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減給とは?上限額の計算方法や処分のルール、違法にならないための注意点

減給とは?上限額の計算方法や処分のルール、違法にならないための注意点
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「勤務態度が悪く、注意をしても反発ばかりで態度が改まらない職員がいる」
「ハラスメント行為が目につき、他の職員から相談を受けることが増えている」
「譴責処分や戒告処分も行ったのに、また同じ問題行動を繰り返している」

日々の業務の中で、繰り返し注意指導を行っているにもかかわらず奏功せず、対応に苦慮している問題職員を抱えた事業所は、珍しくないのではないでしょうか。

このような問題職員の存在により、他の職員が疲弊してしまい、離職やメンタルヘルスの問題が発生することもあります。

事業所は、職員に対して安全配慮義務を負っていますので、問題職員のこのような状況を認識しながら放置すれば、実際にメンタルヘルス不調を訴えた他の職員から、損害賠償請求を受けることもあります。

そのため、事業所としては、注意指導でうまくいかない場合でも、問題職員を放置することは許されず、次のステップである懲戒処分を検討する必要があります。

その中で、減給処分は、一般的に、懲戒処分の中では、戒告等の次に重い処分であり、給与を減額するという意味で非常にインパクトのある処分ですが、利用には厳格な制限があり、限度額なども決まっていることから、懲戒処分全体としては軽い部類に位置付けられています。そして、手続きに違反することにより、処分が無効となるリスクもあることから、利用の際には注意が必要です。

この記事では、減給処分を含む懲戒処分の根拠や、減給処分とその他の手続との違いなどを紹介した上で、減給処分を行うべき事例や具体的な手続について解説します。

最後までお読みいただくことで、問題のある職員に対する処分の選択肢として、減給処分を有意義に利用することができるようになります。

それでは、見ていきましょう。

 

1.減給とは?

減給とは?

ここでは、「減給」とは何かについて解説します。

 

1−1.減給処分とは?

 

(1)減給処分の意味

減給処分とは、懲戒処分の種類の1つであり、賃金を減額する処分のことを言います。これは、有効に成立した賃金を減額するものであることに特徴があり、恒常的なものではなく、その範囲は労働基準法上制限されています。具体的には、減給処分については、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払いにおける賃金の総額の10分の1を超えてはならないことになっています。

 

(2)降給、減俸、減額、罰金とは何が違うの?

減給に似た言葉に、降給、減俸、減額、罰金などがあります。以下では、これらの言葉と減給との違いについて解説します。

 

1.減給と降給の違い

降給とは、給与を下げることをいいます。懲戒処分である減給処分と異なり、人事権の行使として、役職等の変更と併せて行われ、恒常的な給与の減額を前提としています。

 

2.減給と減俸の違い

減俸も、給与の額を減らすことであり、主には、減給処分と同じ意味合いで、懲戒処分としての給与の減額を意味します。

 

3.減給と減額の違い

減額は、懲戒処分としての減給処分やそれ以外の人事権の行使により給与を下げる場合のほか、欠勤、遅刻、早退等により、就業規則規定等に基づき、給与を下げる場合などを含みます。

 

4.減給と罰金の違い

罰金は、罰や制裁として支払わせる金銭のことを言い、刑事罰として、刑法に定めがあります。

 

▶参考:刑法第15条

(罰金)
第15条 罰金は、一万円以上とする。ただし、これを減軽する場合においては、一万円未満に下げることができる。
(拘留)

・参照元:「刑法」の条文

 

 

減給処分が、給与を下げる手続きであるのに対し、罰金は直接的に金銭を支払わせることに特徴がありますが、懲戒処分として事業所へ金銭を支払わせる手続きはありません。

なお、労働基準法は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約をしてはならない旨規定しています(▶参考:労働基準法第16条)。

 

1−2.懲戒処分以外での減給

懲戒処分としての減給の他に、所属部署の変更、役職の変更など、雇用主側の人事権の行使の結果、減給となるケースもあります。

例えば、役職によって定められている役職手当等が異なる場合には、役職が変更となることで給与が下がることがあります。

人事権の行使による所属部署や役職の変更は、原則として雇用主に裁量があり、各部署や役職の手当とその職務や役割等が明確に定められている限りは、これらの変更による減給は原則として有効になります。

もっとも、そもそも人事権の行使が、雇用主の裁量を逸脱、濫用するものであった場合には、これに伴う減給も違法となります。

また、懲戒処分として降格や出勤停止が行われた際、その結果として付随的に月々の給与が下がったり、出勤していない間の給与が支給されないなど、給与が減額となる場合があります。

 

2.減給処分の根拠

以下では、減給処分の根拠について説明します。

 

2−1.懲戒処分として減給の根拠

 

(1)法令上の根拠

減給を含む懲戒処分については、法令上の根拠はありませんが、裁判所は、企業秩序定立権の一環として、当然に使用者が有する権利であるとしています。

 

参考判例:最高裁 昭和54年10月30日判決

労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の物的施設を利用して組合活動をしたことが懲戒事由にあたり得るかどうかが問題となった事案。

 

●判例の内容:

「企業は、その存立を維持し目的たる事業の円滑な運営を図るため、 それを構成する人的要素及びその所有し管理する物的施設の両者を総合し合理的・ 合目的的に配備組織して企業秩序を定立し、この企業秩序のもとにその活動を行う ものであって、企業は、その構成員に対してこれに服することを求めうべく、その 一環として、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保するため、その物的施設を許諾された目的以外に利用してはならない旨を、一般的に規則 をもって定め、又は具体的に指示、命令することができ、これに違反する行為をする者がある場合には、企業秩序を乱すものとして、当該行為者に対し、その行為の中止、原状回復等必要な指示、命令を発し、又は規則に定めるところに従い制裁と して懲戒処分を行うことができるもの、と解するのが相当である。」とした上で、労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の所有し管理する物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、当該施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであり、正当な組合活動にあたらないとした。

 

▶参照:「最高裁 昭和54年10月30日判決」の判決内容はこちら

 

 

また、労働契約法15条は、使用者が懲戒処分をする権限があることを前提として、以下のような定めをしています。

 

▶参考:労働契約法第15条

(懲戒)
第15条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

・参照:「労働契約法」の条文はこちら

 

 

また、減給に関しては、先に解説した通り、その範囲が労働基準法で制限されています。

 

▶参考:労働基準法第91条

(制裁規定の制限)
第91条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

・参照:「労働基準法」の条文はこちら

 

 

(2)就業規則上の根拠

裁判所は、懲戒処分については、あらかじめ就業規則に懲戒の種別及び事由を定めておくことが必要であると考えています。

これは、懲戒処分が、使用者が従業員に対して課す「制裁罰」であるという観点から、あらかじめその懲戒事由と制裁罰の内容を就業規則に規定し、従業員の予測可能性を確保する必要があるという点にあります。

