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カスハラ事例!よくある介護現場のカスタマーハラスメント例を解説

カスタマーハラスメントの事例!介護現場でよくあるカスハラを徹底解説
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近年、顧客からのハラスメント、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の問題は深刻化しており、特に介護事業者に対するハラスメントについては、無視できない深刻な問題となっています。

しかしながら、介護事業所の職員の中には、利用者や利用者家族からのハラスメント行為を我慢しなければならないと考えている方も多く、その結果、ハラスメント行為がエスカレートし、職員が疲弊してしまうまで、介護事業所として認知さえできない場合もあります。利用者や利用者家族からのハラスメント行為を放置すると、円滑な介護事業所の運営が妨げられ、対応を迫られた職員の方が精神を病んでしまうこともあります。

介護事業所は、職員に対して安全配慮義務を負っていますので、利用者や利用者家族からのハラスメント行為を認識しながら放置したことで、職員が精神疾患を発症したような場合、損害賠償義務を負う可能性もありますし、何より、介護事業所にとって、カスタマーハラスメントを認識できないことで、職員が離職してしまう事態は避けなければなりません。

カスタマーハラスメントへ対応していくためには、まずはその事例を知ることが重要です。

そこで、この記事では、介護現場におけるカスハラの具体的な事例について、裁判例などを通じて解説します。また、弁護士法人かなめが実際に相談を受けた事例についても、そのアドバイス内容と共に紹介しますので、「これってカスハラなの?」と頭を悩ませている事業所の皆さんは、是非参考にして下さい。

それでは、見ていきましょう。

 

 

【弁護士畑山浩俊のワンポイントアドバイス】
介護に関するハラスメントとして、「介ハラ」「ケアハラ」という言葉があります。これは、介護に関する制度の利用等を理由とするハラスメントであり、いわゆる利用者、利用者家族などを相手とするカスタマーハラスメントではなく、社内におけるハラスメントの1つです。

 

 

1.そもそも「カスタマーハラスメントとは?」

カスハラとは、カスタマーハラスメントの略称であり、顧客からの要求内容、又は、要求態度が社会通念に照らして著しく不相当であるクレームや 顧客からの迷惑行為のことをいいます。

ここでは、介護事業所におけるカスタマーハラスメントの特徴などについて解説します。

なお、カスタマーハラスメントに関する対応方法など全般的な解説については、以下の記事で詳しく説明していますので、併せてご覧下さい。

 

▶︎参考:カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?対応方法などを事例付きで解説

 

 

1−1.カスタマーハラスメントに対応する意義

介護事業所が、カスタマーハラスメントへの対応を怠り、職員に対応を丸投げしてしまうと、対応する職員は疲弊して、精神疾患を発症したり、最悪の場合には離職につながる場合もあります。

さらには、精神疾患を発症したり、離職した職員から、事業所に労働契約上の安全配慮義務違反があるとして、損害賠償請求をされる可能性もあります。

慢性的な人手不足に悩む介護事業所にとっては、職員の離職は死活問題です。そして、職員の離職や、職員がカスタマーハラスメントの対応へ時間を割かれることで、他の利用者に対して本来提供すべきサービス提供が十分に実施できないなどの問題も発生し得ます。

このように、カスタマーハラスメントへの対応は、介護事業所が、事業所全体として取り組んでくべき問題なのです。

 

1−2.介護現場でのカスハラの特徴

(1)利用者の状態

介護サービスは直接的な対人サービスが多く、「利用者本人の認知機能等に問題がある場合が多いこと」、「利用者宅への単身の訪問や利用者の身体への接触も多いこと」、「職員の女性の割合が高いこと」、「生活の質や健康に直接関係するサービスであり安易に中止できないこと」等から、非常に対応が難しいのが現状です。

そのため、事業所や職員も、ある程度は甘受しなければならないものとして、サービス提供を実施していることが多いです。

 

(2)対応すべき相手は利用者だけではない!

