「勤務態度が悪く、注意をしても態度が改まらない職員がいる」、「ハラスメント行為が目につき、他の職員から相談を受けることが増えている」など、事業規模が拡大し、雇用する職員の人数が増えてくると、このような職員の悩みも増えてきます。
中には、事業所として、繰り返し注意指導を行っているにもかかわらず奏功せず、頭を抱えている管理者の方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、言うことを聞かないからと言って、このような職員をそのまま放置しておけば、他の職員が疲弊してしまい、離職やメンタルヘルスの問題にも発展しかねません。
そのため、注意指導でうまくいかない場合には、懲戒処分を検討する必要があり、その入り口となるのか「戒告」です。
この記事では、戒告を含む懲戒処分の根拠や、戒告とその他の手続との違いなどを紹介した上で、戒告を行うべき事例や具体的な手続について解説します。
最後までお読みいただくことで、問題のある職員に対する処分の選択肢として、戒告を有意義に利用することができるようになります。
そして、参考として、公務員や弁護士の戒告についても簡単にご紹介しますので、併せてご覧いただき、労働法上の戒告との違いについて比較してみてください。
それでは、見ていきましょう。
この記事の目次
1.戒告処分とは?
まず最初に、戒告処分の詳しい説明を順番にしていくにあたって、「戒告の意味」や「注意指導・譴責・訓告・訓戒との違い」についての基礎知識を解説いたします。
1−1.戒告の意味
戒告は、過失や失態、非行などを注意し、将来を戒めるために文書または口頭で行うものであり、懲戒処分の1つです。
一般の会社だけでなく、国家公務員法の懲戒処分としても定められており、懲戒処分の中でも最も軽い処分です。
1-2.戒告処分の懲戒処分の中での位置付け
戒告処分は、懲戒処分の中でも最も軽い処分として規定されることが多いです。注意指導を繰り返し、それでも奏功しない場合に、懲戒処分の入り口として行うようなイメージです。
1−3.注意指導・譴責・訓告・訓戒とは何が違うの?
注意指導は、懲戒処分ではなく、本人に反省を促すために行うもので、懲戒処分を行う前に行うことが多いです。
譴責は、戒告と同様に、懲戒処分の1つとして、過失や失態、非行などを注意し、将来を戒めるために文書または口頭で行うものではありますが、一般的には「始末書」を書かせることが多く、戒告よりも厳しい処分と位置付けられていることが多いです。
もっとも、戒告の時にでも、改善報告書を書かせる場合はあり、その内容は事業所によって様々です。
訓告、訓戒も、内容は戒告、譴責とほぼ同じであり、懲戒処分として定められていることもあります。
2.戒告処分の根拠
ここでは、戒告処分の根拠について、法令上の根拠、就業規則上の根拠の順に解説します。
2−1.法令上の根拠
戒告を含む懲戒処分については、法令上の根拠はありませんが、裁判所は、企業秩序定立権の一環として、当然に使用者が有する権利であると考えています。
参考判例:
最高裁 昭和54年10月30日判決
労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の物的施設を利用して組合活動をしたことが懲戒事由にあたり得るかどうかが問題となった事案。
判例の内容:
労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の所有し管理する物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、当該施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであり、正当な組合活動にあたらない。
また、労働契約法15条は、使用者が懲戒処分をする権限があることを前提として、以下のような定めをしています。
(懲戒)
第15条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
2-2.就業規則上の根拠
もっとも、裁判所は、懲戒処分については、あらかじめ就業規則に懲戒の種別及び事由を定めておくことが必要であると考えています。
これは、懲戒処分が、使用者が従業員に対して課す「制裁罰」であるという観点から、あらかじめその懲戒事由と制裁罰の内容を就業規則に規定し、従業員の予測可能性を確保する必要があるという点にあります。
例えば、以下のような規定を置くことが考えられます。
(1)就業規則の規定例
- (1)正当な理由なく、欠勤したとき
- (2)正当な理由なく、遅刻、早退もしくは就業時間中無断外出したとき、又は職場を離脱して業務に支障をきたしたとき
- (3)勤務に関する手続き、届出を偽り、又は怠ったとき
- (4)業務上の書類、伝票等を改変したとき
- (5)報告を疎かにした又は虚偽の申告、届出をし、事業所の正常な運営に支障をきたしたとき
- (6)業務に対する誠意を欠き、職務怠慢と認められるとき
- (7)素行不良で事業所の秩序又は風紀を乱したとき
- (8)就業時間中に許可なく私用を行ったとき
- (9)業務上の指示、命令に従わないとき
- (10)事業所の運営方針に違背する行為のあったとき
- (11)酒酔い運転又は酒気帯び運転をし、検挙されたとき
- (12)利用者への応対態度が悪いとき
- (13)不法又は不正の行為をして職員としての体面を汚したとき
- (14)事業所内において業務上不必要な火気、凶器その他これに準ずべき危険な物を所持していたとき
- (15)タイムカードの打刻、出勤簿の表示を他人に依頼し、又は依頼に応じたとき
- (16)事業所の車両を私用に供し、又は他人に使用させたとき
- (17)協調性に欠け不当に人を中傷する等、他の職員等とそりの合わないとき
- (18)事業所の発行した証明書類を他人に貸与し、又は流用したとき
- (19)許可なく事業所の文章、帳簿、その他の書類を部外者に閲覧させ、又はこれに類する行為のあったとき
- (20)規則、通達、通知等に違反し、前各号に準ずる程度の不都合な行為があったとき