例えば、以下のような規定を置くことが考えられます。

 

▶参考:懲戒事由の就業規則の規定例

(1)正当な理由なく、欠勤したとき
(2)正当な理由なく、遅刻、早退もしくは就業時間中無断外出したとき、又は職場を離脱して業務に支障をきたしたとき
(3)勤務に関する手続き、届出を偽り、又は怠ったとき
(4)業務上の書類、伝票等を改変したとき
(5)報告を疎かにした又は虚偽の申告、届出をし、事業所の正常な運営に支障をきたしたとき
(6)業務に対する誠意を欠き、職務怠慢と認められるとき
(7)素行不良で事業所の秩序又は風紀を乱したとき
(8)就業時間中に許可なく私用を行ったとき
(9)業務上の指示、命令に従わないとき
(10)事業所の運営方針に違背する行為のあったとき
(11)酒酔い運転又は酒気帯び運転をし、検挙されたとき
(12)利用者への応対態度が悪いとき
(13)不法又は不正の行為をして職員としての体面を汚したとき
(14)事業所内において業務上不必要な火気、凶器その他これに準ずべき危険な物を所持していたとき
(15)タイムカードの打刻、出勤簿の表示を他人に依頼し、又は依頼に応じたとき
(16)事業所の車両を私用に供し、又は他人に使用させたとき
(17)協調性に欠け不当に人を中傷する等、他の職員等とそりの合わないとき
(18)事業所の発行した証明書類を他人に貸与し、又は流用したとき
(19)許可なく事業所の文章、帳簿、その他の書類を部外者に閲覧させ、又はこれに類する行為のあったとき
(20)規則、通達、通知等に違反し、前各号に準ずる程度の不都合な行為があったとき
(21)過失により業務上の事故又は災害を発生させ、事業所及び利用者に損害を与えたとき
(22)事業所内で暴行、脅迫、傷害、暴言又はこれに類する行為をしたとき
(23)事業所に属するコンピューター、電話(携帯電話を含む)、FAX、インターネット、電子メールその他の備品を無断で私的に使用したとき
(24)過失により事業所の建物、施設、備品等を汚損、破壊、使用不能の状態等にしたとき、又はハードディスク等に保存された情報を消去又は使用不能の状態にしたとき
(25)服務規定に違反した場合であって、その事案が軽微なとき
(26)安全衛生規定に違反した場合であって、その事案が軽微なとき
(27)事業所が定める各規定に違反した場合であって、その事案が軽微なとき
(28)法令違反等の不正行為の真偽を確認せず又は公益通報者保護法第3条第3号に規定する要件に該当することなく外部通報を行った結果、法人・事業所の信用を害し、損害を与えたとき
(29)他の職員をして前記各事項に違反するよう教唆し、もしくは煽動したとき
(30)前号までの事項において懲戒した後も、改悛の状が認められなかったり、繰り返したりして、改善の見込みがないと事業所が認めたとき
(31)その他前各号に準ずる程度の不適切な行為があったとき

 

 

2−2.欠勤による減給の性質

給与計算の際、職員が欠勤や遅刻、早退などにより勤務をしなかった場合に、その欠勤した日の給与を差し引くことを欠勤控除と言います。

欠勤控除は、いわゆる「ノーワーク・ノーペイの原則」によるものですが、例えば遅刻、早退の際に欠勤控除をするのか否かや、欠勤控除の計算方法は、法律上定まっているわけではありませんので、後に職員との間でトラブルにならないよう、ルールを作り、就業規則に明記して周知しておくようにしましょう。

 

2−3.業務形態の変更による減給の性質

1−2.懲戒処分以外での減給」で解説したように、雇用主側の人事権の行使として、職員の部署や役職を変更した場合、これに付随して給与が減額になる場合があります。

具体的には、役職や部署によって、支給される手当とその業務や役割等を明確に定めている場合には、これに基づいて給与の変動も当然に予定されていることになります。

そのため、使用者の人事権の行使として、権限の逸脱濫用にならない範囲であれば有効となります。

なお、以下では懲戒処分としての減給処分に絞って解説します。

 

3.減給処分の懲戒処分の中での位置付け

それでは、減給処分は、懲戒処分の中ではどのような位置付けになるのでしょうか。

以下では、他の懲戒処分との関係性について解説します。

 

3−1.減給と戒告、訓戒、訓告

戒告、訓戒、訓告は、一般的に過失や失態、非行などを注意し、将来を戒めるために文書または口頭で行う懲戒処分であり、始末書等の提出を求める場合もあります。

減給処分よりも軽い懲戒処分であり、その態様自体は注意指導と大きく異なるものではありませんが、懲戒処分であることから、賞与やその後の懲戒処分等にも影響を与え得るものです。

そのため、減給処分に先立って戒告が行われることもよくあります。

例えば、素行不良を繰り返すような職員であれば、注意指導から一歩進んで、懲戒処分として戒告をした後、それでも言動が改善されない場合には、次の段階である減給処分を行う、というようなイメージです。

また、職員の懲戒処分に該当する行為の軽重によっては、戒告を経ずに減給処分とすることもあります。

 

▶参考:戒告については、以下の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。

戒告とは?処分の意味や重さ、具体的な内容、通知方法など進め方を解説

 

 

3−2.減給と降格

降格は、役職または職能資格・資格等級などを低下させる懲戒処分です。

役職または職能資格・資格等級などが低下することにより、与えられていた権限が制限されるのみならず、役職手当がなくなったり、等級の定価による給与の低下なども、予定されています。

減給処分が、一時的な給与の減少であるのに対し、降格の場合には、降格となった後の役職等からまた昇格しない限り、低下した給与額は変わらないため、減給処分よりも重く、職員に対しても大きな影響を与える処分です。

 

3−3.減給と出勤停止

出勤停止は、労働契約を存続させつつ、労働者の労働義務の履行を提訴させる懲戒処分です。

出勤停止期間中は賃金が支払われず、退職金算定のための期間にも参入されない場合があります。出勤停止は、7日以内から30日以内程度で定められることが多いですが、一定期間の賃金不支給を伴うので、減給よりも重い処分です。

なお、出勤停止については、例えば懲戒解雇相当の事案が発生した際に、調査のため、一時的に業務命令として自宅待機等を命じることができる旨を就業規則に定めることもあり、この場合には懲戒処分としての出勤停止とは区別されます。

 

3−4.減給と解雇

懲戒処分としての解雇には、懲戒解雇と諭旨解雇があります。

懲戒解雇は、職員を解雇する懲戒処分であり、諭旨解雇は、懲戒解雇相当の事由がある場合でも、本人に反省が認められる時に、解雇事由に関して本人に説諭し、退職届を提出させた上で解雇する懲戒処分です。退職届の提出がない場合に懲戒解雇を実施することが予定されており、懲戒解雇に次いで重い懲戒処分です。

懲戒解雇は、懲戒処分の中の極刑であること、諭旨解雇はそれに次いで重い懲戒処分であることから、無効となるリスクと隣り合わせです。そのため、懲戒解雇・諭旨解雇の手続きに進む前には、原則として、減給処分を含めたより軽い懲戒処分を積み重ねておくことが重要です。

 

▶参考:懲戒解雇、諭旨解雇については以下の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。

懲戒解雇とは?有効になる理由や手続きを事例付きで弁護士が解説

諭旨解雇とは?意味や諭旨退職との違い、要件や手続について【事例付き】

 

 

4.どんな時に減給処分をするの?

