
近年、顧客からのハラスメント、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の問題は深刻化しており、特に介護事業者に対するハラスメントについては無視できない問題となっています。
カスタマーハラスメントを放置すれば、円滑なサービス提供が阻害され、職員の疲弊や離職に繋がりかねません。
カスハラへの対応は、事業所一丸となり、同じ目標に向かって進めることが重要ですが、そのためには、職員1人1人が、カスタマーハラスメントに対する知識やその対応方法を身に付けていくことが肝要です。そのために重要となってくるのが、カスタマーハラスメント研修です。
この記事では、カスタマーハラスメント研修に関して、その目的や必要性、研修によって実現すべきことやその内容について解説します。さらに、弁護士法人かなめが実施するカスタマーハラスメント研修についても、併せて紹介していますので、カスタマーハラスメント研修の講師を探している事業所の皆さんは、参考にしてください。
なお、カスタマーハラスメントへの対応方法等については、以下の記事で詳しく説明していますので、併せてご覧下さい。
この記事の目次
1.カスタマーハラスメント(カスハラ)研修とは?
まずは、カスタマーハラスメント(カスハラ研修)の基礎知識について解説します。
1−1.そもそもカスハラとは?
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客からの要求内容、又は、要求態度が社会通念に照らして著しく不相当であるクレームや 顧客からの迷惑行為のことをいいます。
例えば、介護現場においては、以下のような迷惑行為があげられます。
- 謝罪として土下座を要求する
- 職員の解雇を要求する
- 実現不可能な要求(法律を変えろなど)や義務のない行為を要求する
- 発生した事実に対して担当者が相応に対応しているにもかかわらず、上司を出せと要求する
- 暴力をふるう、身体を触る
- 性的な発言をする
さらに詳しく介護業界におけるカスハラ事例について知りたい方は、以下の記事で解説してますのであわせてご参照ください。
1−2.カスタマーハラスメント研修ってどんなことをするの?
カスタマーハラスメント(カスハラ)研修は、近年問題となっているカスハラに関して、その意義や具体例、対応方法や防止方法を学ぶための研修です。
詳しくはこの記事の「3.カスタマーハラスメント(カスハラ)研修を通して実現すべきこと」や「4.カスタマーハラスメント(カスハラ)研修のテーマ」で詳しく解説していますので、順番にご覧ください。
1−3.カスタマーハラスメント研修は義務?
令和3年度の介護報酬改定においては、パワーハラスメント及びセクシャルハラスメントなどのハラスメント対策として、介護サービス事業者の適切なハラスメント対策を強化する観点から、全ての介護サービス事業者に、男女雇用機会均等法等におけるハラスメント対策に関する事業者の責務を踏まえつつ、ハラスメント対策として必要な措置を講ずることを義務づけました。
その際、義務ではないものの、併せて、カスタマーハラスメントについては、その防止のための方針の明確化等の必要な措置を講じることが推奨されました。
詳しくは、以下の厚生労働省のホームページもご覧ください。
カスタマーハラスメント研修そのものについて、義務があるわけではありませんが、カスタマーハラスメントの防止のための必要な措置として、研修をすることは非常に有意義です。
1−4.カスハラ研修の目的
カスハラ研修は、事業所が一丸となってカスタマーハラスメントへ対応をしていくために、職員1人1人が、カスタマーハラスメントに対する知識やその対応方法を身に付けることを目的として実施されます。
2.カスタマーハラスメント研修の必要性
事業所運営の中では、日々様々な問題に直面します。しかしながら、日々の業務の忙しさの中で、問題に気付きながらも手が回らなかったり、その状況が常態化してしまい、問題に気付くこともできない状況となっている場合もあるのではないかと思います。
そんな時に、重要となるのが「カスタマーハラスメント研修」です。
カスタマーハラスメント研修を受けることで、まずは各事業所が抱えてる問題に気付くことができます。そして、これに対して、1つでも多くの解決手段を持ち帰ることができれば、事業所の皆さんが安心して業務に専念できる環境を実現することができます。
3.カスハラ研修を通して実現すべきこと
カスハラ研修は、以下のような内容を実現するために実施します。
- 1.基礎知識を身につける
- 2.カスハラとクレームとの判断基準
- 3.カスハラの対処法
- 4.組織としてカスハラの対策
- 5.カスハラ防止対策
以下で、順に解説します。
3−1.基礎知識を身につける
カスタマーハラスメントに対応するためには、まずは基礎知識を身につけることが肝要です。カスハラ研修では、カスハラの定義や、具体例など、カスハラの基礎知識を身に付けることを目指します。