- (21)過失により業務上の事故又は災害を発生させ、事業所及び利用者に損害を与えたとき
- (22)事業所内で暴行、脅迫、傷害、暴言又はこれに類する行為をしたとき
- (23)事業所に属するコンピューター、電話(携帯電話を含む)、FAX、インターネット、電子メールその他の備品を無断で私的に使用したとき
- (24)過失により事業所の建物、施設、備品等を汚損、破壊、使用不能の状態等にしたとき、又はハードディスク等に保存された情報を消去又は使用不能の状態にしたとき
- (25)服務規定に違反した場合であって、その事案が軽微なとき
- (26)安全衛生規定に違反した場合であって、その事案が軽微なとき
- (27)事業所が定める各規定に違反した場合であって、その事案が軽微なとき
- (28)法令違反等の不正行為の真偽を確認せず又は公益通報者保護法第3条第3号に規定する要件に該当することなく外部通報を行った結果、法人・事業所の信用を害し、損害を与えたとき
- (29)他の職員をして前記各事項に違反するよう教唆し、もしくは煽動したとき
- (30)前号までの事項において懲戒した後も、改悛の状が認められなかったり、繰り返したりして、改善の見込みがないと事業所が認めたとき
- (31)その他前各号に準ずる程度の不適切な行為があったとき
3.どんな時に戒告をするの?具体的な理由をご紹介
3−1.戒告をする具体的な理由
(1)職員の能力不足
例えば、職員に対し、どれだけ指導をしても、どうしても通常当該事業所で求められる職務能力を充たさない場合があり得ます。
そのため、事業所として、通常割り当てるべき仕事を割り当てることができなかったり、他の職員に負荷がかかってしまうなどすると、職務が滞ったり、職場環境が悪化するという事態も発生し得ます。
特に、職員が、怠慢により業務を怠っているような場合、注意指導を繰り返し、それでも奏功しない場合に、戒告を検討することになります。
職員の能力不足や仕事ができな職員に対する対応方法については、以下の記事でも詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
(2)問題社員
1.急な欠勤や無断欠勤が多い
介護事業所では、事業累計によっては夜勤もあり、シフト制が組まれているケースが多いです。
事業所は、業務内容や職員の労働条件等に基づいて、適切にシフト管理をしているところ、近年の人員不足の影響から、人員配置には余裕がありません。
そのような状況の中、職員が、前日や当日に、突然欠勤する旨連絡をしたり、なんらの連絡もなく欠勤すれば、事業所としてはシフトを組み替えたり、代わりの人員を準備したり、場合によっては人員基準を満たさなくなるなど、非常に困った事態になります。
もちろん、急な体調不良や家族の急用などは、誰しもあることであり、そのこと自体は責められることではありません。
しかしながら、そのような急な欠勤や無断欠勤が何度もあれば、事業所としては常にシフトの組み替えを想定して人員配置を考えなければならなくなり、業務に支障を来すことになります。
このような場合に、いくら注意指導をしても態度が改まらない時は、戒告を検討する必要があります。
2.協調性がない
介護現場は、利用者の命を預かる仕事であり、他の職員との連携、協力は必要不可欠です。
しかしながら、そのような中で、他の職員が忙しくしていても手伝わなかったり、他の職員に対して威圧的な態度をとったり、さらにはシフトの引継ぎの際の情報伝達を怠るなど、協調性がない態度をとる職員がいます。
このような言動をとる職員がいる場合、職場の雰囲気が悪くなるばかりか、他の職員に過度な業務上、精神上のストレスが係り、最悪の場合には他の職員が離職してしまうリスクも考えられます。
このような職員に対しては、しっかりと注意指導をしていく必要がありますが、注意指導をしてもなお態度が改善されない場合には、戒告を検討していくことになります。
3.素行不良
遅刻、居眠り、業務中の私物のスマートフォンの利用などの日常の素行不良や、これに対して、注意指導をしたことに対し、威圧的、反抗的な態度をとったり、注意指導を全く聞き入れない態度を繰り返すなどした場合も、懲戒処分の理由となり得ます。
また、職員が、事業所においてある程度高い地位にある場合、他の従業員に対してセクハラやパワハラなどのハラスメント行為をしている場合も、懲戒処分の対象となります。
さらに、近年では、業務上の指導をした上司に対して、「今のはパワハラではないのか」、「精神的に傷ついたので謝って欲しい」、「労基署や弁護士に訴える」などと言って、上司の注意指導に応じない「逆パワハラ」が問題となっています。
このような職員からの逆パワハラにより、注意指導をしている上司が精神的に疲弊し、中には精神疾患を発症し、最悪の場合には離職をしてしまうケースもあります。
なお、逆パワハラについては、以下の記事でも詳しく説明していますので、ご覧下さい。
また、問題社員やモンスター社員への対応方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
(3)利用者に対する不適切な対応
利用者に対して、名前を呼び捨てにする、大きな声で怒鳴る、「馬鹿」などの侮辱的な表現でからかう、利用者の介助中であるにもかかわらず他の職員とおしゃべりをして放置する、車椅子からベッドへの移譲や体位変更が乱雑などの、不適切な介助を行う職員がいた場合、事業所がこれを知覚した場合には、まずは速やかに注意指導をする必要があります。
そして、これらの行動は、利用者に対する心理的虐待、ネグレクト、身体的虐待とも評価されかねないものであって、事業所としては、再発防止の趣旨も含めて厳格に対処をすべきです。
そのような場合には、注意指導から一歩進んで、懲戒処分である戒告をすることが効果的です。
なお、利用者に対する心理的虐待や身体的虐待など高齢者虐待については、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
4.戒告の具体的な方法
次に、戒告を実施する際の正しい進め方について説明していきます。
以下で具体的な手順ごとに解説していますのでご覧ください。
4−1.戒告には事前準備が重要!