では、減給処分をするのはどんな場面でしょうか。

懲戒事由については、「2−1.懲戒処分として減給の根拠」の「(2)就業規則上の根拠」で解説した通りですが、以下ではもう少し具体的に、どのような場面で減給処分を選択するかについて解説します。

 

4−1.減給処分をする理由は様々

減給処分は、懲戒処分の中で最も軽い処分よりも少し重い処分です。そのため、減給処分を選択する際の大きな考え方としては、以下の2つがあります。

 

  • ①すでに戒告処分等、軽い処分を実施した後に同じ懲戒事由が繰り返された場合
  • ②懲戒事由の程度がやや重く、戒告処分では足りないと判断される場合

 

以下ではこの観点から、減給処分をする具体的な理由について解説します。

 

4−2.減給処分をする具体的な理由

 

(1)職員の能力不足

例えば、職員に対し、どれだけ指導をしても、通常、当該事業所で求められる職務能力を充たさない場合があり得ます。

そのため、事業所として、通常割り当てるべき仕事を割り当てることができなかったり、他の職員に負荷がかかってしまうと、職務が滞ったり、職場環境が悪化するという事態も発生し得ます。

特に、職員が、怠慢により業務を怠っているような場合、注意指導を繰り返し、それでも奏功しない場合、このような状況をもって、まずは戒告処分などの軽い懲戒処分をし、それでも改善がされない場合には、次の懲戒処分として、減給を検討することになります(「①すでに戒告処分等、軽い処分を実施した後に同じ懲戒事由が繰り返された場合」の場合)。

 

▶参考:仕事ができない職員への対応方法については、以下の記事でも詳しく解説しているので、併せてご覧ください。

仕事ができない人の放置は厳禁!特徴ごとの対応方法を徹底解説

 

 

(2)問題社員

 

1.無断欠勤が多い

介護事業所では、事業類型によっては夜勤もあり、シフト制が組まれているケースが多いです。

事業所は、業務内容や職員の労働条件等に基づいて、適切にシフト管理をしているところ、近年の人員不足の影響から、ほとんどの事業所では人員配置には余裕がありません。

そのような状況の中、職員が、前日や当日に、突然欠勤する旨連絡をしたり、なんらの連絡もなく欠勤すれば、事業所としてはシフトを組み替えたり、代わりの人員を準備したり、場合によっては人員基準を満たさなくなるなど、非常に困った事態になります。

もちろん、急な体調不良や家族の急用などは、誰しもあることであり、そのこと自体は責められることではありません。

しかしながら、そのような急な欠勤や無断欠勤が何度もあれば、事業所としては常にシフトの組み替えを想定して人員配置を考えなければならなくなり、業務に支障を来すことになります。

このような場合に、いくら注意指導をしても態度が改まらない時は、戒告処分を検討し、それでも改善がされない場合には、次の懲戒処分として、減給処分を検討することになります(「①すでに戒告処分等、軽い処分を実施した後に同じ懲戒事由が繰り返された場合」の場合)。

 

2.素行不良

遅刻、居眠り、業務中の私物のスマートフォンの利用などの日常の素行不良や、これに対して、注意指導をしたことに対し、威圧的、反抗的な態度をとったり、注意指導を全く聞き入れない態度を繰り返すなどした場合も、懲戒処分の理由となり得ます。

また、職員が、事業所においてある程度高い地位にある場合、他の従業員に対してセクハラやパワハラなどのハラスメント行為をしている場合も、懲戒処分の対象となります。

さらに、近年では、業務上の指導をした上司に対して、「今のはパワハラではないのか」、「精神的に傷ついたので謝って欲しい」、「労基署や弁護士に訴える」などと言って、上司の注意指導に応じない「逆パワハラ」が問題となっています。

このような職員からの逆パワハラにより、注意指導をしている上司が精神的に疲弊し、中には精神疾患を発症し、最悪の場合には離職をしてしまうケースもあります。

このような職員に対しては、戒告処分を検討し、それでも改善がされない場合には、次の懲戒処分として、減給処分を検討することになります(「①すでに戒告処分等、軽い処分を実施した後に同じ懲戒事由が繰り返された場合」の場合)。もっとも、素行不良の程度が非常に大きい場合には、戒告処分を経ずに減給処分を検討することもあります(「②懲戒事由の程度がやや重く、戒告処分では足りないと判断される場合」の場合)。

 

▶参考:なお、逆パワハラについては、以下の記事や動画でも詳しく説明していますので、ご覧下さい。

逆パワハラって?判断基準や事例・正しい対処法をわかりやすく解説

【逆パワハラ】放置してはいけない逆パワハラ!

 

また、問題職員への対応方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。

 

モンスター社員!特徴と対応方法を事例付きで弁護士が解説【放置厳禁】

 

 

3.協調性がない

介護現場は、利用者の命を預かる仕事であり、他の職員との連携、協力は必要不可欠です。

しかしながら、そのような中で、他の職員が忙しくしていても手伝わなかったり、他の職員に対して威圧的な態度をとったり、さらにはシフトの引継ぎの際の情報伝達を怠るなど、協調性がない態度をとる職員がいます。

このような言動をとる職員がいる場合、職場の雰囲気が悪くなるばかりか、他の職員に過度な業務上、精神上のストレスがかかり、最悪の場合には他の職員が離職してしまうリスクも考えられます。

このような職員に対しては、しっかりと注意指導をしていく必要がありますが、注意指導をしてもなお態度が改善されない場合には、戒告処分を検討し、それでも改善がされない場合には、次の懲戒処分として、減給処分を検討することになります(「①すでに戒告処分等、軽い処分を実施した後に同じ懲戒事由が繰り返された場合」の場合)。

 