3−2.カスハラとクレームとの判断基準
利用者や利用者家族からのクレームが、全てハラスメントとなるわけではありません。そのため、カスハラ研修では、カスハラとクレームについて、その判断基準を身に付けることを目指します。
3−3.カスハラの対処法
カスハラ研修において、最も重要なのはその対処法です。カスハラ研修では、具体例などをもとに、カスタマーハラスメントへの対処法を身に付けることを目指します。
3−4.組織としてのカスハラ対策
カスハラ対策は、職員個人の対応だけでは不十分であり、法人全体としての組織対応が非常に重要です。カスハラ研修では、組織としてカスタマーハラスメントへ対応することの重要性を学び、その対策方法を身に付けることを目指します。
3−5.カスハラ防止対策
カスハラ対策は、まずはカスタマーハラスメントを発生させないことが肝要です。カスハラ研修では、カスタマーハラスメントが発生する原因を学び、その防止策を身に付けることを目指します。
4.カスタマーハラスメント(カスハラ)研修のテーマ
以下では、具体的なカスタマーハラスメント(カスハラ)研修のテーマについて紹介します。
4−1.カスハラ研修の主なテーマ
カスハラ研修の主なテーマとして、一般的には以下のようなテーマがあります。
(1)カスタマーハラスメントの見分け方
事業所の皆さんが悩まれるポイントとして、利用者や利用者家族からのハードクレームについて、「これは我慢しなければならないクレームなのか否か」という点があります。
そのため、利用者や利用者家族の態度が、カスタマーハラスメントなのか否かについて、見分け方を知りたいという希望は多く、研修の内容としても、非常に関心の高いテーマとなります。
(2)カスタマーハラスメントが起きる原因
一口にカスタマーハラスメントと言っても、その原因は必ずしも同一ではなく、原因によって対応方法も異なります。
そのため、カスタマーハラスメントの発生原因を学ぶことは、カスタマーハラスメント対応の前提を学ぶことであり、非常に重要です。
(3)カスタマーハラスメントの具体的な事例
事業所の皆さんは、「自分が受けているこのハードクレームは、果たしてカスタマーハラスメントなのだろうか」という点へ非常に大きな関心を持っていますが、これを判断するにあたっては、具体的な事例から学ぶことが近道です。
自分たちの事業所で発生している事案と同種の事案に触れることで、「もしかしたらこれは、カスタマーハラスメントとして対応が可能なのでは?」と気付くことができ、カスハラ対応の前提となります。
(4)カスタマーハラスメントへの正しい対処方法
事業所の皆さんが最も知りたいのは、カスタマーハラスメントへの対処方法です。そして、その対処方法は当然ながら法的に正しいものでなければならず、どのような場合にどのような対応をしていいか、具体的に知りたいと考えています。
そのため、様々なカスタマーハラスメントの事案に関して、対処方法のバリエーションを学ぶことは、非常に有益であり、かつ、ニーズも多いテーマです。
(5)カスタマーハラスメントを防止するための対処方法
カスタマーハラスメントについては、発生原因等を分析することで、事前に防ぐことも可能です。
そのため、テーマとしては、発生したカスタマーハラスメントへの対応のみならず、カスタマーハラスメントの発生そのものを食い止めるため、防止策についてとり上げることも多々あります。
4−2.弁護士法人かなめが実施したカスハラ研修テーマ
弁護士法人かなめでは、これまで数多くのカスハラ研修を実施してまいりました。
具体的には、以下のようなテーマで実施しています。
(1)カスタマーハラスメント(不当要求)の見分け方
弁護士法人かなめが実施した「不当要求の見分け方」をテーマにしたカスハラ研修では、「義務がある場合とない場合を区別する」「何らかの義務がある場合の考え方」「落ち度がある場合について」などについて講師が詳しく解説しています。
(2)カスタマーハラスメントの事案解説
弁護士法人かなめが実施した「カスタマーハラスメントの事案解説」をテーマにしたカスハラ研修では、「東京地裁令和3年7月8日判決の裁判例」など、カスタマーハラスメントに関する具体的な裁判例について講師が詳しく解説しています。
(3)カスタマーハラスメントの事例検討
弁護士法人かなめが実施した「カスタマーハラスメントの事例検討」をテーマにしたカスハラ研修では、「実際に具体的な事例をあげて、その事例に対しての対応方法」について講師が詳しく解説しています。
(4)カスタマーハラスメントへの対応のポイント
弁護士法人かなめが実施した「カスタマーハラスメントの対応ポイント」をテーマにしたカスハラ研修では、「カスハラ発生時の対応として、「初動対応の心構え」や「組織的対応の重要性」などの重要ポイント」について講師が詳しく解説しています。
5.カスタマーハラスメント研修はどうやって行う?