懲戒処分をする場合には、そもそも懲戒事由があるかをしっかりと調査することが非常に重要です。
例えば、特定の職員からだけの情報で、客観的な資料が一切ない状況の場合、いきなり懲戒処分をすることには慎重である必要があります。
まずは、懲戒処分に至らない注意指導から、本人からの話も聴きながら必要な情報を揃え、事前準備をした上で戒告に臨むようにしましょう。
このプロセスを怠れば、仮に懲戒事由があったとしても、戒告の効力が争われる可能性もあります。
ここからは、戒告に至るまでのプロセス、戒告の手続、戒告後の手続の順に解説します。
4−2.具体的な戒告までの流れ
(1)粘り強い注意指導
懲戒処分に至るまでの出発点となるのは、事業所から当該職員への注意指導です。
事業所としては、まずは問題行動を繰り返す職員に対して注意指導し、自らの言動や態度を反省させ、行動の改善を促すことが重要です。
1.口頭
何らかの問題行動が見られた際、最も簡易で且つすぐにできる注意指導の方法は、口頭での注意指導です。
注意指導には、もちろん職員の行動の改善を促すこという目的がありますが、もう1つ、必ずしも客観的な証拠が残るものではない職員の言動について、「○○の行動に対して注意指導をした」という形で証拠を残すことで、職員の言動を記録するという目的もあります。
そこで、口頭での注意指導を行う際には、できるかぎり指導の状況を録音しておく、または、指導内容やその際の職員の態度などを継続的に記録しておくことで、問題行動をとった証拠を残していきましょう。
【弁護士 畑山浩俊のコメント】
注意指導は、職員の問題行動を現認した場合、できる限りその場ですぐに行うようにして下さい。
なぜなら、問題行動を現認したにもかかわらずその時にはこれを放置し、時間を置いてから注意すると、「あの時何も言わなかったのに急に今なんでそんなことを言うんですか?」、「言いがかりです」などと、逆に反撃を受けるだけでなくよほど客観的な証拠が存在している場合でない限り、「私はそんなことはやっていません」と言い逃れをする可能性すらあるからです。
録音機器がない場合であっても、形式な点にとらわれずに、まずはしっかりと、タイムリーな注意指導をすることを心がけましょう。
なお、録音は、相手に了解を得る必要はありません。録音の際の注意点は、以下の動画をご覧ください。
▶︎参照:【無断録音!】実際にあったミス3選!弁護士が解説します!
2.メール、SNS
最近は、事業所内での連絡方法として、メールやチャットツールを利用している介護事業所も多いと思います。
メールやチャットツールの良いところは、比較的速やかに注意指導ができることと、送った日付、時間、内容が記録され、それに対する相手からの返答内容も同時に記録されることです。
口頭で注意指導をした後、確認事項として改めてメールやチャットツールを利用して注意指導をしておくこと有効です。
なお、LINEやその他のチャットアプリ等を利用する場合は、送信取消し等により証拠の隠滅が図られる可能性がありますので、トーク履歴を保存したりスクリーンショットをとるなどして保存しておきましょう。
【弁護士 畑山浩俊のコメント】
突発的な状況で注意指導をした場合には、録音を残すことが難しい場合もあります。
このような場合、例えば、注意指導の記録を、自分宛のメールやチャットに打ち込んで送信しておくと、その日に注意指導をした、という記録が残るため、証拠としての価値が高くなります。
または、注意指導をした職員から、管理者などの上司に、報告を上げるような形でメールを送信しておくという方法も、記録の残し方としては有効です。
3.書面
口頭やメール、チャットツール等での注意指導を繰り返しているにもかかわらず、職員の問題行動が改善されないような場合、次の手続を想定し、書面での注意指導を行いましょう。
これまでに口頭やメール等で行ってきた注意指導や、その注意指導の際の態度を含めて改めて注意指導を行います。
書面での注意指導の際には、注意指導の内容の他、当該問題行動が就業規則の服務規律に違反していたり、懲戒事由相当の行為である旨を付け加えておくと、注意指導の理由が明確となります。
具体的には、以下のような記載です。
▶参考:書面での注意指導の参考例
○年○月○日、利用者の食事介助中であるにもかかわらず、スマートフォンを見るなどして利用者の見守りを怠っていたことから、「業務中にスマホを見るのはやめなさい」と注意すると、「見ていない」「注意されて気分が悪くなった」などと不貞腐れた態度で言い捨てると、態度を改めないばかりか、そのまま離席して控室に帰ってしまった。
これは、就業規則○条○号に定める○○に該当する。
このような注意指導書を交付する際には、これらの注意指導に対し、自らの行動をどう改善するかについて検討させ、期限を決めて提出するよう指示することも有益です。実際に提出されれば、職員の態度も明らかになりますし、提出を拒否したとすれば、その態度自体が次の手続への根拠となります。
▶参考:注意指導の方法については、以下の記事でさらに詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
(2)戒告の手続
ここからは、具体的な戒告の手続を見ていきましょう。
1.面談の実施
