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【例文付き】クレーム対応のメール・文書の書き方やコツを解説

【例文付き】クレーム対応のメール・文書の書き方やコツを解説
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クレーム対応に際して、手紙やメールなどを送ることがあります。しかし、介護業界で働かれている方の多くは、このような文章を書くトレーニングを積んできておらず、「そもそも文章の書き方がわからない」、「文章を作成する際のルールがわからない」、「どのような文章を書けばよいかわからない」と思われている方が多いと思います。

これに加え、そもそもクレーム対応の文章の作成の難易度は高く、適切な文章を作成しなければ却ってクレームが激化することもあります。

そのため、クレーム対応の場面でのメールや手紙など文書の正しい書き方や作成におけるコツを正しく理解しておくことが重要なのです。

昨今の介護業界ではハードクレームが着目されていますが、本来クレームは事業所の業務を改善するため有益な材料です。クレーム対応をしっかりすることにより、クレーム発生前よりも利用者・家族からの信頼が増したというケースも多々あります。

そこで、この記事では、クレーム対応のために、手紙やメールで文章を作成する際の注意点について、事業所に落ち度のあるクレームと非のないクレームに分けて文例を示しつつ解説します。

この記事を参考にクレーム対応を実践し、利用者・家族からの信頼を得れるような対応をしていきましょう。

 

1.電話やメールなどの文書でのクレーム対応が上手い人の特徴とは?

電話でのクレーム対応が上手い人の特徴の1つ目は、丁寧かつ大きな声でハキハキ喋ることができることです。

これらの人の特徴は、人に不快感を与えない振る舞いができるということです。事業所に非があるとないとにかかわらず、クレームを言う人は、すでに不満、憤りをもっているはずです。そのため、クレーム対応で更に不満や怒りの感情を増加させないことが重要です。

2つ目の特徴は、聞き上手であることです。

不満や怒りの感情は、話すことによって一定程度解消されていきます。そのため、クレームを言う人に、気持ちよく話をさせることができると、クレームの強度が下がる可能性があります。このような観点から、聞き上手であることは、クレーム対応が上手い人の特徴です。

特にクレームを言う側とクレームを受ける側という対立関係から始まった話し合いを、「利用者のためにお互い協力していきましょう」という協調関係に落とし込めるような人は、クレーム対応が非常に上手い人です。

次に、文書やメールでのクレーム対応が上手い人の特徴は、一文が短く一義的に解釈ができるわかりやすい文章を書くことができること、見やすいレイアウトで文章を作成できること、文章のマナーがわかっていることです。

文章でクレーム対応する場合は、事業所側の主張や考え方が適切に相手に伝わることが大前提になります。伝わりやすい文章を書くことができるのは、上記のような特徴の人です。

また、一部のクレーマーは文章の形式について、重箱の隅をつつくような指摘をしてきます。そのため、文章を作成する際のマナーや決まり事がきちんとできていることが、大切です。

 

2.クレーム対応の基本と注意すべきポイント

以下では、クレーム対応の基本と注意すべきポイントを、対面の場合、電話の場合、手紙の場合、メールの場合に分けて解説します。

 

2−1.対面の場合

対面でのクレーム対応では、大前提として、相手方に不快感を抱かせないということが重要です。大きな声でハキハキと話す、丁寧に話す、相手の目を見て話す、相手方の話にしっかり耳を傾けるなど、一見すれば、ビジネスパーソンとして、当然の行動が、いざとなるとできないケースは多々あります。

クレーム対応自体で不快感を抱かせてしまうようでは、クレームが解決するはずはありません。

その意味で、例えば、クレームの内容をしっかりメモに取り、あなたの言う事をきちんと聞いていますよという態度を示すことも重要です。

また、メモを取るという行為は、行き過ぎたクレームに対する牽制になることもあります。例えば、「SNSで騒ぎ立てる」、「知り合いに暴力団関係の人がいる」、「こんな事業所簡単につぶすことができる」などという脅し言葉を使われた際に、しっかりとメモに残すことよって、自分の発言が記録されていると認識させることができ、過度な表現を控えようと思わせることができます。

そして、対面でのクレーム対応で最も重要なのが、「その場で回答をしないこと」です。対面でクレーム対応をしていると、どうしても相手方の圧力に負けてしまい、本来応じるべきではないことに応じてしまうことがあります。一度相手方の過度な要望に応じてしまうと、あたかも要望には応じて当然という雰囲気が醸成されてしまい、非常に対応が難しくなってしまいます。そのため、その場では判断・回答をせずに、「一度持ち帰った上で法人内で検討をします」と明確に伝えましょう。

また、クレームは法人に向けられたものであり、クレーム担当者がその場で即断即決することはできないはずです。その場で判断・回答する義務はありませんし、持ち帰って検討することはむしろ組織として誠実な対応です。臆することなく、「一旦持ち帰って検討します」と伝えるようにしましょう。

なお、対面でクレーム対応は、客観的な記録が残らないので、録音をすることにより、客観的な記録を残すよう意識してください。クレーム対応の場面では、相手のクレーム内容を正確に記録し、法人として適切に対処するためという正当な理由がありますので相手方の同意を取らずに録音しても問題ありません。

 

▶参考:録音については、以下のカスタマーハラスメントの解説記事でも紹介しておりますので、併せてご確認ください。

介護現場でのカスタマーハラスメント(カスハラ)を訴える!具体的な方法を解説

 

 

2−2.電話の場合

電話でのクレーム対応についても、基本的には、対面でのクレーム対応と同様です。

もっとも、電話での対応の場合、相手方の表情が見えないという特徴があります。そのため、電話越しでも伝わるように、対面での対応以上に誠実な対応を心がけてください。

また、電話での対応の場合、1人で対応することが通常だと思います。電話での対応が長引く可能性があったり、ご家族の意向を細かく聞き取る可能性がある場合は、スピーカー通話に設定し、話をする職員とメモを取る職員の2名体制で対応することも検討しましょう。