介護現場でのカスハラの大きな特徴は、サービスを受けている本人だけでなく、その家族が行為者となることが多いことです。

例えば、利用者本人に特には問題がないにもかかわらず、家族からの無理な要求、暴言などが繰り返され、職員が疲弊しているケースもあります。

 

(3)利用契約解除の難しさ

事業者は、法令上、正当な理由がない限りサービス提供を拒むことができず、これは利用契約を解除をする際でも同様です。そのため、契約上の解除事由があったとしても、直ちに解除ができるというものではありません。

また、例えば、訪問介護やデイサービスのような居宅サービスの場合は、一時的にサービス提供を中止することも可能かもしれませんが、特別養護老人ホームなどの施設サービスの場合は、現実的に施設からすぐに退去してもらう、と言うことが非常に困難です。

そのため、カスタマーハラスメントへの対応は長期戦が予想され、計画的にかつ適時に対応していかなければ、気が付いた時には職員が疲弊し、必要な手続を踏む余裕がない状況に陥ります。

 

2.介護現場での利用者からのカスハラの事例紹介

介護現場での利用者からのカスタマーハラスメントの事例紹介

まずは、介護現場での利用者からのカスハラの事例を見ていきましょう

 

2−1.介護現場での利用者からの主なカスハラ事例一覧

 

事例1:身体的暴力

  • 訪問介護サービスにおいて、訪問時間に遅刻したことを理由にビンやコップを投げつけられる。
  • 介助中に腕をつねったり髪を引っ張るなどする。
  • 職員の眼鏡を壊したり、服を破ったりする。

 

事例2:精神的暴力

  • 「変な顔」「早く帰れ」などの暴言を、ケアの度にどのヘルパーにも言う。
  • ヘルパーの容姿をけなしたり悪口を言う。
  • 気に入らないことがあれば、「介護士ごときが」などと暴言を吐きながら説教をする。

 

事例3:セクシュアルハラスメント

  • 女性ケアマネが自宅に訪問した際、体を触られたり卑猥な言葉を言われる。
  • ヘルパーの訪問時に、アダルトビデオを流したり、卑猥な雑誌を広げた状態で置いておく。
  • 女性職員に対して執拗に交際や関係を迫る。

 

利用者からのカスハラの中には、認知症等の病気または障害の症状として表れる言動(BPSD:認知症の行動症状(暴力、暴言、徘徊、拒絶、不潔行為等)・心理症状(抑うつ、不安、幻覚、妄想、睡眠傷害等)のこと)も多々あり、医療的なケアが必要な場合もあります。

しかしながら、利用者と実際に対応している職員にとっては、利用者の行為がハラスメントであろうとBPSDであろうと、心身共に疲弊し、追い詰められる状況は同じです。

そのため、介護事業所としては、利用者からのこのような様々な行為に対して、職員から速やかに報告を受けられる体制を取り、以下のような対応をする必要があります。

 

  • 職員が対応に疲弊している状況であれば、まずは当該職員を担当から外すなどの緊急対応を取る。
  • ケアマネージャーやかかりつけ医などの意見を確認しながら利用者の状態を速やかに確認し、カスハラとして対応すべきか、医療的対応をすべきかの判断をする。
  • 利用者の家族に連絡を取り、利用者の状況を説明の上、対応を協議する。

 

また、利用者の中には、自分の行動が相手を不快にさせているという認識がない人もいます。

例えば、セクシュアルハラスメントの中の「ヘルパーの訪問時に、アダルトビデオを流したり、卑猥な雑誌を広げた状態で置いておく。」などについて、利用者本人は別に問題はないと考えている場合も少なくなく、このような場合には、利用者の行為がハラスメントにあたることをはっきりと説明することも重要になります。

この段落では、「介護現場での利用者からのカスハラの事例」をいくつか取り上げて解説してきましたが、「4.弁護士法人かなめが対応したカスタマーハラスメントの事例紹介」では実際に弁護士法人かなめが対応したカスハラ事例もご紹介していますので、そちらも参考にご覧ください。

 