戒告をする場合には、面談を実施し、注意指導を合わせて行うことが重要です。
戒告は、基本的には、これまでに既に注意指導をしてきて、それでもなお態度が改まらない場合に行うケースがほとんどです。
これまでに行ってきた注意指導とは異なることを示すためにも、面談を実施し、戒告処分の通知書を渡した上で、改めてしっかり注意指導をしましょう。
また、必ず録音は取っておきましょう、
2.戒告の通知【書式(テンプレート)つき】
戒告の通知書を作成する場合には、以下のポイントをしっかり押さえるようにしましょう。
- 戒告処分の対象となる職員の行為を可能な限り具体的に記載する。
- 職員の行為が、就業規則上どの項目に該当するかについて、条項をしっかり指摘する。
以下では、利用者への不適切な行動と、他の職員や上司へのハラスメント行為を理由とした戒告の通知のテンプレートを用意しましたので、参考にしてみてください。
3.改善報告書の作成
戒告は、先に説明をしたように、基本的には過失や失態、非行などを注意し、将来を戒めるものですが、その際に、「改善報告書」を書かせることも効果的です。
指導された内容と、その改善方法を自ら書かせることで、反省を促すことと合わせて、その先の手続にすすむ必要がある場合には、職員の態度を明らかにする手段の1つにもなります。
また、改善報告書を提出させた後には、実際にその改善が行われたかどうかについて、事業所側の評価を合わせて記載しておくと、記録として有益です。
以下に、改善報告シートのテンプレートを用意しましたので、参考にしてみてください。
4−3.戒告後の手続
ここからは、戒告処分をしたにもかかわらず、業務態度等に改善が見られない職員への手続について概要を説明します。
(1)戒告以外の懲戒処分
懲戒処分には、戒告の他、譴責(けんせき)といった、職員への影響が比較的小さいものから、減給、出勤停止、降格処分、諭旨解雇、懲戒解雇といった、職員の地位や労働契約の本質部分に影響のある重い処分まで順番に定められていることが一般的です。
懲戒処分をする際には、これまでに行ってきた注意指導や他の懲戒処分の存在も考慮の上、その内容を決めることになります。そのため、事業所としては、戒告や譴責などの懲戒処分の回数を重ねる他、徐々に重い処分に進んでいくようにしましょう。
(2)退職勧奨
注意指導や解雇以外の懲戒処分によっても態度が改まらない場合、事業所としては、退職勧奨により、職員の自主的な退職を促すことも考えられます。
退職勧奨は、解雇とは異なり、なんらの強制的な手段も伴うものではありませんが、退職時のさまざまな条件の取り決めができるなど、うまく利用ができれば非常に効果的な手段です。
退職勧奨については、以下の記事をご覧ください。
(3)解雇
粘り強い注意指導をし、懲戒処分も影響の少ないものから順に行っていき、退職勧奨もしたにもかかわらず、態度が改まることも、自主的に退職をすることもなかった場合、いよいよ解雇を検討せざるを得ない状況となります。
解雇には、普通解雇と懲戒解雇があり、いずれについても、裁判所は雇用主側に厳しい態度をとっています。
しかしながら、ここまでで解説してきたようなプロセスを踏んできた場合、当該職員を解雇できる資料は揃ってきているはずです。
実際に、粘り強い注意指導を続けた末に解雇をした事案で、解雇が有効とされた裁判例として、日本マイクロソフト事件(東京地裁 平成29年12月15日判決労判1182.54)などが参考になります。
この裁判例では、モンスター社員に対する注意指導や、注意指導に対するモンスター社員の態度がメールのやりとりで残っており、その上で書面での注意指導も行なうなど、解雇にむけたプロセスが確実に履践されており、非常に参考になります。
なお普通解雇、懲戒解雇については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
4−4.記録を残すことの重要性
どのような手続きを取るとしても、重要なことは全ての場面でしっかりと記録を残すことです。
メール、SNS、書面でのやりとりは記録として残りやすいですが、先に説明した通り、面談や口頭での注意の際にも、録音をすることで記録を残すことができます。
また、録音ができない場面では、注意指導について、その都度記録を作成するようにしましょう。
具体的には、注意指導した具体的な内容とその日時、注意指導に対する相手方の態度や具体的な発言などを記録しておく事が重要です。
記録の方法は問いませんが、できる限り容易でタイムリーに、且つ、バックデートして記録を作成したなどの疑いが少ない方法としては、例えばメールやメッセージにメモをベタ打ちし、そのメモを自分や上司宛に宛に送信しておく方法です。
そうすれば、その時間に送信したメモの内容が確定されるため、後日なんらかの紛争に発展した際にも、証拠としての価値が高くなります。
粘り強い注意指導や懲戒処分を行ったことにより、その後に行った普通解雇が有効とされた例として、前原鎔断事件(大阪地裁令和2.3.3 労判1233.47)があります。
参考事例:
前原鎔断事件(大阪地裁令和2.3.3 労判1233.47)
「就業状況が著しく不良で就業に適さないあるいはこれに準ずるもの」であるとして普通解雇された原告が、解雇が無効であるとして地位確認、未払賃金及び遅延損害金の支払い等を請求した事案。