(3)利用者に対する不適切な対応

利用者に対して、名前を呼び捨てにする、大きな声で怒鳴る、「馬鹿」などの侮辱的な表現でからかう、利用者の介助中であるにもかかわらず他の職員とおしゃべりをして放置する、車椅子からベッドへの移譲や体位変更が乱雑などの、不適切な介助を行う職員がいた場合、事業所がこれを知覚した場合には、まずは速やかに注意指導をする必要があります。

もっとも、これらの行動は、利用者に対する心理的虐待、ネグレクト、身体的虐待とも評価されかねないものであって、事業所としては、再発防止の趣旨も含めて厳格に対処をすべきです。

そのため、不適切介護の程度によっては、注意指導や懲戒処分である戒告処分をも超えて、いきなり減給処分を行うことが必要な場合もあります(「②懲戒事由の程度がやや重く、戒告処分では足りないと判断される場合」の場合)。

 

▶参考:なお、利用者に対する心理的虐待や身体的虐待など高齢者虐待については、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。

介護現場の高齢者虐待!発生原因や適切な対応方法・防止策まで詳しく解説

 

 

5.減給の限度額の上限はいくら?計算方法と期間について

減給の限度額の上限はいくら?計算方法と期間について

それでは、減給処分の際の具体的な計算方法や、減給ができる期間等の制限について解説します。

 

5−1.減給ができる範囲には限りがある!

減給処分といえば、その言葉の印象から、給与を大幅に減額したり、ある程度長期間にわたって減額することをイメージされる方が多いかもしれません。

しかしながら、減給処分は、厳格にその範囲が限定されており、これが、減給処分が、給与の減額という労働者にとって厳しい効果をもたらす懲戒処分であるにも関わらず、懲戒処分の中では軽いものに位置付けられている理由です。

 

5−2.減給できる額の範囲

減給処分については、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならないことになっています。

具体的には、例えば、平均賃金の1日分の金額が1万円の場合は、減給ができるのは、1日につき5000円ということになります。

 

▶参考:平均賃金とは?

なお、「平均賃金」とは、事由の発生した日以前3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で除した金額のことを言います。

 

▶参考:賃金の総額とは?

賃金の総額とは、締切がある場合締切日ごと に、通勤手当、皆勤手当、時間外手当など諸手当を含み税金や社会保険料などの控除をする前の金額です。

 

 

減給処分については、制裁の意思表示が相手方に到達した日が「事由の発生した日」です。つまり、例えば、給与の支払い月が毎月10日の事業所から当該職員に対して、8月1日に減給をする旨の通知をし、これが到達した場合には、5月から7月までに支払われた賃金を、5月から7月の総日数で除した金額が、1日あたりの平均賃金です。

 

▶例)5月の賃金が21万4000円、6月の賃金が21万円、7月の賃金が22万円であった場合

(21万4000円+21万円+22万円)➗(31日+30日+31日)= 7000円

 

 

では、懲戒処分1回あたりの金額が、平均賃金の1日分の半額よりも少なければ、いくらでも累積をして減給をして良いのでしょうか。具体的には、減給処分に相当する懲戒事由が複数あった場合、平均賃金の1日分の半額にその回数をかけた金額を、そのまま減給して良いのでしょうか。

この点も、労働基準法は、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない旨規定し、制限しています。ここでは、平均賃金ではなく、「賃金の総額」の10分の1である点に注意して下さい。

すなわち、例えば先の例で、8月の賃金の総額が22万円だった場合、8月の給与から減給できる額の上限は、以下の通りです。

 

例)22万円 × 10% = 2万2000円

 

 

そのため、もし減給処分の対象が5件あった場合、本来は

 

7000円×5=3万5000円

 

を減給したいところですが、一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならないので、8月に減給ができるのは2万2000円分となります。その上で、残りの1万3000円は、翌月の9月に減給することとなります(▶参考:労働基準法第91条)。

 

5−3.減給できる期間の範囲

減給ができるのは、1回の非違行為に対して原則として1回です。

例えば、ニュースで、ある企業が不祥事を起こした際「取締役の報酬を半年間30%減給する」などの報道を目にすることがあるかもしれません。これは、取締役と会社との関係が、雇用契約ではなく委任契約であるために可能な対応であって、雇用契約の場合に、こういった複数期間にわたる減給処分は許されていません。

減給処分が複数月となるのは、減給額の総額が決まった上で、当該金額を複数月に分けて減額する場合です。

 

▶例)例えば、仮に減給額が合計で10万円と決まり、各月の賃金の総額が20万円だった場合

「令和6年8月から12月まで、2万円ずつ(または10%ずつ)減給する」としたり、「令和6年8月から令和7年5月まで、1万円ずつ(または5%ずつ)減給する」などの処分とすることがあり得ます。

 

 

6.減給処分の具体的な方法

次に、減給処分を実施する際の正しい進め方について説明していきます。

以下で具体的な手順ごとに解説していますのでご覧ください。

 

6−1.減給処分には事前準備が重要

懲戒処分をする場合には、そもそも懲戒事由があるかをしっかりと調査することが非常に重要です。

例えば、特定の職員からだけの情報で、客観的な資料が一切ない状況の場合、いきなり懲戒処分をすることには慎重である必要があります。そのため、特定の職員からだけではなく、複数の職員から話を聞いた上で、事実認定を正確に行い、本人からも話を聞いた上で、注意指導から始めていくことが重要です。

特に減給処分は、懲戒処分の中でも、戒告や訓戒と異なり、職員にとって、給与を減らされるという現実的な不利益を与える懲戒処分であるため、事前準備やプロセスは非常に重要です。

このプロセスを怠れば、仮に懲戒事由があったとしても、減給処分の効力が争われる可能性もあります。

ここからは、減給処分に至るまでのプロセス、減給処分の手続、減給処分後の手続の順に解説します。

 

6−2.具体的な減給処分までの流れ

 

(1)粘り強い注意指導

懲戒処分に至るまでの出発点となるのは、事業所から当該職員への注意指導です。事業所としては、まずは問題行動を繰り返す職員に対して注意指導し、自らの言動や態度を反省させ、行動の改善を促すことが重要です。

以下、具体的な注意指導の方法を解説します。

 

1.口頭

職員に、懲戒処分相当の何らかの問題行動が見られた際、最も簡易で且つすぐにできる注意指導の方法は、口頭での注意指導です。

注意指導には、もちろん職員の行動の改善を促すこという目的がありますが、必ずしも客観的な証拠が残るものではない職員の言動について、「○○の行動に対して注意指導をした」という形で証拠を残すことで、職員の言動を記録するという目的もあります。

そこで、口頭での注意指導を行う際には、できるかぎり指導の状況を録音しておく、または、指導内容やその際の職員の態度などを継続的に記録しておくことで、問題行動に対して注意指導を行った証拠を残していきましょう。

 

【弁護士 畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

注意指導の時期は、職員の問題行動を現認してすぐが望ましいです。

 

なぜなら、問題行動を現認したにもかかわらず、その時にはこれを放置し、時間を置いてから注意すると、「あの時何も言わなかったのに急に今なんでそんなことを言うんですか?」「そんな事実はありません」などと言い逃れをする可能性があるからです。

 

注意指導は、できる限り記録にすることが望ましいですが、仮に録音を取ることができない状況であっても、まずはしっかりと、タイムリーな注意指導をすることを心がけましょう。

 

なお、注意指導の状況の録音は、相手に了解を得る必要はありません。録音の際の注意点は、以下の動画をご覧ください。

 

▶︎参照:【無断録音】こっそり録音することは違法か?