そして、対面での対応と同様に録音はするようにしてください。電話やスマホに録音機能がない場合や録音機能の使い方がわからない場合は、スピーカー通話に設定し、ボイスレコーダーを横に置くと録音が可能です。

 

2−3.手紙の場合

手紙での対応については、その内容が客観的に残るため、丁寧な対応はもちろんのこと、わかりやすく、一義的な文章を作成することが必要です。

また、同じようなことを伝えるつもりでも、その表現が異なれば、相手方に与える印象も大きく変わる可能性があります。文章の方向性として、ある程度へりくだる内容にするのか、警告の意味合いを強くするかなどを決定し、その方向性に沿った表現になっているかを事業所内で丁寧に確認するようにしましょう。

そして、手紙の場合には、どのような郵送方法で送るかも検討する必要があります。

例えば、書面を郵送する場合、普通郵便で送付すると、事業者が書面を送付したことやその書面が相手方に到達したことの立証手段がありません。そのため、特定記録郵便や内容証明郵便といった郵送手段を用いることが有効です。

 

▶参考:特定記録郵便、内容証明郵便については、こちらの記事を参考にしてください。

内容証明郵便とは?出し方・料金・書き方を文例付きで解説【テンプレート付】

 

 

また、内容証明郵便や書留の場合、相手方が受け取るという行為が必要になるため、受け取ってくれない場合の対応も考える必要があります。具体的には、特定記録郵便やメールなどの、相手方に届いたことがわかる送付方法にすることが考えられます。

 

2−4.メールの場合

メールでの対応の場合、文章であるという点では、手紙での対応と同様です。

また、メールでの回答を要求されたり、日常的にメールでやり取りをしているご家族であれば問題ないですが、クレーム対応に際して普段と異なる連絡手段としてメールを使用する場合は、あとで「届いていない」、「見ていない」と言われないために、事前にメールで送ることを伝えたり、メールを送った後に電話でメールを送ったことを伝えるなどの対応が必要になることもあります。

 

3.事業者側に落ち度があることで発生したクレームの場合の例文【対面・電話、手紙、メールのケース別に紹介】

事業者側に落ち度があることで発生したクレームの場合の例文【対面・電話、手紙、メールのケース別に紹介】

それでは、具体的な事例をもとに、事業所側に落ち度があることで発生したクレームの対応について説明します。事例は以下のとおりです。

 

▶参考:具体例

特別養護老人ホームに入居している入居者Aの着替えが、他の入居者Bの着替えと取り違えられていて、入居者Aの家族から、クレームと共に「個人の所有物の管理はどうなっているのか、物を盗まれたりしていないのか」という強い申し入れがありました。

なお、入居者の洋服には各入居者の名前が書いてありますが、職員がそれを確認せずに、別の入居者が着ていた洋服と、当該入居者の洋服が似ていたことを理由に、着替えを取り違えたという状況でした。

 

3−1.対面・電話の場合

 

(1)連絡の方法

家族に謝罪をするためには、まずは、家族に連絡をする必要があります。特に対面の場合は、日程調整をする必要があり、そのための連絡が必要になります。

上記の事案のように、すでにクレームを受けている状況であれば、基本的には「今般の件について謝罪をさせていただきたいので、一度お会いできないか。」という連絡をし、日程調整をすることになります。もちろん、この連絡の際にも謝罪はするのですが、対面で直接謝罪をするという場を設定することが丁寧なクレーム対応として重要なことがあります。

電話での対応の場合は、「今般の件について謝罪したく、お電話しました。」と伝えたうえで、謝罪や説明をしましょう。

 

(2)謝罪の方法

謝罪をするとして、謝罪の方法としては、以下のような様々なパターンが想定されます。

 

  • 電話で謝罪をするのか、対面で謝罪をするのか
  • 対面で謝罪するとして家族の自宅まで行くのか、施設に来てもらうのか
  • 来てもらうとしてすぐに来てもらうのか、以後面会に来られる際に謝罪をするのか

 

どのような謝罪方法を選択すべきかは、事業所側でのそのクレームについてどれほどの重み付けをするかという観点から判断してください。

一番丁寧な対応は、もちろん自宅に伺って謝罪することですが、すべてのクレームについて自宅に伺って謝罪するとなると、業務上の負担があまりに多くなります。逆に、一番手間がかからないからといってすべてのクレームについて電話のみの謝罪で済ませようとすると、クレームが収束しなかったり、場合によっては激化する可能性さえあります。

基本的には、丁寧に対応するという方針を原則としつつ、そこまでする必要がないという事情があれば事業所側の負担を減らす対応をしていくべきです。その際、事業所側の落ち度の程度や家族の怒りの程度を考慮し、いずれかが大きい場合には、より丁寧な対応をするよう心がけましょう。

また、事業者側が「ご自宅までお伺いします」と伝えた際に、ご家族側から「いやいや、電話で謝罪はしてもらっているので、わざわざ自宅まで来なくて大丈夫です」と言われることもあるでしょう。そのような場合には、必ずしも自宅まで謝罪に行かなくても良い場面もあると思います。

上記の事例のケースですと、事業所のミスの程度としては入居者の生命身体への危険性はないという点でそれほど大きなミスではありませんので、その点を重視すれば電話での謝罪でよいかと思いますが、他方で家族の怒りの程度が強いので、電話での謝罪では不十分ではないかと思います。

結局は、個別事例によって適切な対応方法は変わってきますので、クレーム対応に悩まれる際には、介護業界のクレーム対応に詳しい弁護士に相談するようにしましょう。

 