判決
原告は、普通解雇までに、複数回の始末書や顛末書の提出、出勤停止を含む3回の懲戒処分、さらには度重なる注意指導を受けており、これにより、「就業状況が著しく不良で就業に適さないあるいはこれに準ずるもの」にあたることは明白であったとして、普通解雇には客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると判断された。
注目すべきは、書面として残っている始末書等のほか、被告の上司である主任が、原告について「教育記録」つけており、その中で、伝票に記載された枚数を確認しない、サインを入れ忘れるなど、取引先に対して迷惑をかけるような原告の日々のミスを、日付と共に詳細に記録しており、この「教育記録」に記録されていた事実が、原告の就業状況の不良さを根拠づけるものとして数多く認定されていることです。
【弁護士 畑山浩俊のコメント】
「記録をとってください」とお願いをした際、後で記録を見せてもらうと、例えば「怒鳴られた」、「脅迫された」、「態度が悪かった」など、記録をとった方の印象がメモされていることがよくあります。
法的な手続をとる際、必要となるのは具体的な「事実」です。
例えば、「『そんなこともわからんのかボケ』と大きな声で怒鳴られた」、「『俺には悪い知合いもいるから、声掛けて来てもらってもいいんやぞ』などと脅迫された」、「注意をすると、顔を背けてスマートフォンを操作し始め、『聞いてるのか』と尋ねても返事をしなかった」など、発言内容や行動を、できる限り具体的に記録してください。
記録は、体裁にとらわれず、できる限り記憶の新しいうちに作成するようにしましょう。
5.戒告による職員への影響
戒告を含め、懲戒処分の性質そのものの影響以外にも、職員へ影響を与える場面があります。
以下では、賞与(ボーナス)、昇級、退職金支給、転職の場面についてそれぞれ解説します。
5−1.賞与(ボーナス)の減少
賞与(ボーナス)は、本来使用者には支払義務はなく、当該労働契約で合意したり、就業規則にその内容が定められている場合に支払い義務が発生する、という性質のものになっています。
そのため、どの事業所でも、賞与(ボーナス)の定め方としては、以下のような規定をしていることが多いのではないかと思います。
▶参照:規定例
賞与は、会社の業績に応じ、従業員の能力、勤務成績、勤務態度等を人事考課により査定し、その結果を考慮して、その都度決定する。
戒告処分は、まさに勤務態度の問題であり、人事考課に影響を及ぼす要素であって、戒告処分の対象となった問題行動を理由として、他の職員に比して賞与(ボーナス)を減らすことはあり得ます。
しかしながら、この人事考課については、基準をしっかり設けて、一律に運用をしていることが非常に重要となります。
単に、「評価項目を総合的に考慮する」と説明するだけでは、恣意的な運用をしていると取られかねません。
また、懲戒処分を受けた場合は一律に賞与を0円にする、などといった運用も、他の職員との均衡性を著しく欠くことになり得ますので避けるべきです。
あくまで、勤務態度は人事考課の1つの考慮要素ですので、他の要素も考慮した上で金額を算出する必要があります。
特に戒告は、懲戒処分の中でも最も軽いものですので、懲戒処分の内容ごとに段階的に賞与(ボーナス)を減らす、というような緻密な基準を設けていない限りは、もちろん他の考慮要素も踏まえてではありますが、大幅な減額等に踏み切るのは避けた方が良いでしょう。
5−2.昇級への影響
昇級についても、人事考課の基準として、懲戒処分があった場合の評価方法を事前に定めておき、これに従って判断をすることが重要です。
もっとも、昇級自体は、原則としては使用者側に人事権の裁量がありますし、特に全ての職員が必ず昇級するというものでもありませんので、懲戒処分の影響は、例え戒告であっても、大きいものと考慮することはなんら不合理ではありません。
【弁護士 畑山浩俊のコメント】
人事考課をどうするかの問題は、少しずつ規模の大きくなっていく事業所では、大きな悩みとなっているのではないでしょうか。
初めの頃は職員も少なく、また気心のしれた職員ばかりで、賞与等についてもある程度柔軟に決定していて支障がなかったものが、職員が増えていくにつれ、給与等に関する不平等感や曖昧さ、基準がわからないことへの不審感などから不満が出始めることは避けられません。
しかしながら、日々の多忙な業務の中で、人事考課の基準をしっかりと考えていくことを、ついおざなりにしてしまってはいないでしょうか。
新たな基準を設けることは、これまでいた職員にとっては、場合によっては柔軟性がなくなり、不満もあるかもしれません。
しかしながら、この問題にいつまでも着手しなければ、多くの職員を抱え、事業所も多く持つようになってきた場合、必ず労務問題で足元を救われます。
今一度、みなさんの事業所の人事考課基準を見直してみましょう。
5−3.退職金への影響
退職金については、通常は、勤務年数、退職時の基本給、退職理由を主な考慮要素として、算定をしています。
その場合、就業規則において、例えば懲戒処分の中でも諭旨解雇や懲戒解雇をした場合や、これらの懲戒処分に相当するような行為をした場合に、退職金の減額、不支給、返還等を定めることはありますが、戒告などの懲戒処分を理由として、退職金の額を変動させる仕組みとすることは難しい部分があります。