3.介護現場での利用者以外からのカスタマーハラスメントの事例紹介

介護現場での利用者以外からのカスタマーハラスメントの事例紹介

では、利用者以外、具体的には利用者の家族からのカスタマーハラスメントの事例について解説します。

 

3−1.利用者以外からの主なカスハラ事例紹介一覧

 

  • 事例1:利用者家族が、施設訪問時に、職員に対して罵詈雑言を浴びせる。
  • 事例2:利用者家族が、利用者へのサービス提供中に、利用者家族の悩みの相談に乗るように執拗に求めてくる。
  • 事例3:利用者家族が、利用者への特別扱いを求め、これを断ると何時間も怒鳴り散らして帰らない。

 

3−2.利用者以外からのカスタマーハラスメントの事例への対処方法をご紹介

利用者家族の行動の中には、利用者を思うがあまりに過激になっているものもありますが、これとは関係なく、利用者への何らの義務のない特別待遇や利用者家族への便宜を図るよう執拗に求めてきたり、職員に対して人格を否定するような発言を繰り返すなど、利用者へのサービス提供の妨げとなるようなものも多くあります。

介護現場におけるハラスメントのほとんどは利用者家族によるものであり、利用者は平穏に生活を送っているにも拘わらず、利用者家族によるカスタマーハラスメントによって、サービス提供が困難となることがあります。

このような場合、介護事業所として重要なことは、利用契約に基づいて義務のあることとないこと、道義的にやるべきこととやるべきでないことを、他の利用者との関係も考慮しながらはっきりと区別することです。

例えば、「事例1:利用者家族が、施設訪問時に、職員に対して罵詈雑言を浴びせる。」や事例2のように、そもそも利用者家族から、罵詈雑言を浴びせられたり怒鳴られ、これに耐える義務などはありませんし、「事例2:利用者家族が、利用者へのサービス提供中に、利用者家族の悩みの相談に乗るように執拗に求めてくる。」のように、利用者家族からの相談を、利用者へのサービスに支障をきたしてまで聞く必要もありません。

しかしながら、様々な要求をされる状況が常態化すると、ずるずると要求に応じてしまい、だんだんと状況がエスカレートしていく場合もあります。

そのため、介護事業所としては、カスタマーハラスメントかどうかが曖昧であっても、職員が「これはおかしいのではないか?」と感じた段階で、すぐに報告ができるような窓口を設置することが重要です。

カスタマーハラスメントの相談窓口の設置に関しては、以下の記事でも詳しく説明していますので、併せてご覧ください。

 

▶︎参考:カスタマーハラスメントの相談窓口の整備・開設方法を弁護士が解説

 

 

また、介護現場でのハラスメント事例については、厚生労働省が事例集を紹介していますので、こちらも併せてご覧下さい。

 

▶参照:「介護現場におけるハラスメント事例集:株式会社三菱総合研究所」(令和2年度厚生労働省老人保険事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分))pdf

 

 

【弁護士 畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

もっとも、「義務のないことは一切やりません!」という態度では、利用者や利用者家族との信頼関係を築くことが難しい場合もあります。

 

人と人の関係性の中で、法的な義務だけではなく、道義的な配慮や心遣いはとても重要で、義務の有無に関わらず、相手の悩みや不安、想いに寄り添うこと自体が、円滑なサービス提供を助ける場合もあります。

 

そのため、事業所としては、職員に義務のあることのみを選んでさせるのではなく、利用者や利用者家族から求められていることの位置付けをしっかり把握しながら、その都度、当該サービス提供の是非や対応の是非を検討することが重要です。

 

 

3−3.裁判例

 

東京地判R3.7.8「老人ホームにおけるカスタマーハラスメントの事例」

 

概要

利用者家族(被告、利用者は母)による、施設職員(原告)への以下のような行為から、施設が利用者との利用契約を解除し、施設利用契約解除後に、施設利用料の2倍を請求したという事案です。

具体的な利用者家族の言動は以下の通りです。

 