(3)説明の方法

対面や電話での謝罪に際しても、書面の提示が求められることもあります。

もっとも、介護事業者は、事故が発生した場合に、行政に対して事故報告書を提出する義務を追っていますが、謝罪に際して書面を提示する義務はありません。 そのため、書面の提示を求められたとしても断って問題ありません。ましてや、利用者、家族が作った書面に署名・押印する義務など全くありません。

クレームの圧力に押されて、相手方が提示する書面に安易に署名・押印したことが大きなトラブルの原因になる可能性もありますので、少なくとも書面を提示された場合は一度持ち帰るようにし、弁護士にも確認してもらうようにしましょう。

なお、事故が発生した場合やクレームのきっかけになる出来事の経緯が複雑な場合、議論を整理するために、経緯を書面でまとめて提示することは、クレーム対応として事業者にとってもメリットがある場合があります。事実関係が共有できなければ、議論がかみ合わなかったり、却って誤解が生じたりする可能性があるからです。
そのため、事実関係を共有した方が話を進めやすいと思えば、事業者側の判断として経緯等を記載した書面を作成することは問題ありません。

上記の事例のケースでは、ミスの程度からすれば、口頭での説明に留め、書面まで作成する必要はないことが基本になると考えられます。

 

(4)具体的な説明例

謝罪をする際には、謝罪の対象を明確にすること、事業所側のミスの原因を分析して説明すること、再発防止策を検討し説明することを意識するようにしましょう。

謝罪の対象が明確にならなければ、謝罪を受ける側が、何について謝罪を受けているかわからず、納得ができないという事態が生じかねません。

また、ミスの原因や再発防止策を説明しなければ、なぜ事業所側にミスが発生したのかがわからず、再度同じミスが発生しないかという疑義が生じ、クレームが収まらない可能性があるからです。

以上を踏まえて、上記の事例での説明内容は以下のようになります。

 

  • 他の入居者の洋服との取り違えがあったことについて、誠に申し訳ございませんでした。
  • 取り違えの原因は、職員が、洋服が似ているということから洋服に記載がある入居者の名前を確認しなかったことです。
  • 今後は、洋服や私物について、必ず入居者の名前を確認するよう徹底します。

 

3−2.手紙の書き方の場合

 

(1)文頭の挨拶の内容

クレーム対応の手紙は、顧客である利用者・家族に宛てて送るものですので、「謹啓 平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。」などというビジネス文書で用いられる文頭の挨拶を記載するようにしましょう。

これに加えて、時候の挨拶も記載すれば、より丁寧な印象を与えることができます。特に、利用者・家族は高齢な方が多いと思いますので、文書作成上のルールを踏まえた丁寧な文書は礼儀正しいという印象や誠実な印象を与えることができます。

 

(2)状況の説明の方法

手紙で謝罪する場合、謝罪の前提として状況の説明が必要になります。

具体的には、クレームのきっかけとなった問題が起こったときの状況、問題の原因などをできるだけ詳しく説明し、謝罪の前提となる状況を共有することが重要です。

前提となる状況について、認識を共有できなければ、謝罪の趣旨がうまく伝わらない可能性があるため、前提となる状況についても認識を共有しましょう。

上記の事例では、入居者の洋服には各入居者の名前が書いてあるにもかかわらず、職員が洋服が似ているという理由で名前を確認しなかったために、洋服の取り違えが生じたという点を説明する必要があります。

当たり前のように思われるかもしれませんが、意外にこのような前提となる状況の説明ができていないことが多く、それが理由で家族の不信感が強まったり、事業所が何か隠しているのではないかという疑念が強まったりする事がよくあります。事業所が誠意を持って説明をしているという印象を与えるという意味でも、前提となる状況の説明は非常に重要なのです。

 

(3)謝罪の方法

手紙でクレーム対応をする場合には、手紙に謝罪の対象と謝罪の文言を記載する必要があります。

謝罪の対象と謝罪の意思がきちんと伝わる文章を記載するようにしましょう。

具体的には、「◯◯(事業所のミス)をしてしまったことについて、申し訳ございませんでした」などと記載し、何に対して謝罪しているのかが伝わる文章を記載しましょう。

 

(4)結びの挨拶

結びの挨拶としては、ビジネス文書で一般的に使用されている以下のような表現を使用しましょう。

 

  • 今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
  • 引き続きよろしくご協力を賜りたくお願いいたします。
  • 今後とも変わらぬご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

 

また、冒頭に「拝啓」・「謹啓」と記載した場合には、末尾に「敬具」・「謹白」と記載するようにしましょう。

 

(5)具体的な文書例

上記の事例での謝罪の文書例は以下のとおりです。

 

A(入居者) 様
B(ご家族) 様

謹啓
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

特別養護老人ホームかなめの施設長の畑山です。

この度は、当施設において、A(入居者)様の洋服を取り違えるという事態が発生したことについて、経緯のご説明と謝罪をさせていただきたく、本書をお送りしました。

まずは、当施設の杜撰な管理体制により、A(入居者)様、B(ご家族)様にご心配とご迷惑をお掛けしましたことを心よりお詫び申し上げます。

以下、何故このような事態が発生したのか、今後どのように再発を防止していくのかについてご説明させて頂きます。

当施設においては、入居者様の洋服や私物については、取り違えが発生しないための予防策として、必ず氏名を記載するようにお願いしており、職員は必ずその氏名を確認して衣類や私物を入居者様にお渡しするよう運用してまいりました。

ところが、今般、A(入居者)様の洋服の取り違えが判明したことから、施設職員に確認したところ、一部の職員が洋服や私物の氏名を確認をせず、「似ていたから」、「きっとそうに違いない」などとの職員の感覚や思い込みをもとに各入居者にお渡しをしたり、居室に仕舞っていたことがわかりました。