しかしながら、退職金の算定についても、在職中の貢献度や能力を考慮できる定め方をすることは可能です。
例えば、いわゆる「ポイント制方式」と言われる、労働者の在職中の資格・等級、勤続年数等を基準として1年あたりのポイントを設定した上、当該基準に応じてポイントを付与し、退職時に取得ポイント数に単価を乗じることによって退職一時金の額を算出する制度設計があります。
この方式を利用する場合、例えばポイントをマイナスする要素として、懲戒処分にかかる事実を加えておくことも考えられます。
もっとも、この場合も人事考課の場合と同様であり、評価が適正になされるかどうかという問題はあるため、ポイントの増減要素については客観的に見て明らかな事情とすることが重要です。
なお、退職金の規定の方法を、ポイント制方式に変更する場合には、人によっては退職金額が減ってしまったり、将来にわたって退職金額が不安定になるので、就業規則の変更にあたっては職員からの同意を得ておく必要があります。
5−4.転職時の履歴書への記載
履歴書に記入欄のある「賞罰」に記載すべき「罰」とは、刑法上の犯罪による懲役刑、禁錮刑、罰金刑といった有罪判決を受けて科された「罰」(刑事罰)のことを指しており、行政罰や就業先での懲戒処分は含みません。
そのため、戒告処分を受けたことがある旨についても、履歴書へ記載をする必要はありません。
もっとも、転職先の法人としては、当該職員を雇用するにあたって、なぜこの職員が転職をしようとしているのか、前の事業所をやめた理由は何かについて、知りたいと考えるのは通常のことです。
そのため、履歴書には書いていなくても、面接の際に、退職理由や懲戒処分を受けた事実について尋ねることは通常であり、その際に秘匿をしたり虚偽の事実を伝えたりすると、転職先の会社でなんらかの懲戒処分を受ける可能性があります。
6.戒告が違法となる場合とは?
戒告は、懲戒処分の1つであることから、「2−1.法律上の根拠」で紹介した通り、労働契約法15条による制限を受けます。
(懲戒)
第15条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
そして、労働契約法が、このような包括的・一般的な規定の仕方をするのみで、具体的な考慮要素を上げていないのは、懲戒処分には、様々な種類があり、その程度も千差万別であることから、一般的な事情を事前に示しておくことが難しいからです。
そのため、労働契約法15条や懲戒処分の趣旨からすると、以下のような観点から有効性が判断されることになります。
- 1.就業規則の懲戒規定の有無・誓約書の有無・規定の合理性
- 2.企業秩序違反行為があるか
- 3.懲戒規定で定める懲戒事由に該当するか
- 4.懲戒権の行使に相当性があるか
これをまとめると、以下のようになります。
- 就業規則に懲戒事由を定めていたとしても、職員の具体的な行為が企業秩序違反行為に当たらなければ、懲戒処分することができない。
- 懲戒事由に該当する企業秩序違反行為があったとしても、懲戒処分の内容が相当でなければ無効となる。
6−1.戒告が違法となることは少ない
もっとも、戒告が違法となることや、そもそも争われること自体は少ない傾向にあります。
その理由として、戒告は「6.戒告による職員への影響」で説明したような影響はあり得るものの、その効力は限定的であり、これによって職員の労働者としての地位や労働者としての地位の根幹が揺るがされる事態にはなりにくいからです。
そのため、職員自体が、あえて戒告処分の有効性を争うこと自体が少なく、仮に争ったとしても、戒告の根拠となる事実関係が全く存在しないなどの特異な場合でない限り、社会通念上の相当性も肯定されることが多いのです。
6−2.戒告が違法になるとどうなるか
戒告自体は職員の労働者としての地位や勤務形態等に影響を及ぼすものではありません。
そのため、仮に戒告が違法となった場合には、言われのない戒告処分により精神的損害を被ったとして、職員から損害賠償請求がされる可能性があります。
例えば、東京地方裁判所令和2年6月10日判決では、パワーハラスメント等を行ったことを理由に戒告処分となったことに対して、調査が不十分であるなどの理由から、戒告処分の無効と、これに伴う慰謝料を請求していました。
結論として、戒告処分は有効とされたため、慰謝料の請求は認められませんでしたが、職員側からの主張としてはあり得る請求ですので、意識に留めておいていただく必要はあろうかと思われます。
7.【参考】公務員や弁護士などの戒告処分について
ここでは、参考としてニュース等でも話題に出ることがある公務員や弁護士の戒告処分について、簡単にご紹介します。
7−1.公務員の戒告処分
公務員の戒告処分については、法令上以下のように定められています。
▶︎参照:国家公務員法
(懲戒の場合)
第82条 職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
一 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項の規定に基づく訓令及び同条第四項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