 

▶︎参照:【無断録音!】実際にあったミス3選!弁護士が解説します!

 

 

2.メール、SNS

最近は、事業所内での連絡方法として、メールやチャットツールを利用している介護事業所も多いと思います。

メールやチャットツールの良いところは、比較的速やかに注意指導ができることと、送った日付、時間、内容が記録され、それに対する相手からの返答内容(素直に謝罪をする、反発をする、無視をするなど)も同時に記録されることです。

口頭で注意指導をした後、確認事項として改めてメールやチャットツールを利用して注意指導をしておくことが有効です。なお、LINEやその他のチャットアプリ等を利用する場合は、送信取消し等により証拠の隠滅が図られる可能性がありますので、トーク履歴を保存したりスクリーンショットをとるなどして保存しておきましょう。

 

【弁護士 畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

突発的な状況で注意指導をした場合には、録音を残すことが難しい場合もあります。

 

このような場合、例えば、注意指導の記録を、自分や上司宛のメールやチャットに打ち込んで送信しておくと、その日に注意指導をした、という記録が残るため、証拠としての価値が高くなります。

 

また、注意指導の際には、他の職員も内容が見られるようなグループ内では行わない、業務時間内に行うなどの注意も必要です。

 

 

3.書面

口頭やメール、チャットツール等での注意指導を繰り返しているにもかかわらず、職員の問題行動が改善されないような場合には、書面での注意指導を行いましょう。

イメージとしては、これまでに口頭やメール等で行ってきた注意指導や、その注意指導の際の態度を含めて、改めて注意指導を行うことになります。

書面での注意指導の際には、注意指導の内容の他、当該問題行動が就業規則の服務規律に違反していたり、懲戒事由相当の行為である旨を付け加えておくと、注意指導の理由が明確となります。

具体的には、以下のような記載です。

 

▶参考:書面での注意指導の参考例

○年○月○日、利用者の食事介助中であるにもかかわらず、私物のスマートフォンを見るなどして利用者の見守りを怠っていたことから、「業務中に私物のスマホを見るのはやめなさい」と注意すると、「見ていない」「注意されて気分が悪くなった」などと不貞腐れた態度で言い捨てると、態度を改めないばかりか、そのまま離席して控室に帰ってしまった。

これは、就業規則○条○号に定める○○に該当する。

 

 

このような注意指導書を交付する際には、これらの注意指導に対し、自らの行動をどう改善するかについて検討させ、期限を決めて提出するよう指示することも有益です。実際に提出されれば、職員の態度も明らかになりますし、提出を拒否したとすれば、その態度自体が次の手続への根拠となります。

 

【弁護士 畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

注意指導をする際には、先に説明をした通り、就業規則上の服務規律違反や懲戒事由に当たることを明確に指摘しておき、このような態度が改まらなければ、懲戒処分が予定されていることを予測させることが重要です。

 

例えば、以下のような記載を追記しておくことで、職員に対して反省や行動の改善を促すことができます。

 

「貴殿の行為は、就業規則○条○号に定める懲戒事由に該当するが、これまでの注意指導の状況から、まずは書面による注意指導を実施することにした」

 

 

(2)減給処分の手続

ここからは、具体的な減給処分の手続を見ていきましょう。

 

1.面談の実施

減給処分をする場合には、面談を実施し、注意指導を合わせて行うことが重要です。

懲戒処分は、基本的には、これまでに既に注意指導を繰り返してきて、それでもなお態度が改まらない場合に行うケースがほとんどです。また、場合によっては、先行して戒告等の軽い懲戒処分を実施している場合もあります。

そのため、今回の処分がこれまでに行ってきた注意指導や懲戒処分とは異なることを示すためにも、面談を実施し、減給処分の通知書を渡した上で、改めてしっかり注意指導をしましょう。

また、面談時には、必ず録音は取っておきましょう、

 

2.減給処分の通知【書式(テンプレート)付き】

減給処分の通知書を作成する場合には、以下のポイントをしっかり押さえるようにしましょう。

 

  • 減給処分の対象となる職員の行為を可能な限り具体的に記載する。
  • 職員の行為が、就業規則上どの項目に該当するかについて、条項をしっかり指摘する。
  • 具体的な減額期間や金額、割合を明記する。

 

以下では、利用者への不適切な行動と、他の職員や上司へのハラスメント行為を理由とした減給の通知のテンプレートを用意しましたので、参考にしてみてください。

 

▶参照:「懲戒処分通知書【減給版】」書式テンプレートのダウンロードはこちら(docx)

 

 

3.改善報告書の作成

減給処分は、その名の通り給与を減額するものですが、その際に、併せて「改善報告書」を書かせることも効果的です。

指導された内容と、その改善方法を自ら書かせることで、反省を促すことと合わせて、その先の手続に進む必要がある場合には、職員の態度を明らかにする手段の1つにもなります。また、改善報告書を提出させた後には、実際にその改善が行われたかどうかについて、事業所側の評価を合わせて記載しておくと、記録として有益です。

以下に、改善報告シートのテンプレートを用意しましたので、参考にしてみてください。

 

▶参照:「改善報告シート」書式テンプレートのダウンロードはこちら(xlsx)

 

 

6−3.減給処分後の手続

ここからは、減給処分をしたにもかかわらず、業務態度等に改善が見られない職員への手続について概要を説明します。

 

(1)減給処分以外の懲戒処分

懲戒処分には、戒告の他、譴責(けんせき)といった、職員への影響が比較的小さいものから、減給、出勤停止、降格処分、諭旨解雇、懲戒解雇といった、職員の地位や労働契約の本質部分に影響のある重い処分まで順番に定められていることが一般的です。

懲戒処分をする際には、これまでに行ってきた注意指導や他の懲戒処分の存在も考慮の上、その内容を決めることになります。そのため、事業所としては、業務態度によって、また改めて戒告や譴責などの軽い懲戒処分を重ねるか、減給処分よりも重い処分に進むかなどを検討することになります。