氏名を確認すれば取り違えが生じる可能性はなく、氏名の確認を怠っていたことは当施設の職員の怠慢にほかなりません。
このような怠慢が続けば、B(ご家族)様がご指摘されるように、洋服や私物が紛失したり、盗まれたことが発覚しなかったりする可能性が十分ありえると考えております。

職員の怠慢により、A(入居者)様、B(ご家族)様にご心配、ご迷惑をおかけしましたことについては、誠に申し訳ございませんでした。

今後は、洋服や私物の氏名の確認を徹底し、洋服や私物の取り違えが生じないように致します。私も施設長として、職員が氏名の確認をしているかどうかについて教育指導を徹底するように致します。

なお、その後A(入居者)様を含め、全入居者様の私物、洋服を確認しましたが、他の入居者様との取り違えはありませんでした。

以上の内容をご確認のうえ、ご不明な点がございましたら、いつでもご連絡を頂ければと存じます。

今回の件以外でも、当施設又は職員の対応に不備等がございましたら、私までご報告ください。

ご心配、ご迷惑をおかけしたことについて重ねてお詫び申し上げます。
今後とも変わらぬご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

謹白

 

 

3−3.メールの書き方の場合

 

(1)件名の付け方

謝罪のメールに限りませんが、件名は、メールの内容がわかるように、端的かつ具体的に記載する必要があります。

謝罪のメールの場合、謝罪のメールであること、謝罪の対象が一見してわかるような件名を付けるべきです。上記の事例で言えば、「【お詫び】A(入居者)様の洋服の取り違えについて」などと記載すれば、謝罪のメールであること、謝罪の対象が洋服の取り違えであることが一見してわかります。

 

(2)文頭の挨拶の内容

文頭の挨拶は、謝罪のメールであっても、通常のビジネスメールと同様で問題ありません。

例えば、「平素よりお世話になっております。特別養護老人ホームかなめの施設長の畑山です。」などという記載で問題ありません。

 

(3)状況の説明の方法

状況の説明の方法は、手紙の場合「(2)状況の説明の方法」と同様です。謝罪の前提として状況の説明を丁寧にするようにしましょう。

 

(4)謝罪の方法

謝罪の方法も、手紙の場合「(3)謝罪の方法」と同様です。手紙でクレーム対応をする場合には、手紙に謝罪の対象と謝罪の文言を記載する必要があります。謝罪の対象と謝罪の意思がきちんと伝わる丁寧な文章を記載することを心がけましょう。

 

(5)結びの挨拶

結びの挨拶も、手紙の場合「(4)結びの挨拶」と基本的には同様です。もっとも、「拝啓」・「謹啓」や「敬具」はビジネスメールでは不要とされていますので、使わないようにしましょう。

 

(6)具体的な文書例

上記の事例での謝罪のメールの文例は以下のとおりです。

 

A(入居者) 様
B(ご家族) 様

 

平素よりお世話になっております。特別養護老人ホームかなめの施設長の畑山です。

この度は、当施設において、A(入居者)様の洋服を取り違えるという事態が発生したことについて、経緯のご説明と謝罪をさせていただきたく、本メールをお送りしました。

まずは、当施設の杜撰な管理体制により、A(入居者)様、B(ご家族)様にご心配とご迷惑をお掛けしましたことを心よりお詫び申し上げます。

以下、何故このような事態が発生したのか、今後どのように再発を防止していくのかについてご説明させて頂きます。

当施設においては、入居者様の洋服や私物については、取り違えが発生しないための予防策として、必ず氏名を記載するようにお願いしており、職員は必ずその氏名を確認して衣類や私物を入居者様にお渡しするよう運用してまいりました。

ところが、今般、A(入居者)様の洋服の取り違えが判明したことから、施設職員に確認したところ、一部の職員が洋服や私物の氏名を確認をせず、「似ていたから」、「きっとそうに違いない」などとの職員の感覚や思い込みをもとに各入居者にお渡しをしたり、居室に仕舞っていたことがわかりました。

ところが、今般、A(入居者)様の洋服の取り違えが判明したことから、各施設職員に確認した所、一部の職員が洋服や私物の氏名を確認をせず、感覚や記憶をもとに各入居者ににお渡しをしたり、居室に仕舞っていたことがわかりました。

氏名を確認すれば取り違えが生じる可能性はなく、氏名の確認を怠っていたことは当施設の職員の怠慢にほかなりません。
このような怠慢が続けば、B(ご家族)様がご指摘されるように、洋服や私物が紛失したり、盗まれたことが発覚しなかったりする可能性が十分ありえると考えております。

職員の怠慢により、A(入居者)様、B(ご家族)様にご心配、ご迷惑をおかけしましたことについては、誠に申し訳ございませんでした。

なお、その後A(入居者)様を含め、全入居者様の私物、洋服を確認しましたが、他の入居者様との取り違えはありませんでした。

今後は、洋服や私物の氏名の確認を徹底し、洋服や私物の取り違えが生じないように致します。私も施設長として、職員が氏名の確認をしているかどうかについて教育指導を徹底するように致します。

以上の内容をご確認のうえ、ご不明な点がございましたら、いつでもご連絡を頂ければと存じます。

今回の件以外でも、当施設又は職員の対応に不備等がございましたら、私までご報告ください。

ご心配、ご迷惑をおかけしたことについて重ねてお詫び申し上げます。
今後とも変わらぬご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

【弁護士畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

【コラム】謝罪の際のお詫びの品等の準備の要否

 

謝罪の際に必ずお詫びの品を渡さなければならないわけではありません。

 

もっとも、社会的な儀礼として、謝罪の際にお詫びの品を渡すことは一般的ですし、お詫びの品を持参したことについて不快感が示されることはまれだと思いますので、特に自宅にお伺いして謝罪をするようなケースでは、お詫びの品を持参するのが無難でしょう。