カスタマーハラスメント研修の方法としては、その種類として以下の2つがあります。
- 1.カスハラに精通した外部の専門家の講師に依頼して研修を行う方法
- 2.事業所内で行う研修方法
また、研修の形式として、主に以下の3つの形式があります。
- 1.講義形式
- 2.座談会形式
- 3.ケーススタディ形式
以下で、順に解説します。
5−1.カスタマーハラスメント研修の種類
カスタマーハラスメント研修は、大きくは外部講師に依頼する場合と事業所内部で実施する場合があります。
例えば、以下のようなとニーズがある場合には、「1.カスハラに精通した外部の専門家の講師に依頼して研修を行う方法」が適しています。
- カスタマーハラスメントに関して、専門的な知識やその対応方法について学びたい
- 実際の対応事例を知りた
- 事業所内では気付けない視点を得たい
一方、以下のようなとニーズがある場合には、「2.事業所内で行う研修方法」も併用することをお勧めします。
- 定期的に研修を実施したいけど、コストは抑えたい
- 事業所内で発生した事案を共有して解決方法を話し合いたい
- 事業所の職員全員だけでなく、職員の部署や立場などによって柔軟に研修を実施したい
5−2.研修の形式
カスタマーハラスメント研修は、対面による研修の他、近年はWeb(オンライン)による研修も実施されています。
カスハラ研修の実施方法としては、大きく分けて以下の3つの形式などがあり、事業所のニーズに基づいて、講師との相談により決めることができる場合もあります。
(1)講義形式
カスタマーハラスメントの基礎知識を学ぶ時のように、知識収集を目的とした研修の場合は、講義形式が適しています。
(2)座談会形式
講師の実際の対応事例から学ぶ場合には、実際にカスタマーハラスメントに対応した講師同士の会話を聞いたり、これに対して積極的に質問しながら掘り下げていくことができる座談会形式が適しています。
(3)ケーススタディ形式
実践的にカスタマーハラスメント対応を学びたい場合には、実際の事例を参考にしながら、各参加者が「自分ならどうするか」を具体的に考え、他の参加者の考え方や意見なども聞くことができるケーススタディ形式が適しています。
6.カスタマーハラスメントの研修依頼は「弁護士法人かなめ」まで
弁護士法人かなめでは、介護特化型弁護士による研修講師サービスを実施しています。
6−1.弁護士法人かなめのカスハラ研修の特徴
- 1.介護特化型の法律事務所による全国の介護事業所の顧問実績から「介護業界を全般的に精通している」
- 2.介護特化型弁護士として実績豊富な講師陣だからこそ、「実践的な現場主義の高いクオリティの研修を実現」
- 3.研修後の満足感だけで終わらない「研修テーマに関するお困りごとを弁護士に個別相談できる特典付き」
- 4.「オーダーメイドの研修にも対応」より効果的な研修を実現
- 5.「豊富な研修講師実績」各講師が豊富な講師実績を有しています(参考:代表弁護士 畑山 浩俊が1年間に実施したセミナー数「43件」※2021年)
6−2.弁護士法人かなめの研修講師サービスの紹介
弁護士法人かなめは、介護特化型法律事務所として、全国の介護事業所の顧問サポートによる豊富な実績と経験から、実践的な現場主義の研修を実施しています。
具体的には、所属する各弁護士が、介護業界に関連する法律に精通するだけでなく、介護業界特有のトラブル、介護業界の専門知識やよくある問題にも精通していますので、「言っていることはわかるけど、一般論すぎてどう活かせばいいのかよくわからない」というストレスを感じずにすみます。
詳しくは、以下の弁護士法人かなめの研修講師サービスサイトをご覧ください。
6−3.弁護士法人かなめで実施した「カスハラ研修」の依頼者の感想
実際に、弁護士法人かなめで実施した「カスハラ研修」の依頼者の皆様からは、以下のようなご感想をいただいています。
▶参考:「カスハラ研修」の依頼者の声を一部ご紹介
- 「お話しとても分かりやすくて良かったです。介護の現場での実例をあげて法律に基づいて正しい対応を教えていただけたところが参考になりました。」
- 「具体的事例が身近な内容で、業務に照らし合わせて考えられた。」
- 「事例にもとづき、解説いただきわかりやすかった。細部の説明でこちらの理解の修正ができ役立ちました。」
弁護士法人かなめへの研修講師のご依頼に関するお問い合わせは、以下の研修講師サービスサイトのお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
7.まとめ
この記事では、カスタマーハラスメント研修に関して、その目的や必要性、研修によって実現すべきことやその内容について解説しました。
さらに、弁護士法人かなめが実施するカスタマーハラスメント研修について、その特徴やご依頼の方法についても紹介しましたので、カスタマーハラスメント研修の講師を探している事業所の皆さんは、参考にしてください。
しっかりとカスタマーハラスメント研修を受け、日々の事業所運営に活かして行きましょう。
8.【関連情報】カスハラに関するその他のお役立ち情報
この記事では、「介護業界のカスタマーハラスメント研修!必要なカスハラ研修内容や実施方法を解説」として、介護業界におけるカスハラ研修についてを解説してきましたが、この記事でご紹介していないカスタマーハラスメントに関するお役立ち情報も以下でご紹介しておきますので、あわせてご参照ください。
・カスハラ対策!カスタマーハラスメントのマニュアルや指針策定、防止策を解説
・介護現場でのカスタマーハラスメント(カスハラ)を訴える!具体的な方法を解説
・カスタマーハラスメントの相談窓口の整備・開設方法を弁護士が解説
「弁護士法人かなめ」のお問い合わせ方法
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