・ 被告から原告の職員に対して「馬鹿野郎」 「お前なんかやめちまえ」 「○○なのに、何の提案もできないナースは辞めろ、いる意味がない」 「あんなくそナース、辞めちまえ」「あんなのクビだろ」「俺が指示しなきゃなんの提案もできない施設か」「医師の指示、医師の指示って、何もしねえ○○かよ」「夜間ほぼほぼ何もやってねえよ」「何が忙しいだよ、ほんと酷い施設だな」 「刑事裁判を起こす」 「裁判の勝ち負けが問題ではなく、訴えを起こすことが大切」 「看護職員より免許を奪う方法はあるのか」 「ここを出ていく時はスタッフを個人名で訴える」などの暴言、脅迫があったこと

・ ホーム長を「エンドウ豆、チビ」 その他の職員を「デブ」や「ハゲ」などと、人格否定や侮辱等の意味合いを持つ呼び方をしていたこと

・ 被告が被告の母の経管栄養の滴下速度を被告の考えで変更することや、原告の職員に対し、立位を伴う排せつ介助を強要すること、主治医による臨時往診、定期往診をキャンセルすることなどを止めるように強く求めたこと。

 

 

これに対して被告は、このような行為は行っていないと否定し、争っていた

 

▶参考:

<利用契約>

利用者、保証人及び利用者の家族その他の家計者は、本件ホームの利用に当たり 本件ホーム又はその敷地内において次に掲げる行為を行うことはできない(本件契約第14条)。

⑩号 他の利用者の生活や原告による他の利用者に対するサービスの提供に著しく悪影を及ぼす言動
⑪号 他の利用者又は原告の従業員の心身又は生命に危害を及ぼす行為
⑫号 本件ホーム又は本件ホームの周辺において、著しく粗野もしくは乱暴な言動を行い、又は威勢を示すことにより、他の利用者、付近の住民、通行人又は原告の従業員に不安を覚えさせる行為

 

 

裁判所の判断

被告の行動をいずれも認定し、原告による利用契約の解除を有効とした。

この時、原告のホーム長がつけていた記録や原告から被告に対して送付した9回以上書面(被告の言動を具体的に指摘の上、言動の改善を求める旨の書面)が、被告の行動を認定する証拠として用いられた。

 

【弁護士 畑山浩俊のコメント】

 

この施設では、利用契約において、利用者の家族がその当事者となる場合の解除についても定めており、さらに、9回にわたって、被告の行動を指摘し、当該行為をやめるよう伝える書面を送付しています。

 

カスタマーハラスメントの場面では、証拠の収集も非常に重要であり、可能な限り録音等による証拠の保全が重要ですが、録音等をとることが難しい状況であっても、この事例のように詳しくメモを取ったり、適時に被告の行動を指摘して注意をするなど、証拠を収集する方法はあるのです。

 

ここでご紹介した、東京地判R3.7.8「老人ホームにおけるカスタマーハラスメントの事例」については、以下の動画で裁判例の詳しい解説をしていますので、あわせてご参照ください。

 

▶参考動画:介護事業者必見!カスハラ(カスタマーハラスメント)最新裁判例&適切な対応方法を徹底解説

 

 

4.弁護士法人かなめが対応したカスタマーハラスメントの事例紹介

ここでは具体的に、弁護士法人かなめが対応したカスタマーハラスメントの事案を見ていきます。

 

4−1.事例1:利用者に褥瘡ができ、これが悪化したことについて、医師から施設の責任が否定されているにも関わらず、施設のせいだと主張して説明に聞く耳を持たず、各職員を責め続けていた事例

 

(1)実際のアドバイス

法人として調査を尽くした上で、必要な説明をした後は、もはやそれ以上の説明は不要です。
利用者家族とのお話の際には、必ず録音や記録を取り、同じ話が繰り返される場合は、時間を決めて打ち切るようにしましょう。

また、1度トラブルが発生した利用者に対しては、職員間で情報を共有し、その対応に細心の注意を払うようにしましょう。ちょっとした手違いなども、全て元のトラブルに結びつけ、苛烈なクレームに発展することがあります。