 

なお、手土産を渡す際に、「つまらないものですが」と付け加えることが多いですが、謝罪の場合にはこのような表現を使うべきではありません。謝罪に来たのに「つまらないものを持ってきたのか」とさらにクレームになる可能性があるからです。

 

お詫びの品を渡す際には、「心ばかりの品物ではございますが、どうぞお納めください。」などと申し添えるようにしましょう。

 

 

4.事業所側に非がないクレームの場合の例文【対面・電話、手紙、メールのケース別に紹介】

事業所側に非がないクレームの場合の例文【対面・電話、手紙、メールのケース別に紹介】

以上では、事業所側に落ち度がのあって生じたクレーム対応の例文等を解説してきました。

非のないクレームの場合は、事業所側に落ち度あるクレームと対応内容が異なります。以下では、具体的な事例をもとに、事業所側に非がないクレームの対応について検討します。

また、非のないクレームであっても、謝罪から入る対応が基本です。この場面における謝罪はいわば円滑なコミュニケーションにおけるクッションであると考えて下さい。怒り心頭の相手です。いくら当方に非がないからと言って、怒っている相手を宥めないことには話が進みません。怒っている相手に対して共感を示す謝罪をすることによって、怒りを沈めてもらい、話し合いの土台を作ることが重要です。謝罪をせずに、クレームを収束させることはできないと考えておきましょう。

もっとも、その場合の謝罪は、不快感・不満を感じさせたことや期待に添えなかったことに対する謝罪ですので、必要以上にへりくだったり、事業者側に大きな問題があるという前提で謝罪する必要はありません。

事例は以下のとおりです。

 

▶参考:具体例

特別養護老人ホームに入居している入居者の家族から、「うちのお母さんは全面的に介助が必要なのに、マンツーマンで介助をしてもらえないのはなぜか。食事をする様子を見ていたら、他の入居者へ食事介助をしているせいでお母さんが放置されている。」とのクレームがありました。(なお、対象の入居者及び他の入居者への介助は安全に配慮した上で適切に行なっていることを前提とします)

 

 

4−1.対面・電話の場合

 

(1)連絡の方法

対面での対応をする場合は、落ち度のあるクレームの対応と同様に、面談の調整をすることになりますが、あくまでも事業所側に非がないという前提ですので、落ち度のあるクレームのように正式な謝罪の場を設ける対応とは少しニュアンスが異なります。

非のないことクレームにおいて、面談の場を設けるとすれば、事業所側として非のないこと、そしてその前提として利用者・ご家族に誤解や認識のちがいがあるのであればその内容を説明する機会を設けるということになります。

具体的な連絡内容としては「今般の件について、経緯のご説明をさせていただきたいので、一度お会いできないか。」という連絡をし、日程調整をしましょう。

電話での対応の場合も落ち度のあるクレームと同様に、「今般の件について経緯のご説明とをしたく、お電話しました。」と伝えたうえで、謝罪や説明をしましょう。

 

(2)謝罪の方法

クレーム対応において対面での対応を必要とする場面は、通常、丁寧な対応が必要な場面であることです。例えば、事業所側に大きな落ち度があったり、事業所側の落ち度により入居者・家族が非常に感情的になっている場合、丁寧な対応をすることにより、クレームを収束させようとする場合です。

ところが、非のないクレームの場合は、事業所に落ち度がない前提なので、このような理由で対面での対応をする必要がありません。

非のないクレームで対面での対応が必要なのは、双方の認識に大きな差があり、入居者・家族が感情的になっており、電話やメールなどの対応では事業所側で十分な説明ができない場合が考えられます。通常は電話やメールの方で説明する方が簡便でも、一部対面での説明でないと理解できない方もおられます。このような場合に、電話やメールだけで対応してしまうと、余計に時間がかかったり、話がこじれてしまうこともあるので、どの程度まで電話やメールでの対応を継続するかは慎重に判断する必要があります。

もちろん、上記のような場合でなくても、丁寧な対応をするという趣旨で対面での対応をすることは何ら問題ありません。

 

(3)説明の方法

クレームのきっかけとなった状況の説明については、落ち度のあるクレームの場合と基本的に同様です。非のないクレーム特有の問題としては、介護保険制度や介護保険サービスの実態を十分に理解できていないことがクレームのきっかけになっていることがあることです。

上記の事例では、介護保険法に基づく介護保険サービスである特別養護老人ホームにおいて、マンツーマンで職員を配置することなどありえないのですが、その点を理解されていないからこそのクレームだと考えられます。

このようなクレームに対して、頭ごなしに「マンツーマン配置はできません」などと回答してしまうと、家族との対立が深まり、余計にクレームの収束までに時間と手間を要する事態になりかねません。

そのため、このような場合には、介護保険制度や介護保険サービスの内容の説明から始めるべきでしょう。

 

(4)具体的な説明例

上記の事例に即して説明するとすれば、以下のような内容になります。

 

  • 介護保険サービスでは、国が、事業者が受け取ることができる報酬の単価を決定しており、この単価を基礎として国が標準的な人員配置体制を決定しています。
  • 国の基準では、特別養護老人ホームでは、おおむね入居者3名につき、介護職員及び看護職員を1名程度を配置すべきとされています。
  • 事業者は、この標準的な人員配置基準に沿って人員配置をしており、当施設も同様です。
  • 食事介助に際しては、入居者様の安全に配慮し、提供する食事の形態や提供する順番などを決定し、その決定に従って食事介助をしています。
  • お母さまは、ご自身で食事を取ることが難しく、誤嚥のリスクも高いので、ほかの入居者様の食事がひと段落してから提供するようにしています。
  • このような理由で、各入居者様にマンツーマンの配置をすることはできませんが、当施設では入居者様の安全には最大限注意を払っておりますので、どうかご安心ください。

