せフォームまたはお電話からお問い合わせください。

 

7.まとめ

この記事では、介護職員と新型コロナウイルス感染症に関する様々な場面で、介護事業書がどのような対応をすべきかについて、具体的な対応例を紹介しながら解説しました。

そして、新型コロナウイルス感染症の対策をしながら事業を継続する事業所や職員へのメンタルケアや助成の内容についても紹介しましたので、日々新型コロナウイルス感染症対策をしながら事業継続のために邁進している事業所の皆さんは、参考にしてみてください。

そして、職員への対応に悩んだ場合は、できるだけ早く弁護士に相談するようにしてください。

 

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この記事を書いた弁護士

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畑山 浩俊はたやま ひろとし

代表弁護士

出身大学:関西大学法学部法律学科卒業/東北大学法科大学院修了(法務博士)。
認知症であった祖父の介護や、企業側の立場で介護事業所の労務事件を担当した経験から、介護事業所での現場の悩みにすぐに対応できる介護事業に精通した弁護士となることを決意。現場に寄り添って問題解決をしていくことで、介護業界をより働きやすい環境にしていくことを目標に、「介護事業所向けのサポート実績日本一」を目指して、フットワークは軽く全国を飛び回る。

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