もっとも、当該利用者を特別扱いする必要はなく、他の利用者へのサービス提供に支障をきたさず、職員の負担とならない範囲で気を付ければ問題ありません。

 

4−2.事例2:訪問介護で自宅へ訪問時、エアコンの掃除をするように言われ、訪問介護のサービスの範囲外である旨を伝えて断ると、暴言を吐かれ、それ以降会うたびに怒鳴られたり、ヘルパーを変えろと言われている事例

 

(1)実際のアドバイス

まずは、対応するヘルパーの方が、精神的に追い詰められている可能性がありますので、担当を変更することを検討してください。

そして、書面などでこれまでの経緯を整理し、改めて、義務のあることとないことについて説明をした上で、これ以上の要求や職員への暴言を続ける場合は、サービス提供が困難であると判断してサービス提供の停止や、利用契約の解除をせざるを得ない旨説明し、改善を促しましょう。

キーパーソンとなるご家族がいる場合には、ご家族への説明も同時に行いましょう。中には、自分の行為がカスタマーハラスメントにあたることを認識していない利用者の方もいますので、まずは丁寧に説明し、その上で理解を得られない、状況が改善しない場合は、弁護士に相談の上、行政とも連携して、利用契約の解除等に進んでいきましょう。

 

4−3.事例3:利用者家族が、突然事業所にやってきては、怒鳴ったり、文句を言い続けて帰らないことがあり、職員が恐怖を覚えている事例

 

(1)実際のアドバイス

このような状況となった経緯についても検証は必要ですが、事業所にやってきて怒鳴る、帰らないなどの態様は異常ですので、説明をしても帰らない場合には、帰るようにはっきりと伝え、それでも帰らない場合は、警察への通報も検討しましょう。
不退去罪や威力業務妨害罪などの犯罪行為に当たる可能性もありますので、職員が恐怖を感じている以上、躊躇せずに警察に相談してください。

 

4−4.事例4:感染症の蔓延下で、利用者との面会等を制限している状況において、執拗に利用者との面会を要求し、さらに利用者の洗濯物を、種類によって分けて洗うよう要求するなどして、これを断ると施設内で大声を出したり、職員に暴言を吐くなどしている事例

 

(1)実際のアドバイス

まず、改めて施設でのルール(感染症蔓延時の対応、洗濯物や私物の管理方法等)を説明し、当該ルールを守れない、または、受忍できないというのであれば、施設からの退去を提案しましょう。

その際、利用契約上の解除の条項を上げ、「同様の行動が続く場合には、利用契約の解除もやむを得ない」ことを説明し、実際にハラスメント行為が続く場合には、解除も検討しましょう。

仮に、ルールを守って施設に残ることを希望した場合には、例えば以下の内容を記載した念書を差し出させ、次の一手を取りやすくする方法も考えられます。

 

  • 施設のルールを遵守すること
  • これに違反した場合には、利用契約を解除されても異議を唱えないこと

 

また、施設に来て大声で怒鳴ったり、罵声を浴びせるような行為、退去を求めても退去しない行為は、威力業務妨害罪や、不退去罪に当たる可能性もありますので、その場合には警察への通報も躊躇せずに行いましょう。

 

4−5.事例5:利用者の顔に痣があったことから担当ケアマネとして地域包括支援センターに虐待通報をしたところ、利用者の家族が当該ケアマネが虐待通報をしたことを逆恨みし、事業所に個人情報を漏洩したことによる賠償請求、担当ケアマネを解雇せよとの要求、執拗な謝罪を求めてきた事例

 

(1)実際のアドバイス

利用者の顔に痣があったことを直接確認したケアマネとして、家族による虐待を疑い、虐待通報をしたことは、高齢者虐待防止法上、正しい行動であり、何ら責められることではありません。虐待通報の際、個人情報を地域包括支援センターの担当者に伝えたとしても個人情報保護法違反にも該当しません。したがって、賠償対応は不要です。