(以下省略)
▶︎参照:地方公務員法
(懲戒)
第29条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
(以下省略)
この懲戒処分の対象となるのは、例えば国家公務員、県庁、市役所等の職員、警察官、公立学校の教員などです。
また、地方公務員法では、「地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程」など違反する場合にも、懲戒処分の対象になるとされています。
戒告の例ではありませんが、以下の事件では、「加古川市職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(昭和28年加古川市条例 第7号)」という条例で、加古川市職員の懲戒の手続等が詳しく規定され、さらにその解釈等のために「加古川市職員の懲戒処分に関する指針」され、これらに基づいて懲戒処分がされています。
参考例:
加古川市事件(最高裁平成30年11月6日判決)
職場の近くのコンビニで、女性従業員に対し、市の制服を着たまま、わいせつな行為等を行った市の職員が、このような行為に及んだこと、さらに、これが報道されて市長が記者会見で謝罪するなどして世間を騒がせたことなどから、停職6か月の懲戒処分を受けたことにつき、処分の取り消しを求めた事件。
結論
当該職員の行為が公務一般に対する住民への信頼を大きく損なう行為であることが重視され、懲戒処分に関して、市長の判断が、懲戒権者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものということはできないとされた。
なお、公務員に対する懲戒処分は行政処分となるため、処分の効力を争うためには、行政事件訴訟法上の「処分の取消しの訴え」(行政事件訴訟法3条2項)を提起する必要があります。
▶︎参照:「行政事件訴訟法」の条文
7−2.弁護士の戒告処分
弁護士や弁護士法人は、弁護士法56条1項で、「所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。」とされています。
弁護士は、他の法曹である裁判官や検察官とは異なり、公務員ではありませんが、強制加入団体である「日本弁護士連合会」及び、各弁護士の事務所の所在地を管轄する弁護士会に登録されなければ、仕事をすることができません。
この、日本弁護士連合会や各所属弁護士会は、国や地方公共団体のどの省庁や機関からも監督を受けない自治団体です。
弁護士は、職務上国や地方公共団体を相手方とした事件にも取り組むことから、あくまで公権力から独立した存在である必要があるのです。
そのため、この弁護士自治のもとで、弁護士に対する懲戒も、各弁護士会で行うこととなっています。
▶︎参照:弁護士法
(懲戒事由及び懲戒権者)
第56条 弁護士及び弁護士法人は、この法律(外国法事務弁護士法人の使用人である弁護士にあつては、この法律又は外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法)又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。
2 懲戒は、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会が、これを行う。
3 弁護士会がその地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して行う懲戒の事由は、その地域内にある従たる法律事務所に係るものに限る。
(懲戒の種類)
第57条 弁護士に対する懲戒は、次の四種とする。
一 戒告
二 二年以内の業務の停止
三 退会命令
四 除名
2 弁護士法人に対する懲戒は、次の四種とする。
一 戒告
二 二年以内の弁護士法人の業務の停止又はその法律事務所の業務の停止
三 退会命令(当該弁護士会の地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対するものに限る。)
四 除名(当該弁護士会の地域内に主たる法律事務所を有する弁護士法人に対するものに限る。)
(以下省略)
誰であっても、弁護士または弁護士法人について、懲戒の事由があると思料する事由の説明を添えて、当該弁護士のまたは弁護士法人が所属する弁護士会に対して、懲戒請求をすることができます(弁護士法58条2項)。
懲戒請求があった場合や、懲戒の事由があると思料される場合には、弁護士会内にある綱紀委員会が事案を調査し、懲戒処分の手続きを進めるか、請求が不適法等の理由で懲戒処分の手続きを進めるべきでないかを判断の上、手続を進める場合には懲戒委員会に事案の審査を求め、手続きを進めない場合には、懲戒処分しない旨の決定をします(弁護士法58条3、4項)。
そして、懲戒委員会が懲戒相当と判断した場合は弁護士会がその旨の議決をするという流れになっています(弁護士法58条5項)。
詳しくは、以下の日本弁護士連合会のホームページでも解説されているので、あわえてご覧ください。
▶︎参照:日本弁護士連合会「懲戒制度」
8.介護業界に特化した弁護士法人かなめによるサポート内容のご案内!