 

4−2.手紙の書き方の場合

 

(1)文頭の挨拶の内容

非のないクレーム対応の手紙の文頭の挨拶については、落ち度のあるクレーム対応【(1)文頭の挨拶の内容】と同様です。

 

(2)状況の説明の方法

非のないクレーム対応の状況の説明についても、落ち度のあるクレーム対応【(2)状況の説明の方法】の場合と基本的には同様です。クレームのきっかけとなった出来事が起こったときの状況、その背景などをできるだけ詳しく説明し、謝罪の前提となる状況を共有するようにしましょう。

非のないクレーム特有の問題としては、「4−1.対面・電話の場合」の「(3)説明の方法」にも記載しましたが、介護保険制度、介護保険サービスに関する理解が不十分であることがクレームのきっかけになっていることが多いので、この点をしっかりと説明するようにしましょう。

 

(3)謝罪の方法

非のないクレーム対応における謝罪の方法も、落ち度のあるクレーム対応【(3)謝罪の方法】と基本的には同様です。謝罪の対象と謝罪の意思がきちんと伝わる文章を記載するようにしましょう。

もっとも、非のないクレームの場合、謝罪の対象は、あくまで不快感・不満を抱かせたことや期待に沿えなかったことに留めるべきで、これを超えて非のない行為についても謝罪する必要はありません。

 

(4)結びの挨拶

非のないクレーム対応における結びの挨拶も、落ち度のあるクレーム対応【(4)結びの挨拶】と基本的には同様です。ビジネス文書一般で使用される表現を使用しましょう。

 

(5)具体的な文書例

上記の事例でのクレーム対応の文書例は以下のとおりです。

 

A(入居者) 様
B(ご家族) 様

謹啓
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

特別養護老人ホームかなめの施設長の畑山です。

この度は、A(入居者)様の食事介助について、B(ご家族)様より、「職員のマンツーマン配置をしてほしい」とのご要望を頂きましたので、この点についてご説明をさせていただきたく、本書をお送りしました。

お母さまに対する当施設の職員の介助の状況について、ご不便・ご心配をおかけして申し訳ございませんでした。

もっとも、大変恐縮ですが、介護保険制度上、当施設としてはA様及びB様のご要望に沿うことができません。以下、具体的に理由をご説明させて頂きます。

まずは、当施設における職員の配置につきまして、ご説明致します。

当施設では、おおむね入居者3名につき、介護職員及び看護職員を1名程度を配置しております。
介護保険法に基づく介護保険サービスにおいては、国が、事業者が受け取ることができる報酬の単価を決定しており、この単価を基礎として国が標準的な人員配置体制を決定しています。国の基準では、特別養護老人ホームでは、おおむね入居者3名につき、介護職員及び看護職員を1名程度を配置すべきとされています。
事業者は、この標準的な人員配置基準に沿って人員配置をしており、当施設も同様です。そのため、当施設のような介護保険サービスを提供する特別養護老人ホームでは、各入居者様に職員をマンツーマンで配置することは現実的ではありません。
また、各入居者、利用者の要介護度に応じて平等に介護サービスを提供するという介護保険制度の趣旨や当施設の理念にも反するため、マンツーマンでの配置は致しかねます。

さらに、当施設においては、食事介助に際しては、入居者様の安全に配慮し、提供する食事の形態や提供する順番などを決定し、その決定に従って食事介助をしています。

お母さまは、ご自身で食事を取ることが難しく、誤嚥のリスクも高いので、ほかの入居者様の食事がひと段落してから提供するようにしています。

以上の状況を前提としますと、ご要望頂いているように、お母さまに当施設の職員をマンツーマンで配置することはできかねます。

もっとも、当施設では入居者様の安全には最大限注意を払っておりますので、どうかご安心頂ければ幸いに存じます。

当施設において、人員配置や介助の状況に関する説明が十分に行き届いておらず、ご不便・ご心配をおかけし、申し訳ございませんでした。

以上の内容をご確認のうえ、ご不明な点がございましたら、いつでもご連絡を頂ければと存じます。
今後とも変わらぬご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

 

4−3.メールの書き方の場合

 

(1)件名の付け方

非のないクレーム対応におけるメールの件名についても、落ち度のあるクレームと基本的には同様です。謝罪のメールであること、謝罪の対象が一見してわかるような件名を付けるべきです。もっとも、非のないクレームの対応のメールについては、経緯等の説明が本筋になると思いますので、説明をすることも明示しておきましょう。

上記の事例で言えば、「【お詫びとご説明】A(入居者)様の食事介助について」などと記載するのが良いでしょう。

 

(2)文頭の挨拶の内容

非のないクレーム対応におけるメールの文頭の挨拶についても、落ち度のあるクレームと基本的に同様です。もっとも、非のないクレームの対応のメールについては、経緯等の説明が本筋になると思いますので、説明をすることも明示しておきましょう。

通常のビジネスメールと同様に、「平素よりお世話になっております。特別養護老人ホームかなめの施設長の畑山です。」などという記載で問題ありません。

 

(3)状況の説明の方法

状況の説明の方法は、手紙の場合【(2)状況の説明の方法】と同様です。謝罪の前提として状況の説明や介護保険制度の説明を丁寧にするようにしましょう。

 

(4)謝罪の方法

謝罪の方法も、手紙の場合【(3)謝罪の方法】と同様です。謝罪の対象と謝罪の意思がきちんと伝わる丁寧な文章を記載すること、クレームの前提となった経緯や誤解が生じている内容について丁寧に記載することを心がけましょう。

 

(5)結びの挨拶

結びの挨拶も、手紙の場合【(4)結びの挨拶】と基本的には同様です。もっとも、「拝啓」・「謹啓」や「敬具」はビジネスメールでは不要とされていますので、使わないようにしましょう。