解雇を求めてくることについては、人事権への不当な介入と言わざるを得ません。今回の担当ケアマネの行った行動は正しい行動であり、解雇する必要など一切ありません。執拗な謝罪要求についても対応する必要は無いでしょう。今回の事例は、高齢者虐待防止法や個人情報保護法という法令の理解が必要な案件ですので、最終的には、弁護士法人かなめが後方支援として、カスハラ行為を行う家族に対する文書を作成し、対応しました。

 

ここでご紹介した事例については、弁護士法人かなめのYouTubeチャンネルの動画で、この記事の著者「畑山 浩俊」が詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

 

▶参考動画:個人情報の漏洩とカスハラ対応!虐待通報したら個人情報の漏洩だと悪質なクレームを受けた事例を解説

 

 

5.介護現場でのカスハラに関して弁護士に相談したい方はこちら

介護業界に特化した弁護士法人かなめによるサポート内容のご案内!

弁護士法人かなめでは、介護業界に精通した弁護士が、以下のようなサポートを行っています。

 

  • (1)カスハラに対する後方支援
  • (2)カスタマーハラスメントへの対応窓口
  • (3)研修講師サポート
  • (4)顧問弁護士サービス「かなめねっと」

 

以下で、順番に説明します。

 

5−1.カスハラに対する後方支援

カスハラへの対応は初動が肝心です。初動を誤ることで、カスハラの態様をより激化させることもあり、解決が困難となるケースもあります。

最も重要なことは、「ややこしくなってきたから」相談するのではなく、「おや、何か変だぞ?」というタイミングで専門家の意見を仰ぐことです。

そして、相談、回答、実践、反省、というサイクルを回していくことで、事業所自体にもカスハラ対応へのノウハウが蓄積され、組織として成長することが出来ます。

弁護士法人かなめでは、カスハラ対応の初期段階から、現場の責任者から相談を受け、初動からきめ細やかな後方支援を行うことで、円滑なクレーム対応を実現します。

 

5−2.カスタマーハラスメントの対応窓口

どれだけ気を付けた対応をしていても、どうしてもハラスメントがおさまらない場合や、職員が既に疲弊しており、すぐにでも対応窓口を変えたいという場合もあります。

弁護士法人かなめでは、介護事業所では対応しきれないカスタマーハラスメント対応の窓口となり、交渉等を行います。カスタマーハラスメントの対応を専門家に任せることによって、職員のストレスが軽減し、本来の業務に専念することができます。

まずは、一度、弁護士法人かなめにご相談ください。

 

弁護士費用

  • 1回目:1万円(消費税別)/1時間
  • 2回目以降:2万円(消費税別)/1時間

 

※相談時間が1時間に満たない場合でも、1時間分の相談料を頂きます。
※スポットでの法律相談は、原則として3回までとさせて頂いております。
※法律相談は、「1.弁護士法人かなめにご来所頂いてのご相談」、又は、「2.ZOOM面談によるご相談」に限らせて頂き、お電話でのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

 

法律相談の申込みは、以下のお問合わせフォームから受け付けしております。

 

弁護士法人かなめの「お問い合わせフォーム」はこちら

 

 

※介護事業所の経営者側からのご相談に限らせて頂き、他業種の企業様、職員等一般の方からのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

 

5−3.カスハラ研修講師サポート

弁護士法人かなめでは、カスハラについてその実態、原因から対処方法、予防策まで、介護事業所がカスハラに対応していくために必要な知識を身に付けられる「かなめ研修講師サービス」を実施しています。

カスハラの研修テーマについて詳しくは以下のホームページをご覧ください。

 

▶︎参考:介護特化型弁護士による「かなめ研修講師サービス」はこちら

 

 

5−4.顧問弁護士サービス「かなめねっと」

弁護士法人かなめでは、「5−1.カスハラに対する後方支援」及び「5−2.カスタマーハラスメントの対応窓口」のサービスの提供を総合的に行う顧問弁護士サービス「かなめねっと」を運営しています。

具体的には、弁護士法人かなめでは、トラブルに迅速に対応するためチャットワークを導入しています。事業所内で何か問題が発生した場合には、速やかに弁護士へ相談できる関係性を構築しています。