 

(2)退職勧奨

注意指導や解雇以外の懲戒処分によっても態度が改まらない場合、事業所としては、退職勧奨により、職員の自主的な退職を促すことも考えられます。退職勧奨は、解雇とは異なり、なんらの強制的な手段も伴うものではありませんが、退職時のさまざまな条件の取り決めができるなど、うまく利用ができれば非常に効果的な手段です。

 

▶参考:退職勧奨の手続やその注意点等については、以下の記事をご覧ください。

退職勧奨とは?具体的な方法や違法にならないための注意点を弁護士が解説

 

 

(3)解雇

粘り強い注意指導をし、懲戒処分も影響の少ないものから順に行っていき、退職勧奨もしたにもかかわらず、態度が改まることも、自主的に退職をすることもなかった場合、いよいよ解雇を検討せざるを得ない状況となります。

解雇には、普通解雇と懲戒解雇があり、いずれについても、裁判所は雇用主側に厳しい態度をとっています。

しかしながら、ここまで解説してきたようなプロセスを踏んできた場合、当該職員を解雇できる資料は揃ってきているはずです。

実際に、粘り強い注意指導を続けた末に解雇をした事案で、解雇が有効とされた裁判例として、日本マイクロソフト事件(東京地裁 平成29年12月15日判決労判1182.54)などが参考になります。

この裁判例では、モンスター社員に対する注意指導や、注意指導に対するモンスター社員の態度がメールのやりとりで残っており、その上で書面での注意指導も行なうなど、解雇にむけたプロセスが確実に履践されており、非常に参考になります。

 

▶参考:なお普通解雇、懲戒解雇については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

普通解雇したい!無効とならない事例や手続きをわかりやすく弁護士が解説

懲戒解雇したい!有効になる理由や事例・手続きをわかりやすく弁護士が解説

 

 

6−4.記録を残すことの重要性

どのような手続きを取るとしても、重要なことは全ての場面でしっかりと記録を残すことです。

メール、SNS、書面でのやりとりは記録として残りやすいですが、先に説明した通り、面談や口頭での注意の際にも、録音をしたり、その都度記録を残すことで、証拠化をすることができます。

ポイントとしては、注意指導した具体的な内容とその日時、注意指導に対する相手方の態度や具体的な発言などを記録しておきましょう。

粘り強い注意指導や懲戒処分を行ったことにより、その後に行った普通解雇が有効とされた例として、前原鎔断事件(大阪地裁令和2.3.3 労判1233.47)があります。

 

参考事例:前原鎔断事件(大阪地裁令和2.3.3 労判1233.47)

「就業状況が著しく不良で就業に適さないあるいはこれに準ずるもの」であるとして普通解雇された原告が、解雇が無効であるとして地位確認、未払賃金及び遅延損害金の支払い等を請求した事案。

 

判決

原告は、普通解雇までに、複数回の始末書や顛末書の提出、出勤停止を含む3回の懲戒処分、さらには度重なる注意指導を受けており、これにより、「就業状況が著しく不良で就業に適さないあるいはこれに準ずるもの」にあたることは明白であったとして、普通解雇には客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると判断された。

注目すべきは、書面として残っている始末書等のほか、被告の上司である主任が、原告について「教育記録」つけており、その中で、伝票に記載された枚数を確認しない、サインを入れ忘れるなど、取引先に対して迷惑をかけるような原告の日々のミスを、日付と共に詳細に記録しており、この「教育記録」に記録されていた事実が、原告の就業状況の不良さを根拠づけるものとして数多く認定されていることです。

 

【弁護士 畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

「記録をとっているので見てください」と言われ、見せていただいた際、例えば「怒鳴られた」「態度が悪かった」「不機嫌そうだった」「怖かった」など、記録をとった方の印象がメモされていることがよくあります。

 

法的な手続をとる際、必要となるのは具体的な「事実」です。

 

例えば、「注意をすると、顔を背けてスマートフォンを操作し始め、『聞いてるのか』と尋ねても返事をしなかった」「不機嫌そうな態度で『あなたの言うことは聞きたくない』と述べ、制止も聞かずに部屋を出ていった」など、発言内容や行動を、できる限り具体的に記録してください。

 

記録は、体裁にとらわれず、できる限り記憶の新しいうちに作成するようにしましょう。

 

 

7.減給が違法となる場合とは?

それでは、減給処分はどのような場合に違法になるのでしょうか。

以下では、減給処分が違法になる場合と、減給処分が違法となった場合の効果について解説します。

 

7−1.減給処分が違法となる場合

減給処分が違法となる場合としては、大きくは2つあります。

 

  • (1)減給の範囲が法令違反の場合
  • (2)減給処分の選択が相当ではない場合

 

以下でそれぞれ解説していきます。

 

(1)減給の範囲が法令違反の場合

5.減給の限度額の上限はいくら?計算方法と期間について」で解説した通り、減給処分の範囲は厳格に定められています。そのため、この制限を超えて行われる減給処分は、当然に違法となります。

 

(2)減給処分の選択が相当ではない場合

労働契約法15条は、懲戒処分に関して、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効となる旨定めています。

すなわち、なんらかの懲戒事由があった場合でも、その程度やこれまでの懲戒歴等からして、より軽い戒告処分等が妥当であったにもかかわらず、減給処分を選択した場合には、当該減給処分は違法であり、無効となる可能性があります。

例えば、公立高校の例ですが、減給処分が、裁量権の範囲を超えるものとして違法であるとされた事例があります。

 

●参考事例:最判 平成24年1月16日(集民 第239号253頁)

 

・事案の概要

公立養護学校の教職員が、卒業式において国歌斉唱の際に国旗に向かって起立して斉唱することを命ずる旨の校長の職務命令に従わなかったことを理由として、減給処分を受けたことが、裁量権の範囲を超え違法であると主張した事例。

裁判所は、上記職務命令が、生徒等への配慮を含め教育上の行事にふさわしい秩序の確保とともに式典の円滑な進行を図るものであり、上記不起立が当該式典における教職員による職務命令違反として式典の秩序や雰囲気を一定程度損なう作用をもたらし、式典に参列する生徒への影響も伴うものであったことは認定しつつ、物理的に式次第の遂行を妨げるものではなく、当該式典の進行に具体的にどの程度の支障や混乱をもたらしたかの客観的な評価が困難であることや、認定されている処分の加重理由が、加重理由となる根拠がないこと、さらには、今般の懲戒処分が有効となることで、短期間で懲戒歴が積み重なり、反復継続的に不利益が拡大する状況になることなどから、今般の減給処分が、裁量権の範囲を超え違法であると判断した。

 

▶️参照:「最判 平成24年1月16日(集民 第239号253頁)」の判決内容はこちら

 

 

7−2.減給処分が違法になるとどうなるか?