弁護士法人かなめでは、介護業界に精通した弁護士が、以下のようなサポートを行っています。
- (1)戒告に関する手続の指導
- (2)労働判例研究ゼミ
- (3)顧問サービス「かなめねっと」
以下で、順番に説明します。
8−1.戒告に関する手続の指導
戒告も、懲戒処分の1つであり、かつ、その後の手続きにつながる重要な過程の一つであるため、求められるプロセスを確実に踏んでいくことが重要です。
そのため、戒告等の処分を検討するにあたっては、初期のタイミングから専門家の意見を仰いでおくことが重要なのです。
弁護士法人かなめでは、介護事業所の労務管理に精通した弁護士が、証拠の残し方、注意指導をする際の準備などを、計画的にサポートした上、手続を行うタイミングも含め、指導します。
8−2.労働判例研究ゼミ
弁護士法人かなめでは、普段の労務管理の参考になる労働判例を取り上げ、わかりやすく解説する労働判例研究ゼミを不定期に開催しています。
ゼミの中では、参加者の皆様から生の声を聞きながらディスカッションをすることで、事業所に戻ってすぐに使える知識を提供しています。
詳しくは、以下のページをご覧下さい。
8−3.顧問弁護士サービス「かなめねっと」
弁護士法人かなめでは、「9−1」及び「9−2」のサービスの提供を総合的に行う顧問弁護士サービス「かなめねっと」を運営しています。
具体的には、弁護士法人かなめでは、トラブルに迅速に対応するためチャットワークを導入しています。
事業所内で何か問題が発生した場合には、速やかに弁護士へ相談できる関係性を構築しています。
具体的には、弁護士と介護事業所の関係者様でチャットグループを作り、日々の悩み事を、法的問題かどうかを選択せずにまずはご相談頂き、これにより迅速な対応が可能となっています。いつでもご相談いただける体制を構築しています。法律家の視点から利用者様とのトラブルをはじめ、事業所で発生する様々なトラブルなどに対応しています。
直接弁護士に相談できることで、事業所内社内での業務効率が上がり、情報共有にも役立っています。
顧問弁護士サービス「かなめねっと」について詳しくは、以下のサービスページをご覧ください。
また以下の記事、動画でも詳しく説明をしていますので、併せてご覧下さい。
8−4.弁護士費用
また、弁護士法人かなめの弁護士費用は、以下の通りです。
(1)顧問料
- 顧問料:月額8万円(消費税別)から
※職員従業員の方の人数、事業所の数、業務量により顧問料の金額は要相談とさせて頂いております。詳しくは、お問合せフォームまたはお電話からお問い合わせください。
(2)法律相談料
- 1回目:1万円(消費税別)/1時間
- 2回目以降:2万円(消費税別)/1時間
※相談時間が1時間に満たない場合でも、1時間分の相談料を頂きます。
※スポットでの法律相談は、原則として3回までとさせて頂いております。
※法律相談は、「1.弁護士法人かなめにご来所頂いてのご相談」、又は、「2.ZOOM面談によるご相談」に限らせて頂き、お電話でのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。
※また、法律相談の申込みは、「お問合わせフォーム」からのみ受け付けおります。
※介護事業所の経営者側からのご相談に限らせて頂き、他業種の企業様、職員等一般の方か らのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。
9.まとめ
この記事では、戒告について、その意味や根拠の他、戒告とその他の手続との違いなどを紹介した上で、戒告を行うべき事例や具体的な手続について解説しました。
また、戒告に伴い、これが職員に及ぼす影響についても解説していますので、問題のある職員に対する処分を選択するにあたり、参考にしてみてください。
その上で、戒告、そして戒告の次の手続を検討してく場合には、なるべく早期に弁護士へ相談するようにしてください。
「弁護士法人かなめ」のお問い合わせ方法
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「受付時間 午前9:00~午後5:00(土日祝除く)」内にお電話頂くか、メールフォーム(24時間受付中)よりお問合せ下さい。
介護事業所に特化した法務サービス「かなめねっと」のご案内
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「かなめねっと」では、弁護士と介護事業所の関係者様、具体的には、経営者の方だけでなく、現場の責任者の方を含めたチャットグループを作り、日々現場で発生する悩み事をいつでもご相談いただける体制を構築しています。
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介護業界に特化した経営や現場で使える法律セミナー開催情報
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介護施設の経営や現場の実戦で活用できるテーマ(「労働問題・労務管理」「クレーム対応」「債権回収」「利用者との契約関連」「介護事故対応」「感染症対応」「行政対応関連」など)を中心としたセミナーです。
弁護士法人かなめでは、「介護業界に特化した弁護士」の集団として、介護業界に関するトラブルの解決を介護事業者様の立場から全力で取り組んで参りました。法律セミナーでは、実際に介護業界に特化した弁護士にしか話せない、経営や現場で役立つ「生の情報」をお届けしますので、是非、最新のセミナー開催情報をチェックしていただき、お気軽にご参加ください。
介護特化型弁護士による研修講師サービスのご案内
弁護士法人かなめが運営している社会福祉法人・協会団体・自治体向けの介護特化型弁護士による研修講師サービス「かなめ研修講師サービス」です。顧問弁護士として、全国の介護事業所の顧問サポートによる豊富な実績と経験から実践的な現場主義の研修を実現します。
社会福祉法人の研修担当者様へは、「職員の指導、教育によるスキルアップ」「職員の悩みや職場の問題点の洗い出し」「コンプライアンスを強化したい」「組織内での意識の共有」などの目的として、協会団体・自治体の研修担当者様へは、「介護業界のコンプライアンス教育の実施」「介護業界のトレンド、最新事例など知識の共有をしたい」「各団体の所属法人に対して高品質な研修サービスを提供したい」などの目的として最適なサービスです。
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