具体的には、弁護士と介護事業所の関係者様でチャットグループを作り、日々の悩み事を、法的問題かどうかを選択せずにまずはご相談頂き、これにより迅速な対応が可能となっています。いつでもご相談いただける体制を構築しています。法律家の視点から利用者様とのトラブルをはじめ、事業所で発生する様々なトラブルなどに対応しています。

直接弁護士に相談できることで、事業所内社内での業務効率が上がり、情報共有にも役立っています。

 

▶参考:顧問弁護士サービス「かなめねっと」について詳しくは、以下のサービスページやサービス資料をご覧ください。

顧問弁護士サービス「かなめねっと」について

顧問弁護士サービス「かなめねっと」のサービス紹介資料ダウンロードはこちら

 

 

また以下の顧問弁護士サービス「かなめねっと」の紹介動画でも詳しく説明をしていますので、併せてご覧下さい。

 

▶︎【介護・保育事業の方、必見】チャットで弁護士と繋がろう!!介護保育事業の現場責任者がすぐに弁護士に相談できる「かなめねっと」の紹介動画

 

 

6.まとめ

この記事では、介護現場におけるカスハラの事例について紹介し、その対処方法について解説しました。ここに紹介した以外にも、カスハラには様々な種類があり、対応に悩むケースも多々あるのではないかと思います。そのため、「利用者家族からのこの言動はおかしいのではないか?」と疑問を感じた場合は、早期に弁護士へ相談することをおすすめします。

 

7.【関連情報】カスハラに関するその他のお役立ち情報

この記事では、「カスハラ事例!よくある介護現場のカスタマーハラスメント例を解説」として、介護現場におけるカスハラの事例紹介をメインに、対処方法も解説してきましたが、この記事でご紹介していないカスタマーハラスメントに関するお役立ち情報も以下でご紹介しておきますので、あわせてご参照ください。

 

カスハラ対策!カスタマーハラスメントのマニュアルや指針策定、防止策を解説

介護現場でのカスタマーハラスメント(カスハラ)を訴える!具体的な方法を解説

介護業界のカスタマーハラスメント研修!必要なカスハラ研修内容や実施方法を解説

 

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弁護士法人かなめが運営している社会福祉法人・協会団体・自治体向けの介護特化型弁護士による研修講師サービス「かなめ研修講師サービス」です。顧問弁護士として、全国の介護事業所の顧問サポートによる豊富な実績と経験から実践的な現場主義の研修を実現します。

社会福祉法人の研修担当者様へは、「職員の指導、教育によるスキルアップ」「職員の悩みや職場の問題点の洗い出し」「コンプライアンスを強化したい」「組織内での意識の共有」などの目的として、協会団体・自治体の研修担当者様へは、「介護業界のコンプライアンス教育の実施」「介護業界のトレンド、最新事例など知識の共有をしたい」「各団体の所属法人に対して高品質な研修サービスを提供したい」などの目的として最適なサービスです。

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この記事を書いた弁護士

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畑山 浩俊はたやま ひろとし

代表弁護士

出身大学:関西大学法学部法律学科卒業/東北大学法科大学院修了(法務博士)。
認知症であった祖父の介護や、企業側の立場で介護事業所の労務事件を担当した経験から、介護事業所での現場の悩みにすぐに対応できる介護事業に精通した弁護士となることを決意。現場に寄り添って問題解決をしていくことで、介護業界をより働きやすい環境にしていくことを目標に、「介護事業所向けのサポート実績日本一」を目指して、フットワークは軽く全国を飛び回る。
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中野 知美なかの ともみ

弁護士

出身大学:香川大学法学部法律学科卒業/大阪大学法科大学院修了(法務博士)。
介護現場からの相談を数多く受けてきた経験を活かし、一般的な法的知識を介護現場に即した「使える」法的知識に落とし込み、わかりやすく説明することをモットーとしている。介護事故、カスタマーハラスメント、労働問題、行政対応など、介護現場で発生する多様な問題に精通している。

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