「(1)減給の範囲が法令違反の場合」により、懲戒処分が違法となる場合には、少なくとも、減額しすぎた給与を、改めて支払う義務が発生します。

例えば、減給額が著しく多額すぎたり、「(2)減給処分の選択が相当ではない場合」で解説した通り、そもそも減給処分自体が違法であった場合には、減給処分そのものが無効となり、減給した金額全額を、職員に支払う義務が発生することになります。

また、違法な減給処分を受けたことで、精神的苦痛を伴ったとして、損害賠償を請求されるケースもあります。

 

●参考事例:京都地方裁判所平成19年3月28日判決

例えば、自治体における分限処分(公務員における懲戒処分)の例ですが、町長が町職員に対してした降任、減給処分が手続上違法なものであるとして取り消され、同処分により被った精神的損害に対する慰謝料として20万円の支払いが命じられた事例があります。

なお、この事例は、本来分限処分の例によるべきであった処分を、同手続きにより行わなかったことを理由に、違法としています。

 

▶️参照:「京都地方裁判所平成19年3月28日判決」の判決内容

 

 

8.減給処分による職員への影響

減給処分を含む懲戒処分は、処分の性質そのものの影響以外にも、職員へ影響を与える場面があります。

以下では、賞与(ボーナス)、昇級、退職金支給、転職の場面についてそれぞれ解説します。

 

8−1.賞与(ボーナス)の減少

賞与(ボーナス)は、就業規則にその内容が定められている場合や、使用者と労働者との間の労働契約で合意した場合に支払い義務が発生する、という性質です。

そのため、賞与(ボーナス)について、以下のような規定をしている事業所も多いのではないかと思います。

 

▶参照:規定例

賞与は、会社の業績に応じ、従業員の能力、勤務成績、勤務態度等を人事考課により査定し、その結果を考慮して、その都度決定する。

 

 

懲戒処分は、まさに職員の能力、勤務成績、勤務態度等の問題であり、人事考課に影響を及ぼす要素です。そのため、懲戒処分の対象となった問題行動を理由として、他の職員に比して賞与(ボーナス)を減らすことはあり得ます。

しかしながら、この人事考課については、基準をしっかり設けて、公平かつ合理的な運用をしていることが非常に重要となります。単に、「評価項目を総合的に考慮する」と説明するだけでは、恣意的な運用をしていると取られかねません。

また、懲戒処分を受けた場合は一律に賞与を0円にする、などといった運用も、他の職員との均衡性を著しく欠くことになり得ますので避けるべきです。

実際に賞与の金額に差を設ける場合には、問題行動の性質もそうですが、懲戒処分の程度や回数など、客観的な基準を設けておくと利用しやすくなります。

 

8−2.昇級への影響

昇級の場合も、人事考課の基準として、懲戒処分があった場合の評価方法を事前に定めておき、これに従って判断をすることが重要です。

もっとも、昇級自体は、原則としては使用者側に人事権の裁量がありますし、特に全ての職員が必ず昇級するというものでもありませんので、懲戒処分の影響をある程度重く見ることも不合理ではありません。

 

【弁護士 畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

人事評価をどのように行うかについて、悩みをお持ちの事業所も多いのではないかと思います。

 

特に、初めの頃は職員も少なく、また気心のしれた職員ばかりで、賞与等についてもある程度柔軟に決定していて支障がなかったかもしれませんが、職員が増えていくにつれ、給与等に関する不平等感や曖昧さ、基準がわからないことへの不信感などから、職員が将来への見通しが持てず、不満の中で離職してしまうケースも後を立ちません。

 

人事評価制度は、事業所が職員に対して、どのような役割を求め、何を評価するかの意思統一をした上で、客観的に見て明確でかつ合理的な内容とする必要があり、一朝一夕でできるようなものではありません。そのため、日々の多忙な業務の中ではついつい後回しになりがちです。

 

しかしながら、この問題にいつまでも着手しなければ、多くの事業所を運営し、多くの職員を抱えるようになってきた場合、必ず労務問題で足元を救われます。

 

今一度、みなさんの事業所で、人事評価基準の見直しや、策定を検討してみましょう。

 

 

8−3.退職金への影響

退職金については、通常は、勤務年数、退職時の基本給、退職理由を主な考慮要素として、算定されます。

その場合、就業規則において、例えば懲戒処分の中でも諭旨解雇や懲戒解雇をした場合や、これらの懲戒処分に相当するような行為をした場合に、退職金の減額、不支給、返還等を定めることはありますが、減給処分等、それよりも軽い懲戒処分を理由として、退職金の額を変動させる仕組みとすることは一般的ではありません。

しかしながら、退職金の算定についても、在職中の貢献度や能力を考慮できる定め方をすることは可能です。

例えば、いわゆる「ポイント制方式」と言われる、労働者の在職中の資格・等級、勤続年数等を基準として1年あたりのポイントを設定した上、当該基準に応じてポイントを付与し、退職時に取得ポイント数に単価を乗じることによって退職一時金の額を算出する制度設計があります。

この方式を利用する場合、例えばポイントをマイナスする要素として、懲戒処分にかかる事実を加えておくことも考えられます。

もっとも、この場合も人事考課の場合と同様であり、評価が適正になされるかどうかという問題はあるため、ポイントの増減要素については客観的に見て明らかな事情とすることが重要です。

なお、退職金の規定の方法を、ポイント制方式に変更する場合には、人によっては退職金額が減ってしまったり、将来にわたって退職金額が不安定になるので、就業規則の変更にあたっては職員に対して丁寧に説明をし、同意を得ておきましょう。

 

8−4.転職時の履歴書への記載

履歴書に記入欄のある「賞罰」に記載すべき「罰」とは、刑法上の犯罪による懲役刑、禁錮刑、罰金刑といった有罪判決を受けて科された「罰」(刑事罰)のことを指しており、行政罰や就業先での懲戒処分は含みません。

そのため、減給処分を受けたことがある旨についても、履歴書へ記載をする必要はありません。

もっとも、転職先の法人としては、当該職員を雇用するにあたって、なぜこの職員が転職をしようとしているのか、前の事業所をやめた理由は何かについて、知りたいと考えるのは通常のことです。

そのため、履歴書には書いていなくても、面接の際に、退職理由や懲戒処分を受けた事実について尋ねることは通常であり、その際に秘匿をしたり虚偽の事実を伝えたりすると、転職先の会社で、懲戒処分等を含めたなんらかの処分を受ける可能性があります。