 

(6)具体的な文書例

上記の事例での謝罪のメールの文例は以下のとおりです。

 

A(入居者) 様
B(ご家族) 様

 

平素よりお世話になっております。特別養護老人ホームかなめの施設長の畑山です。

この度は、A(入居者)様の食事介助について、B(ご家族)様より、「職員のマンツーマン配置をしてほしい」とのご要望を頂きましたので、この点についてご説明と謝罪をさせていただきたく、本書をお送りしました。

お母さまに対する当施設の職員の介助の状況について、ご不便・ご心配をおかけして申し訳ございませんでした。

もっとも、大変恐縮ですが、介護保険制度上、当施設としては〇〇様のご要望に沿うことができません。以下、具体的に理由をご説明させて頂きます。

まずは、当施設における職員の配置につきまして、ご説明致します。

当施設では、おおむね入居者3名につき、介護職員及び看護職員を1名程度を配置しております。

介護保険法に基づく介護保険サービスにおいては、国が、事業者が受け取ることができる報酬の単価を決定しており、この単価を基礎として国が標準的な人員配置体制を決定しています。国の基準では、特別養護老人ホームでは、おおむね入居者3名につき、介護職員及び看護職員を1名程度を配置すべきとされています。

事業者は、この標準的な人員配置基準に沿って人員配置をしており、当施設も同様です。そのため、当施設のような介護保険サービスを提供する特別養護老人ホームでは、各入居者様に職員をマンツーマンで配置することは現実的ではありません。
また、各入居者、利用者の要介護度に応じて平等に介護サービスを提供するという介護保険制度の趣旨や当施設の理念にも反するため、マンツーマンでの配置は致しかねます。

さらに、当施設においては、食事介助に際しては、入居者様の安全に配慮し、提供する食事の形態や提供する順番などを決定し、その決定に従って食事介助をしています。

お母さまは、ご自身で食事を取ることが難しく、誤嚥のリスクも高いので、ほかの入居者様の食事がひと段落してから提供するようにしています。

以上の状況を前提としますと、ご要望頂いているように、お母さまに当施設の職員をマンツーマンで配置することはできかねます。

もっとも、当施設では入居者様の安全には最大限注意を払っておりますので、どうかご安心頂ければ幸いに存じます。

当施設において、人員配置や介助の状況に関する説明が十分に行き届いておらず、ご不便・ご心配をおかけし、申し訳ございませんでした。

以上の内容をご確認のうえ、ご不明な点がございましたら、いつでもご連絡を頂ければと存じます。
今後とも変わらぬご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

 

【弁護士畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

非がないクレームの場合の対応方法については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ご参照ください。

 

非がない場合のクレーム対応!謝らないのはOK?対処法を例文付きで解説

 

 

5.クレーム対応で納得しない場合の対応は?

ここまでは、クレーム対応における文例を交えて、落ち度のあるクレーム、非のないクレーム対応について解説をしてきました。

この記事を参考に対応いただいても、クレームが収束しない場合もあると思います。このような場合には、「単なる顧客からのクレーム」ではなく、「理不尽なクレーム」「ハードクレーム」や「カスタマーハラスメント」に該当する可能性が高くなります。

このような場合には、唯一無二の正解の対応は存在せず、その際の状況に応じて、個別具体的に対応を検討する必要があります。このような場合において、事業所側で対応が難しくなってきた場合には、介護業界のクレーム対応に詳しい弁護士に相談するようにしましょう。

 

6.クレーム対応について「弁護士法人かなめ」の弁護士に相談したい方はこちら

介護業界に特化した弁護士法人かなめによるサポート内容のご案内!

弁護士法人かなめでは、介護業界に精通した弁護士が、以下のようなサポートを行っています。

 

  • 1.クレーム対応の文面、説明内容の内容指導
  • 2.クレーム対応に納得してもらえない場合の窓口対応
  • 3.顧問弁護士サービス「かなめねっと」

 

以下、順番に説明します。

 

6−1.クレーム対応の文面、説明内容の内容指導

弁護士法人かなめでは、クレームに対する回答文の作成などクレーム対応の支援を行っています。

回答文の内容や対応の内容が不適切であればクレームが激化するリスクがありますし、そもそもどのような文章を書けばよいかわからないという方も多いのではないかと思います。

そのような場合、弁護士法人かなめでは、クレームの内容と事業所としての回答方針を確認し、これに基づき回答の案文を作成したり、作成された案文のチェックを行っています。

弁護士による文面、説明内容の指導を受けることで、クレームに対して毅然とした態度で対応でき、かつ、新たなクレームを防ぐことができます。

クレーム対応に悩まれている場合、まずは、一度、弁護士法人かなめにご相談ください。

 

弁護士費用

  • 1回目:1万円(消費税別)/1時間
  • 2回目以降:2万円(消費税別)/1時間

 

※相談時間が1時間に満たない場合でも、1時間分の相談料を頂きます。

※スポットでの法律相談は、原則として3回までとさせて頂いております。

※法律相談は、「1.弁護士法人かなめにご来所頂いてのご相談」、又は、「2.ZOOM面談によるご相談」に限らせて頂き、お電話でのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

法律相談の申込みは、以下のお問合せフォームから受け付けしております。

 

弁護士法人かなめの「お問い合わせフォーム」はこちら

 

また、回答文の作成や案文のチェックをさせて頂く場合、上記に記載した相談料の他に、5万円~10万円程度(消費税)の文書作成料を頂きます。

※介護事業所の経営者側からのご相談に限らせて頂き、他業種の企業様、職員等一般の方からのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

 

 

6−2.クレーム対応に納得してもらえない場合の窓口対応

また、弁護士法人かなめでは、クレームが激化し、およそ事業所を窓口にした対応することができないという場合に、クレーム対応の窓口を引き受けるサポートも行っています。

もっとも、サービス提供が継続している場合には、弁護士が介入することにより、紛争が激化する可能性もありますので、弁護士が介入すべきかは慎重に判断する必要があります。

弁護士法人かなめでは、弁護士が介入するタイミングの選定も併せて対応できますので、クレームの状況により合致した対応を取ることが可能です。

 

弁護士費用

クレームの窓口対応をする場合、最低でも、着手金として30万円(消費税別)、成功報酬として30万円(消費税別)を頂きます。

 

6−3.顧問弁護士サービス「かなめねっと」

弁護士法人かなめでは、「6−1.クレーム対応の文面、説明内容の内容指導」及び「6−2.クレーム対応に納得してもらえない場合の窓口対応」などのサービスの提供を総合的に行う顧問弁護士サービス「かなめねっと」を運営しています。

具体的には、弁護士法人かなめでは、トラブルに迅速に対応するためチャットワークを導入しています。事業所内で何か問題が発生した場合には、速やかに弁護士へ相談できる関係性を構築しています。

具体的には、弁護士と介護事業所の関係者様でチャットグループを作り、日々の悩み事を、法的問題かどうかを選択せずにまずはご相談頂き、これにより迅速な対応が可能となっています。いつでもご相談いただける体制を構築しています。法律家の視点から利用者様とのトラブルをはじめ、事業所で発生する様々なトラブルなどに対応しています。

直接弁護士に相談できることで、事業所内社内での業務効率が上がり、情報共有にも役立っています。

顧問弁護士サービス「かなめねっと」について詳しくは、以下のサービスページをご覧ください。

 

▶︎参考:顧問弁護士サービス「かなめねっと」について

 

以下の動画でも詳しく説明をしていますので、併せてご覧下さい。

 

▶︎【介護・保育事業の方、必見】チャットで弁護士と繋がろう!!介護保育事業の現場責任者がすぐに弁護士に相談できる「かなめねっと」の紹介動画

 

また、顧問弁護士の必要性や、介護業界に強い弁護士の選び方、顧問料の費用感について知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

 

▶参考:介護施設など介護業界に強い顧問弁護士の選び方や費用の目安などを解説

 

 

7.まとめ

この記事では、クレーム対応の具体的な方法、例文について、対応手段ごとに解説を説明しました。

クレーム対応のポイントとしては、どのようなクレームであっても、まずは対象を明確にした上で謝罪をするというスタンスを持つこと、丁寧な対応をすることが重要です。

また、非のないクレームであったとしても、それを理由に利用契約を解除するためには慎重なプロセスが必要となることから、クレーム発生の初期の段階から専門家に相談すべきです。非のないクレームは、ハードクレームの前触れになることも多く、対応を誤れば、大きなトラブルになる可能性もあり、慎重な対応が求められます。

クレーム対応をする場合は、この記事を参考に、対応を検討してみてください。

また、弁護士法人かなめでは、どのようなクレームに対しても、その後方支援や窓口対応の両方を行うことができます。そして、対応の難しさを感じた場合には、できるだけ早く、ご相談ください。

 

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介護特化型弁護士による「かなめ研修講師サービス」 介護特化型弁護士による「かなめ研修講師サービス」

弁護士法人かなめが運営している社会福祉法人・協会団体・自治体向けの介護特化型弁護士による研修講師サービス「かなめ研修講師サービス」です。顧問弁護士として、全国の介護事業所の顧問サポートによる豊富な実績と経験から実践的な現場主義の研修を実現します。

社会福祉法人の研修担当者様へは、「職員の指導、教育によるスキルアップ」「職員の悩みや職場の問題点の洗い出し」「コンプライアンスを強化したい」「組織内での意識の共有」などの目的として、協会団体・自治体の研修担当者様へは、「介護業界のコンプライアンス教育の実施」「介護業界のトレンド、最新事例など知識の共有をしたい」「各団体の所属法人に対して高品質な研修サービスを提供したい」などの目的として最適なサービスです。

主な研修テーマは、「カスタマーハラスメント研修」「各種ハラスメント研修」「高齢者虐待に関する研修」「BCP(事業継続計画)研修」「介護事故に関する研修」「運営指導(実地指導)に関する研修」「各種ヒヤリハット研修」「メンタルヘルスに関する研修」をはじめ、「課題に応じたオリジナル研修」まで、介護事業所が直面する様々な企業法務の問題についてのテーマに対応しております。会場またはオンラインでの研修にご対応しており、全国の社会福祉法人様をはじめ、協会団体・自治体様からご依頼いただいております。

現在、研修講師をお探しのの介護事業者様や協会団体・自治体様は、「かなめ研修講師サービス」のWebサイトを是非ご覧ください。

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この記事を書いた弁護士

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畑山 浩俊はたやま ひろとし

代表弁護士

出身大学:関西大学法学部法律学科卒業/東北大学法科大学院修了(法務博士)。
認知症であった祖父の介護や、企業側の立場で介護事業所の労務事件を担当した経験から、介護事業所での現場の悩みにすぐに対応できる介護事業に精通した弁護士となることを決意。現場に寄り添って問題解決をしていくことで、介護業界をより働きやすい環境にしていくことを目標に、「介護事業所向けのサポート実績日本一」を目指して、フットワークは軽く全国を飛び回る。
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米澤 晃よねざわ あきら

副代表弁護士

出身大学:同志社大学法学部法律学科卒業/神戸大学法科大学院卒業(法務博士)。
自称、日本で最も介護現場からの相談を受けている弁護士であり、介護現場の実情を踏まえたうえで、介護現場の多種多様な相談に迅速かつ丁寧に対応している。「働きやすい福祉の現場を、あたりまえ」をミッションに掲げ、日々、全国の介護事業者をサポートしている。

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