 

9.職員への制裁として減給処分を行う前に弁護士に相談したほうがよい理由

減給処分は、戒告処分と異なり、少額であっても給与が減額されるもので、職員にとってはインパクトの強いものです。そのため、戒告処分から進んで減給処分をする際には、確実な準備や検討が必要であり、1つのプロセスの不備が命取りになります。

すなわち、減給処分という選択肢をとるためには、初期対応時からの計画的な準備が必要なのです。このような時に、すぐに相談ができる労働法に強い弁護士、介護業界に明るい弁護士がいることは重要です。初期対応の段階から弁護士へ相談することで、必要な証拠を揃えていきながらも、プロセスを確実に履践することができます。

事業所として対応が難しくなるよりももっと以前に、取るべき手段がまだ数多く残されているうちに、弁護士に相談することを心がけましょう。

 

10.減給に関して弁護士法人かなめの弁護士に相談したい方はこちら

介護業界に特化した弁護士法人かなめによるサポート内容のご案内!

弁護士法人かなめでは、介護業界に精通した弁護士が、以下のようなサポートを行っています。

 

  • (1)減給処分に関する手続の指導
  • (2)労働判例研究ゼミ
  • (3)顧問サービス「かなめねっと」

 

10−1.減給処分に関する手続の指導

減給処分は、懲戒処分の中でも踏み込んだ手続きであることに加え、その後の手続きにつながる重要な過程の一つであるため、求められるプロセスを確実に踏んでいくことが重要です。

そのため、減給処分を検討するにあたっては、初期のタイミングから専門家の意見を仰いでおくことが重要なのです。

弁護士法人かなめでは、介護事業所の労務管理に精通した弁護士が、証拠の残し方、注意指導をする際の準備などを、計画的にサポートした上、手続を行うタイミングも含め、指導します。

これにより、減給処分を確実に実施でき、実施後の紛争も最小限に抑えることが可能になります。

 

10−2.労働判例研究会

弁護士法人かなめでは、顧問先様を対象に、退職勧奨の手続きや団体交渉をはじめとして、普段の労務管理の参考になる労働判例を取り上げ、わかりやすく解説する労働判例研究会を不定期に開催しています。

研究会の中では、参加者の皆様から生の声を聞きながらディスカッションをすることで、事業所に戻ってすぐに使える知識を提供しています。

 

10−3.顧問サービス「かなめねっと」

弁護士法人かなめでは、「10−1」及び「10−2」のサービスの提供を総合的に行う顧問弁護士サービス「かなめねっと」を運営しています。

事業所内で何か問題が発生した場合には、速やかに弁護士へ相談できる関係性を構築しています。

具体的には、弁護士と介護事業所の関係者様でチャットグループを作り、日々の悩み事を、法的問題かどうかを選択せずにまずはご相談頂き、これにより迅速な対応が可能となっています。いつでもご相談いただける体制を構築しています。法律家の視点から利用者様とのトラブルをはじめ、事業所で発生する様々なトラブルなどに対応しています。

直接弁護士に相談できることで、事業所内社内での業務効率が上がり、情報共有にも役立っています。

顧問弁護士サービス「かなめねっと」について詳しくは、以下のサービスページや動画をご覧ください。

 

▶参照:顧問弁護士サービス「かなめねっと」について

 

▶︎【介護・保育事業の方、必見】チャットで弁護士と繋がろう!!介護保育事業の現場責任者がすぐに弁護士に相談できる「かなめねっと」の紹介動画

 

 

また以下の記事では、介護業界における顧問弁護士の選び方や費用等について詳しく説明をしていますので、併せてご覧下さい。

 

▶︎参考:介護施設など介護業界に強い顧問弁護士の選び方や費用の目安などを解説

 

 

10−4.弁護士費用

 

(1)顧問料

  • 顧問料:月額8万円(消費税別)から

 

※職員の方の人数、事業所の数、業務量により顧問料の金額は要相談とさせて頂いております。詳しくは、以下のお問合せフォームまたはお電話からお問い合わせください。

 

▶️お問い合わせはこちらから

 

 

また、顧問弁護士サービス以外に弁護士法人かなめの弁護士へのスポットの法律相談料は、以下の通りです。

 

 

(2)法律相談料

  • 1回目:1万円(消費税別)/1時間
  • 2回目以降:2万円(消費税別)/1時間

 

※相談時間が1時間に満たない場合でも、1時間分の相談料を頂きます。

※スポットでの法律相談は、原則として3回までとさせて頂いております。

※法律相談は、「1.弁護士法人かなめにご来所頂いてのご相談」、又は、「2.ZOOM面談によるご相談」に限らせて頂き、お電話でのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

※また、法律相談の申込みは、お問合わせフォームからのみ受け付けおります。

※介護事業所の経営者側からのご相談に限らせて頂き、他業種の企業様、職員等一般の方か らのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

 

▶️お問い合わせはこちらから

 

 

11,まとめ

この記事では、減給処分を含む懲戒処分の根拠や、減給処分とその他の手続との違いなどを紹介した上で、減給処分を行うべき事例や具体的な手続について解説しました。

減給処分の大きな特色は、戒告処分よりも一歩進んだ懲戒処分であり、給与を減額するというインパクトのある処分でありながら、その利用には厳格な制限があり、軽い懲戒処分に位置付けられている点です。

そのため、懲戒事由の程度や、これまでの注意指導、懲戒処分歴などを考慮しながら、効果的に利用することができる処分でもあります。

問題職員にお困りの事業所の皆様は、労働分野、介護分野に詳しい弁護士に相談の上、計画的かつ効果的に減給処分を利用していきましょう。

 

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この記事を書いた弁護士

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畑山 浩俊はたやま ひろとし

代表弁護士

出身大学:関西大学法学部法律学科卒業/東北大学法科大学院修了(法務博士)。
認知症であった祖父の介護や、企業側の立場で介護事業所の労務事件を担当した経験から、介護事業所での現場の悩みにすぐに対応できる介護事業に精通した弁護士となることを決意。現場に寄り添って問題解決をしていくことで、介護業界をより働きやすい環境にしていくことを目標に、「介護事業所向けのサポート実績日本一」を目指して、フットワークは軽く全国を飛び回る。
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中野 知美なかの ともみ

弁護士

出身大学:香川大学法学部法律学科卒業/大阪大学法科大学院修了(法務博士)。
介護現場からの相談を数多く受けてきた経験を活かし、一般的な法的知識を介護現場に即した「使える」法的知識に落とし込み、わかりやすく説明することをモットーとしている。介護事故、カスタマーハラスメント、労働問題、行政対応など、介護現場で発生する多様な問題に精通している。

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